“つわり”と勘違いしてぬか喜び…生理前の吐き気はなぜ起きる?

体験談

生理の前になると気持ちが悪くなる、なんだか胃がムカムカする、と思っているうちに生理が来た……。それは、もしかしたら月経前症候群(PMS)による吐き気の症状かも!?
実は、多くの女性が月経前に起こるさまざまな症状に悩んでいます。

自分ではどうにもならない生理時の不調やつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を、医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「生理前の吐き気」をテーマに薬剤師の手塚智子先生にお話を伺ってみました。

毎月勘違いしてしまう生理前の吐き気、どうにかなりませんか?

亜由美さん(35歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

このところ、生理の前に吐き気があることが続き、気になって仕方がありません。
3年前に第一子を出産し、できれば30代のうちにもうひとり…と思っているせいか、胃がムカムカしてまるで”つわり”のような症状が数日続くと、妊娠したのかと思って毎月すごくドキドキしてしまいます。
期待したところで結局数日後には生理が来てしまうので、最近はあまり意識しないようにしていますが、やっぱり毎月吐き気が始まるたびに気になってそわそわしてしまいます。
主人にも「赤ちゃん期待し過ぎて、想像妊娠みたいになってるんだよ」なんて笑われているのですが、気持ちの問題ではないくらい気分が悪くなることもあり、毎月のストレスになってしまっています。
どうにかしてこの胃のムカムカが起きないようにしたいのですが、どうすればいいでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
妊娠を希望されているタイミングで生理の前の吐き気の症状があると、余計に症状が気になってしまいますよね。
今回は、生理前に起こる吐き気の原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

プロスタグランジンと水分代謝の悪化が吐き気の原因

月経前は、体内のホルモンバランスが急激に変化し、プロスタグランジンと呼ばれる生理活性脂質が急増します。
プロスタグランジンは、子宮を収縮させて経血を排出しやすくする働きがありますが、過剰に分泌されると、筋肉の収縮作用により胃や腸が締め付けられ、吐き気をもよおすことがあるのです。

また、東洋医学では、生理の前は「気・血・水(生命エネルギー・血液・水分)」が滞りやすくなると考えられています。「気」や「血」の不足や滞り、またそれによって「水」の巡りが滞って体の代謝や排泄機能が低下することも、胃腸障害や吐き気の原因と言えます。

次の章では、こうした月経前に起きやすい吐き気に対する具体的な解決方法をお伝えしていきます。

月経前の吐き気を抑えるセルフケア3選

1.お腹のまわりを温めましょう

吐き気がしたら、まずは体を温めましょう。頭痛による吐き気、体内の水分代謝の悪化による吐き気、冷えによる頭痛なども、お腹まわりを温めて血流をよくすることで症状を和らげることができます。
ぬるめのお湯(38℃〜40℃程度)にゆっくりつかって体を芯から温めたり、腹巻きやカイロでお腹を温め、日頃から冷やさないようにする習慣をつけましょう。

2.刺激物を控えた食生活を心がけよう

吐き気の強いときには、胃に負担をかけない食事を心がけることが大事です。
冷たいものや辛いもの、カフェインたっぷりのコーヒーなどの刺激物は避け、生姜やナッツなど、血行をよくして体を温めてくれる効果のある食材を積極的に取り入れるとよいでしょう。
また、食事を抜くなど無理なダイエットをすると、体が冷えて胃に負担がかかってしまいますので控えてくださいね。

3.ストレスケアをして自律神経を整える

月経前のホルモンバランスの変化により自律神経が乱れることでも、吐き気が起こることがあります。
睡眠をしっかり取り、日頃からストレスを溜めないようにすることで、月経前の吐き気の症状が起きにくい体質に改善していきましょう。
どうしても吐き気の症状がつらいときは、無理して家事や仕事をせず、横になって休憩することも大事です。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

月経前の吐き気を改善するために、ホルモン療法や市販薬などに頼るという選択肢に加えて、根本的な改善を目的とした漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、五苓散(ゴレイサン)です。
体内の水分の代謝機能を正常な状態に戻す働きがあり、「水」の巡りを良くして吐き気やむくみ、下痢などを鎮静させる効果があります。
また、頭痛による吐き気が強い場合は、「気」や「血」の巡りを良くして体を温めてくれる呉茱萸湯(ゴシュユトウ)もオススメです。

体を温め、胃に負担をかけないようにしましょう

今回は、月経前の吐き気に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
お腹まわりを温め、普段から体を冷やさない習慣をつけるようにしましょう。
また、月経前の吐き気には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。


手塚智子

大学院修了後、研究職に従事し漢方を学ぶ。その後、薬剤師として臨床で働く傍ら様々な接客業を兼業し、渡米。帰国後、体の内外にアプローチ出来ることを目指して薬剤師兼ビューティーディレクターとして就業中。

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