イヤな仕事中に限って全身がかゆくなる!原因は一体何?

皮膚症状

疲れがたまると体じゅうがかゆくて仕方がなくなる。体全体が乾燥してかきむしるほどにかゆみの範囲が広がってつらい…。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「全身のかゆみ」をテーマに、薬剤師の中田早苗先生にお話を伺ってみました。

会社のデスクで体をかきむしる日々…つらいかゆみとストレスから脱したい

玲子さん(38歳女性)、会社員の方からご質問をいただきました。

もともと皮膚が弱いのか、ちょっとした寒暖差や汗かぶれで体にかゆみが起きやすいタイプなのですが、このところ全身が熱を持ったように猛烈にかゆくなる症状が続いていて困っています。
ちょうど仕事もうまくいかず、営業ノルマも部署で一人だけ達成できていないこともあって、会社に行くのも憂うつで仕方がありません。
そんなときに起きたこのかゆみ…。まさに“泣きっ面に蜂”とはこのことです。休日に自宅で過ごしていると少しは調子がいいものの、取引先を回っていたり、会社で残業していたりするときに限って症状がひどくなるので、仕事にまったく集中できません。
先日も、会社のデスクで取引先のデータを整理しながら「あ〜、帰りたいっ!」なんて思っていたら、全身がゾワゾワッと総毛立ったような感じになり、猛烈なかゆみの発作が起きてしまったんです。着ていたシャツがぐちゃぐちゃになるほどかきむしって、「もう無理!」と思って帰宅して鏡を見ると、全身が真っ赤に!
どうにかして、このつらいかゆみの発作を抑える方法はないでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
全身に起こる発作的なかゆみにはさまざまな要因がありますが、ストレスや疲労も原因の一つと考えられています。
今回は全身のかゆみの原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

全身のかゆみはストレスや皮膚への刺激が原因

全身のかゆみが起こる原因はさまざまですが、中でも多いのは、皮膚刺激によって生じる蕁麻疹(じんましん)によるかゆみです。
蕁麻疹には、急な温度変化や汗によるかぶれ、衣服と擦れることなどによって生じるものに加え、疲労やストレスの蓄積により交感神経が活性化し、かゆみの原因物質であるヒスタミンが過剰分泌されて起こるものもあります。
また、加齢により皮脂の分泌が低下することで皮膚が乾燥し、広範囲にわたってかゆみが発生することもあります。

東洋医学では、かゆみの症状は「気・血・水(生命エネルギー・血液・水分)」のバランスが崩れ、「風邪(ふうじゃ)」の影響を受けることにより起こると考えられています。
特に体のいたるところがかゆい場合は、「風湿熱毒(ふうしつねつどく)」といって、体に余分な熱が溜まると体内に毒素が生まれ、かゆみが生じていると考えます。

次の章では、このような「全身のかゆみ」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

全身のかゆみを緩和する3つのセルフケア

1.寒暖差を避けしっかり全身を保湿する

外気との寒暖差の激しい夏や冬は、急激な皮膚の温度変化や乾燥により、かゆみの症状が強くなることがあります。
寒冷による空気の乾燥や暑さによる汗かぶれを防ぐためにも衣類で調整したり、症状の強いときには寒暖差の激しい場所への出入りを避けるようにしましょう。
こうした寒暖差に加え、運動時の発汗で汗が皮膚に溜まることによりかゆみが起こることもあります。運動時は、吸水性のよい肌着やウェアを着用すると良いでしょう。
また、空気の乾燥する冬場は、入浴後に全身をしっかり保湿したり、部屋の湿度を保つために加湿器を使うことなども効果的です。

2.適切なストレス対策を心がける

蕁麻疹などのかゆみの症状は、特定の食品や犬猫の毛、金属、薬の副作用などを、体が「毒素」として捉えて排泄しようとする働きにより生じます。
同じように、過剰なストレスなども体にとっては「毒素」のひとつとして認識され、かゆみなどの皮膚トラブルを起こす原因となってしまうのです。
ストレス源となっているものを完全に生活から排除することは難しいと思いますが、できるだけストレス源から距離を置いたり、上手な発散法を見つけたりして嫌な気持ちや感情を溜め込まないようにすることが大切です。

3.睡眠・生活習慣を見直しましょう

ストレスに加え、不規則な生活や睡眠不足などによる疲労の蓄積も、全身のかゆみを生じさせたり悪化させたりする原因になります。
平日に溜まった疲労を、週末に長めに寝ることで解消できたつもりになっていませんか? 
実際は睡眠の質が低下していて疲れがうまく解消できておらず、気づかないうちに慢性疲労になっていることもあります。自律神経や免疫力を整えるためにも、質の良い睡眠をとることを心がけましょう。
そのためには、まずは決まった時間に起床・就寝できるように生活のリズムを正しく整え、高脂質の食事やジャンクフード、嗜好品を避けて和食中心の高タンパク低脂質な食事を摂るように心がけてみてください。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

全身のかゆみを改善するために、市販薬や処方薬の服用などの選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、消風散(ショウフウサン)です。
蕁麻疹やあせもなど、肌が熱を帯びて強いかゆみがある方の余分な「熱」を冷まし、毒素を排出して痛みの発作を和らげる効果があります。
また、加齢や極度の乾燥により肌がカサカサとして広範囲にわたって皮膚のかゆみが起きる方には、「気」や「血」を補って肌に栄養と潤いを与えることでかゆみを緩和する当帰飲子(トウキインシ)も良いでしょう。

自分の症状や体質にぴったりマッチした漢方薬を選ぶのは難しいと感じがちですが、「オンラインAI漢方」では、お悩みの症状を元にAIがあなたにぴったりな漢方薬をご案内しています。自宅にいながら気軽に始められますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

あんしん漢方のサービス紹介はこちらをご確認ください。

疲れやストレスを解消して症状の起きにくい体を目指しましょう

今回は、全身のかゆみに悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状の改善のためには、生活のリズムや環境を整えてストレスや疲労を溜め込まないようにしましょう。そして、繰り返す慢性の蕁麻疹やかゆみのある方は、無理せず皮膚科医の診察を受けることも大切です。
また、こうした気になるかゆみの改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。


中田早苗

あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師 中田 早苗 薬剤師。認定運動支援薬剤師。就実大学薬学部卒業。病院薬剤師として約7年間勤務後、漢方薬局で2年間勤務。ファスティングマイスターとして100名以上のファスティングをサポート。TiktokやInstagramでファスティング・美腸を普及する活動も行っている。

プロフィール

関連記事