ご飯も作りたくない…生理前の異様な倦怠感でおしどり夫婦が崩壊の危機!

水が出ているキッチン
体験談

なんだかちっともやる気が起きないと思ったらちょうど生理の前だった、いつもはテキパキ片付けられるのになぜかダラダラしてしまう…。
それは、もしかしたら月経前緊張症(PMS)による倦怠感かも!?

実は、多くの女性が月経前に起こるさまざまな症状に悩んでいます。
そんな自分ではどうにもならない生理前の不調やつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「生理前の倦怠感」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生へお話を伺ってみました。 

謎の倦怠感に育児だけで手一杯…もう気力がありません

倦怠感をおぼえる女性

亜由美さん(36歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

このところ体調の波があり、以前の私では考えられないような家事放棄を繰り返してしまい、仲の良かった夫ともケンカが絶えず困っています。
というのも、2年前に第二子を出産し授乳を終えてから、生理の前になるとなぜかガクンと気力がなくなり、ものすごい倦怠感に襲われることが多くなってしまったんです。
胃腸の調子も悪く食欲もないせいか、育児だけでも手いっぱいでヘトヘト。当然、夜遅く帰ってくる夫の食事を作る気力はゼロ…。
以前は仲良く晩酌したりして、夫婦水入らずの時間を楽しんでいたのですが、最近は主人も諦めたのか外食して帰宅するようになり、会話もなくなってしまいました。
それどころか、元気な時に一生懸命作った食事も「食べてきたから」と断られたり、休日に出かけようといっても「疲れてるんだから寝てれば?」などと言われ、思わず言い返してしまって険悪になることも多々あります。
どうにかしてこの謎の倦怠感を改善することはできないでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
育児と家事を頑張っているなか、さらに生理前の倦怠感まであるのはつらいですよね。
今回は、生理前の倦怠感の原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

月経前の倦怠感はホルモンと自律神経の乱れが原因!

東洋医学の三要素「気・血・水」

月経前のさまざまな不調の原因ははっきりとはわかっていませんが、女性ホルモンバランス(エストロゲン、プロゲステロン)の変化や栄養バランスの乱れなどが影響しているといわれています。
特に排卵から月経前にかけては急激にエストロゲンの量が減少し、自律神経が乱れて、体調不良が起こりやすくなります。

東洋医学的な見方では、月経の前になると、「気・血・水(生命エネルギー・血液・水分)」の流れが滞ったり不足し、それによって様々な不快な症状や痛みが生じたりすると考えられています。

次の章では、こうした月経の前に起きやすい倦怠感に対する具体的な解決方法をお伝えしていきましょう。

今すぐできる!月経前の倦怠感を解消する3つの対策

1.気分転換に努め、周囲の理解を得ること

アロマテラピー

だるくて何もやる気が起きないときに、「それでもがんばらなくては」と気を張ってしまうとそれがストレスとなって、体調不良がさらに悪化してしまうことがあります。
この期間のつらい症状は「休養が必要」という体のサインと考えて、ゆったりとした気持ちで過ごしてみましょう。
自分のだるさや倦怠感が、月経によるものであることを周りの人と共有して理解してもらい、少しでも気持ちを軽くすると良いでしょう。

2.鎮痛剤の用法・用量を守りましょう

つらい生理痛を和らげるために鎮痛剤を何度も飲んでしまう方も多いのでは。
用法・用量を守って使用するには問題ありませんが、まだ痛みがないのに予防として飲むなどの使用は避けましょう。
鎮痛剤の中には、副作用として眠気を引き起こすものもあります。成分をきちんと確認してからの内服をオススメします。

3.普段のライフスタイルを見直そう

目覚めの良い女性

月経前の症状が強い場合、普段の生活における食生活や睡眠のリズムが乱れていたりすることが影響している可能性もあります。
栄養バランスのとれた食事を摂り、できるだけ毎日同じ時間に起床・就寝するようにしましょう。
質の高い睡眠をとるためには、なるべく日中に有酸素運動で体を動かして、午後3時以降は覚醒作用のあるカフェインを控えてくださいね。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

さまざまな生薬と煎じ薬

月経前の倦怠感を改善するために、市販薬や処方薬に頼るという選択肢に加えて、根本的な改善を目的とした漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、補中益気湯(ホチュウエッキトウ)です。胃腸の働きを高めることで、生命エネルギーである「気」の量が不足した「気虚」の状態を改善する効果があります。
また、貧血気味で体力がなく冷えがある方には、人参養栄湯(ニンジンヨウエイトウ)、倦怠感だけでなくイライラや不安、冷えのぼせなどもある場合には加味逍遙散(カミショウヨウサン)もオススメです。

倦怠感を解消してスッキリした気分を取り戻しましょう

仲良く料理をする夫婦

今回は、月経前の倦怠感に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状を悪化させないためにも、普段から生活リズムを整えたり、周囲の理解と協力を得られるようにしておけるといいですね。
また、月経前の倦怠感などの症状には、漢方薬が優れた効果を発揮することも多くあります。体質にあったものを取り入れて、根本からの体質改善を目指してみましょう。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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