忙しい主婦を襲った悲劇!発熱で寝込んだだけで家中がメチャクチャに
身体中がだるく、関節も痛くなってきたと思ったら熱が上がってきた、喉に違和感を感じ、咳も出てきたので熱を測ったら発熱していた……。
このように、風邪をひいたときの症状にはさまざまなものがあり、それぞれに原因や対処法が異なります。
こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。
今回は「風邪による発熱」をテーマに、薬剤師の中田早苗先生にお話を伺ってみました。
目次
家のことが何もできない! つらい発熱をどうにかして…
佳菜さん(35歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。
先日うっかり風邪をひき、2日間ほど寝込んでしまったのですが、一家の主婦が熱を出したらとんでもないことになるということを、嫌というほど思い知りました!
その日は、育児疲れと寝不足で朝から体がだるく、喉がイガイガする感じもしていたのですが、慌ただしく時間に追われていたんです。
そうしたら翌日、朝から寒気と背中の痛みで幼稚園に子供を送るのがやっとの状態に……。
帰宅して横になり、しばらくして熱を測ったら38℃の発熱が!
主人に連絡するも会議中や忙しいのか返信もなく、這うようにして自分で幼稚園に息子をお迎えに行くはめになりました。その足で薬局に行って風邪薬を買い、コンビニで食料を調達して帰ってきましたが、騒ぐ子どもをなだめてアニメを見せたり寝かしつけたりしているうちに、さらに熱は上がる一方。
食べ散らかした容器を片付けることもできず、洗い物も散乱したままソファに倒れこむので精一杯でした。
夜、玄関のドアが開く音でやっと目が覚めたのですが、リビングのドアを開けた瞬間の、主人のギョッとした顔が今でも忘れられません。
その後も寝込んでいた2日間で家中メチャクチャになったのは言うまでもなく……。
もう発熱はまっぴらです。どうにかしてサッと熱を下げる方法はないでしょうか?
ご質問ありがとうございます。
発熱は体がウイルスと戦っているためで、休養が必要という体からのシグナルでもあるのですが、忙しい主婦の方にとっては、思うように動けなくなる発熱はつらいですよね。
今回は、風邪による発熱の原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。
発熱はウイルスと「風邪」×「熱邪」が原因
風邪による発熱は、ウイルスが体内に侵入した際に免疫を活性化させるため、脳の体温調節中枢が働き、体温を高い温度に設定しようとすることで生じます。
全身の筋肉を震えさせて体に熱を生み出し、体に侵入したウイルスを攻撃するように免疫細胞に働きかけるため、この時に悪寒や関節の痛みなどが風邪の症状として現れてくるのです。
また、強いウイルスに感染したときほど体温は高く設定されるため、インフルエンザなどに比べて通常の風邪では高熱が継続することは少ないことが多いです。
東洋医学では風邪は、「風邪(ふうじゃ)」を感受することによって引き起こされると考えられており、なかでも発熱やほてりの症状は「風邪」に強い炎症である「熱邪(ねつじゃ)」が合わさって起きると考えられています。
次の章では、こうした風邪による発熱に対する具体的な対処方法をお伝えしていきましょう。
発熱してしまったときの対処法3ステップ
1.「発熱の前兆期」は体温を逃さず体を温める
発熱の前兆期は、体内に侵入したウイルスを攻撃するため、筋肉を震わせて体が体温を上げようとしている時期です。
体温を逃がさないように保温性の高いパジャマやルームウェアに着替え、暖かい部屋で布団を掛けて休養するようにしましょう。
2.「発熱のピーク」はビタミンCの補給を!
「上昇期・ピーク期」は、発熱することでウイルスに抵抗する免疫細胞の働きが活発になってくる時期です。
免疫細胞が働く際には、大量のビタミンCが失われるため、食べ物や飲み物から補給することが大切です。
果物、ビタミンゼリーやホットレモンドリンクなどでビタミンCを補給しましょう。
3.「解熱回復期」は水分補給を心がける
発熱がピークを超える頃には、大量に汗をかくため、こまめに着替えをして汗で体を冷やさないようにしましょう。この時期は、発汗により多くの水分が体から失われていますので、スポーツドリンクやミネラルドリンクなどでしっかり水分補給をするように心がけてください。
熱が下がり始めたら、平熱に戻るのをサポートするべく、太い動脈の通っている脇の下や首、太ももの付け根を冷やすのもオススメです。
また、発熱後は胃の機能が低下しており、消化不良を起こしやすい状態になっています。
無理に栄養を取ろうとせず、消化の良いものから徐々に摂るようにしましょう。
根本的な体質改善には漢方薬が効果的!
風邪による発熱症状を改善するために、処方薬や市販薬の服用という選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、麻黄湯(マオウトウ)です。発熱に加えて喉の症状や関節の痛みの強い方の体を温め、ぞくぞくとする寒気や筋肉のこわばりをほぐして痛みを和らげる効果があります。
また日頃から疲れやすく風邪をひきやすい方や胃腸の弱い方には、体の熱や痛みを発散する効果のある桂枝湯(ケイシトウ)も良いでしょう。
発熱の段階に合わせたケアで回復を目指しましょう
今回は、風邪による発熱症状を緩和するためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
発熱の「前兆期」から「ピーク期」、「解熱回復期」と、発熱の段階を追って適切な対処をすることで早期の回復を目指しましょう。
また、こうした風邪によるさまざまな症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。