衝撃!痛みのない血便だからと放置していたらポリープが発覚!

体験談

排便時に便とともに出血し、どうしたことかと慌てたもののどこにも痛みがない。血便が出るのにそれ以外の症状がない…。
このような「痛みをともなわない血便」に悩んでいる方が少なくないのではないでしょうか。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「痛みをともなわない血便」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

2ヶ月続いた痛みのない血便…検査して原因がわかったら急に不安に

診察を受ける女性

初美さん(62歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

ここ2ヶ月ほど、排便時に少量の血がついていることが多く、気にはなっていたのですが、痛みも全くありませんし、どうにも昔から病院が苦手で…。
どうせ長年の付き合いの痔が切れたのだろう、などと思うようにしていたのですが、自分でも心のどこかで心配だったのでしょうか。娘が孫を連れて遊びに来たときに、ついうっかり世間話のついでにそのことを話してしまったんです。
そうしたら娘が「大腸がんかもしれないのになんで放っておくの!」だの「病院までついて行ってあげるからすぐに検査を受けて」だのとそれはもうやかましくて。
あまりにも熱心に言ってくれるので、私もやっとその気になって大腸カメラで検査したところ、ポリープが2つも見つかりました。幸いにもその場ですぐに切除してもらえたのですが、やっぱり痔ではなくポリープによる出血だったと知ると、ポリープから大腸がんになることもあるそうですし、なんだか急に怖くなってしまいました。
今後も同じような症状が出ればすぐに検査をしようと思いますが、同じことが起こらないよう、自宅で行える予防策があれば知りたいです。

ご質問ありがとうございます。
痛みやその他の自覚症状がないにも関わらず血便の症状があったとのこと、検査の結果が出るまではとても不安な気持ちだったかと思います。
今回は、こうした痛みをともなわない血便の原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

腸内の粘膜で起こる出血が痛みを感じない血便の原因

東洋医学の五臓相関図

血便とは消化管内で出血が生じ、血液が混入した状態で排出される便のことですが、出血が起きた部分によっては、痛みが生じない場合があります。
痛みをともなわない血便が出る病気としては、大腸・直腸などにできるポリープや大腸憩室出血などが考えられます。
大腸ポリープは大腸の内側の粘膜に発生しますが、大腸の粘膜には痛みを感じる神経が無いため、痛みの自覚症状がないことが多いのです。
また、痔による血便も腹部に痛みはありませんが、大腸ポリープや大腸がんなどの病気が原因になっていることもあるため注意が必要です。血便が出たら必ず病院で検査し、原因に合わせた対処をしましょう。

東洋医学では、こうした腸で起きる炎症は、腸をつかさどる「肺」と、生殖活動や免疫機能をつかさどる「腎」の機能低下によって起こると考えられています。
次の章では、このような「痛みをともなわない血便」の起こる病気を予防するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

痛みのない血便症状を予防する方法3選

1.腸内の環境をよい状態にしておくこと

皿に盛られたしらす

腸内の環境を整え、腸の状態を良くしておくことは、腸のあらゆる病気になりにくくなり、健康を保つためにも大切なことです。
腸によい働きをする食品の例としては食物繊維、カルシウム、ビタミンD、発酵食品、乳酸菌などの多く含まれるものがあげられます。
特に、ビタミンDには腸からカルシウムの吸収を高め血中濃度を高める働きがあるため、積極的に取り入れるようにしましょう。

◎ビタミンDの豊富な食材
シラス干し、イワシ、イクラ、鮭

2.暴飲暴食を避け、適度な運動をする

油っぽいものや辛いものを食べ過ぎること、甘いお菓子やジャンクフード、アルコールやタバコなどの嗜好品を取り過ぎることとは、胃だけでなく腸にも大きな負担がかかります。
食事は消化によく食物繊維やビタミン・ミネラルも豊富な和食中心のメニューを取り入れ、腹八分目を心がけるようしましょう。
また、消化のサポートとなるような適度なエクササイズで筋肉を衰えさせないようにすることも大事です。
毎日の生活のなかで、負担にならない程度のウォーキングやストレッチなどを継続的に行うようにしてみてください。

3.ストレスケアをして自律神経を整える

ハーブティー

ストレスはあらゆる病気を悪化させる引き金になるといいますが、血便についても例外ではありません。
もちろん、ストレスそのものが血便の原因になるわけではありませんが、血便の原因となる病気を悪化させ、炎症や出血を助長すると考えられています。
ストレスを溜め込みやすい方は、適切なストレスケアを行い、自律神経を整えるように心がけましょう。
気持ちを落ち着け、穏やかな眠りに誘ってくれるカモミールティーやレモンバームティーなど、自律神経を整える効果のあるハーブティーを寝る前のリラックスタイムに飲むのもオススメです。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

漢方薬イラスト

痛みをともなわない血便を改善するために、病院での処方薬の服用などの選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)です。血圧が高めでイライラ感などのある方の体の熱や炎症を取り、機能の亢進を鎮める働きがあります。また、大建中湯(ダイケンチュウトウ)は腸の働きを正常化するだけでなく、炎症に効果があると報告されています。
一方、腸の不調による腹痛はないものの、痔が悪化して出血を起こしている方には、体の下部で起こる出血を抑え、貧血を改善する効果のある芎帰膠艾湯(キュウキキョウガイトウ)も良いでしょう。

食生活の改善と適度な運動でリフレッシュしましょう

ジムでランニングマシンを使う

今回は、痛みをともなわない血便が伴う病気のための予防策や漢方薬をご紹介してきました。
毎日の食生活を見直し、適度な運動を取り入れて体調管理を怠らないようにしましょう。
そして、血便の症状があるときは自己判断せずに病院で診察を受け、医師の指示に従うことが大切です。

また、こうした気になる血便の症状の予防や改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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