もしや妊娠?という淡い期待を打ち砕く「稀発月経」にヒヤヒヤ…

体験談

生理予定日を過ぎているのに生理がこない、生理の回数が少ないのに経血量が少ない…。
それは、もしかしたら黄体機能不全などによる稀発月経かも!?

そんな自分ではどうにもならない生理周期の乱れや体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「稀発月経」をテーマに薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

忘れた頃にやってくる生理…なんとか正常に戻したいです!

カレンダーとペン

佳菜さん(32歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

出産未経験なのですが、数年ほど前から生理の周期がどんどん長くなり、いまや生理がいつくるのかも全然わからない状態になってしまいました。
以前はたまに不規則になることはあっても、だいたい28日周期で生理がきていたので、毎月予定日を記録していました。ところが、予定日を過ぎても生理にならないことが増え、次第に40日ほどの間隔になり、先月はついに2ヶ月間生理がなく、予期せぬ日に突然来た生理に慌てふためいてしまったほどです。
最初のうちは、年齢的にも「もしかしたら妊娠?」なんて淡い期待を抱いたりもしたのですが、こうも間が空いては突然生理になることが続くと、いい加減疲れてきてしまいます。
経血量も以前よりだいぶ少なくなり、体の冷えや生理痛もつらくなってきているので、どこか婦人科系統がおかしいのではと毎日悩む日々です。
どうしたらこのおかしな生理周期を整えることができるでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
予定どおりに生理がこないうえ、経血の量も減っているのは不安ですね。
では今回は、稀発月経の原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

「血」の不足と「腎」の衰えが稀発月経の要因

子宮イラスト

月経周期が40日程度〜それ以上長くなることを稀発月経といいます。
原因としては、卵巣機能の低下やストレスにより低温期が長くなることで、排卵が起こりにくくなっている可能性が考えられます。
低温期が長いということは、卵胞を育てるのに通常よりも時間がかかっているということで、状態が悪化すると無月経や不妊を招くこともあります。

また、東洋医学的な見方では、月経の周期が長くなるのは「血」の不足による「血虚」や「腎」の衰えによる「腎虚」の状態に陥っていると考えます。
「血虚」や「腎虚」の状態では、月経を起こすだけの血が蓄えられないために体に栄養が行き渡らず、卵巣の働き自体が弱ってしまうこともあるため、「血」を補い「腎」を養生することが大切です。

次の章では、こうした稀発月経に対する具体的な解決方法をお伝えしていきます。

稀発月経を改善するためのデイリーケア3選

1.バランスのとれた食生活を送りましょう

蒸し野菜の御膳

月経周期を改善するには、栄養バランスのとれた食生活が大事です。
好き嫌いをしたり、一定のものだけを食べ続けるような偏食や、栄養不足を招くほどの無理なダイエットなどはしないようにしましょう。
偏食やダイエットによって栄養失調気味になると、血が作られなくなるのはもちろん、飢餓状態と認識した脳が月経を止めようとする機能が働き、稀発月経を招くことがあります。

2.睡眠のリズムを整えることも大事

平日・休日に関わらず、毎日決まった時間に起床・就寝することを心がけましょう。
昼夜が逆転した生活を送ったり、睡眠のリズムが乱れたりすると、体内時計を調整するメラトニンの分泌が少なくなり、子宮の活動をコントロールするホルモンの分泌に影響が出ることがあります。
また、体内のホルモンバランスを整え、規則正しく排卵されるようにするためには、質の良い睡眠をたっぷり取ることも大切です。
睡眠のリズムが乱れていると感じる場合はすぐに改善するようにしましょう。

3.過労とストレスを回避しましょう

ウォーキングを楽しむ女性

仕事や家事で蓄積してしまった疲労や、精神的なストレスは女性の体にとって大きな負担となります。
精神的ストレスや、緊張によって女性ホルモンをコントロールする脳の視床下部が影響を受けると、ホルモンバランスが乱れて卵巣機能に影響を与えてしまいます。
こうした状態が長く継続しないように、なるべく早くストレスを発散して解消したり、休日にはしっかり体と心を休めるなどの工夫をしてみてください。
軽い運動で汗を流したり、趣味に没頭するのもよいでしょう。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

漢方薬

稀発月経を改善するために、ホルモン療法などの選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)です。貧血気味で経血量も少なく、「血虚」の状態になっている方の体を温めて血流をよくし、ホルモンバランスを整えて月経不順を改善してくれる効果があります。
また更年期にあてはまる年代でのぼせや不眠などがある方には、自律神経の乱れを改善してお血を改善する効果のある加味逍遙散(カミショウヨウサン)もオススメです。
一方、妊活にも取り組んでいるような女性の場合は、からだを温め血流を促し潤いも与える温経湯(ウンケイトウ)もよいでしょう。

健康的な生活を送ることでホルモンバランスを整えましょう

早寝早起き

今回は、稀発月経に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
栄養たっぷりの食生活や睡眠リズムの改善、またストレスを溜めない工夫をすることでホルモンバランスを整える工夫をしていきましょう。
また稀発月経の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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