生理の前は胸がパンパン…夫に触られるのも嫌なんです!

体験談

生理が近づくとなんだか胸が張って痛い、胸に触れると熱っぽくて腫れているように感じる…。それは、もしかしたら月経前症候群(PMS)による胸の張りかも!?
実は、多くの女性が月経前に起こるさまざまな症状に悩んでいます。

自分ではどうにもならない生理時の不調やつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「生理前の胸の張り」をテーマに薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。 

生理前の不快な胸の張りと痛みで、心も体も落ち着きません…

友里さん(39歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

更年期が近いせいか、数年ほど前から生理不順や生理前のいろいろな不快な症状に悩まされています。
特につらいのは、生理前1週間くらいから始まる胸の張りと痛み。じわじわと内側から熱がこもったようになったかと思うと、腫れたように胸がパンパンに張ってきてしまうんです。
バストサイズも上がったかと思うほどの張り感で、最初は乳腺炎か乳がんにでもなってしまったのかと思うほどでした。
しかも、その時期はちょうど些細なことでイライラしてしまうことも多くて夫婦ゲンカも耐えません。痛いやら悲しいやらで、夫に当たり散らすくらいなら、できればさっさと寝てしまいたいのですが、そういうときに限って仲直りしたいのか、夫が胸を触ってきたりするんです。
でも、こっちは乳首にそっと触られるだけでも飛び上がるほど痛いので、当然拒絶一択! ちょっとかわいそうな気もしますし、私としてもこんな症状消えてくれればいいのに…と思っています。
一体どうしたらこの胸の張りと痛みをなくすことができるのでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
胸が張るのは生理前に起こるさまざまな症状のうちのひとつですが、痛みを感じるのはつらいですよね。
では今回は、生理前に起こる胸の張りや痛みの原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

黄体ホルモン分泌と「気・血・水」の詰まりが胸の張りの原因!

月経の前になると、ホルモンバランスが急激に変化し、プロゲステロンという黄体ホルモンが多く分泌されるようになります。
このプロゲステロンには、排卵後に子宮を妊娠しやすい状態にしたり、乳腺の発達を促進する作用もあるため、これが胸の張りや痛みの原因にもなるのです。

また、東洋医学では、体内をスムーズに循環するべき「気・血・水(生命エネルギー・血液・水分)」の流れが滞ったり詰まることによって胸の張りや痛みが生じたりすると考えられています。

次の章では、こうした月経前に起きやすい胸の張りに対する具体的な解決方法をお伝えしていきましょう。

セルフケアで「気・血・水」の3つの詰まりを取ろう

1.ストレスを解消して「気」を巡らせよう

月経前に胸が張る、イライラする、といった症状は、「気」がスムーズに流れていないことが原因であると考えられています。
ストレスによって「気」が滞ることが多いので、自分でストレスを解消できる方法を見つけましょう。しっかりと休養をとって、心身ともにリラックスする時間を作るのが大事です。
また、ジャスミンティーやウコン茶、かんきつ系の果物なども「気」の巡りをよくする効果がありますので、積極的に取り入れてみてくださいね。

2.下半身を温めて「血」を巡らせよう

「気」と「血」はお互いがバランスを取り合いながら存在しており、「気」の異常は「血」の変調を、「血」の異常は「気」の変調をおこします。「血」の滞りを解消すると「気」の巡りもよくなります。
保温機能のあるインナーやカイロ、ひざかけなどで下半身の冷えを防ぎ、日頃から軽い運動を心がけて血流をアップしましょう。
また、体を芯から温めるには、シナモン・ジンジャー・コショウなどのスパイスを使った温かい食べ物や飲み物を摂るのもオススメです。

3.脂肪分を控えて「水」を巡らせよう

胸の張りに加えて、胸のあたりに重苦しさや息苦しさがある場合は、「水」の巡りが詰まっていることが考えられます。
もともと胃腸が弱っている方、普段から油っぽいものや乳脂肪類などの高脂肪のものを多く摂取している方は「水」の巡りが悪くなりがち。
ケーキや甘い飲み物、脂身の肉など、脂肪分の高いものはできるだけ控え、「水」の巡りを良くしてくれる食材を取り入れるようにしましょう。
小豆やシソ、里芋やこんにゃく、タケノコなど和食に多く使われる食材は「水」の巡りを良くする効果が高いので、積極的に取り入れてみてくださいね。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

月経前の胸の張りを改善するために、ピルなどの処方薬に頼るという選択肢に加えて、根本的な改善を目的とした漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、加味逍遙散(カミショウヨウサン)です。胸の張り以外にもイライラや不安、不眠などの精神症状が強い方の自律神経を整え血流を促し、症状を改善してくれる効果があります。
また、冷えが強く、貧血やめまい、頭重感などがある方には、血液の流れを良くして「お血」を改善してくれる当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)もオススメです。
一方、夫と言い争うなどイライラや怒りが抑えきれない方は、抑肝散加陳皮半夏(ヨクカンサンカチンピハンゲ)が感情の高ぶりを抑え、水分代謝も促すのでよいでしょう。

胸の痛みが起きる前の対策を心がけましょう

今回は、月経前の胸の張りに悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
「気・血・水」の詰まりをとって、巡りをよくするように日頃から心がけるようにしましょう。
また、セルフケアではなかなか症状が改善しない場合には、月経前症候群(PMS)による胸の張りや痛みの症状によく効く漢方薬もあります。ぜひ、お近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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