もう限界!ストレスや緊張を感じるたびに襲う腹部の痛みに困惑…
仕事でストレスを強く感じると左下腹部に痛みが起きる。緊張するようなシーンでは必ずお腹が痛くなってしまう……。
こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師がお答えしていきます。
今回は「ストレスによる腹痛」をテーマに、神戸海星病院麻酔科の桐田泰江先生ににお話を伺ってみました。
目次
波のように襲う腹部の痛み…トイレ行きたい、の一言が言えずに撃沈!
綾子さん(39歳女性)、会社員の方からご質問をいただきました。
半年ほど前に同業他社から転職してきたのですが、素朴な雰囲気の人が多い前の会社から、キリッとしたオシャレな人が多い職場への転職だったせいか、いまだに出社するたびに謎の緊張感に襲われる日々です。
そのせいで、というわけではないのでしょうか、慣れない職場環境であることも加わり、通勤途中や会議の前などの緊張するシーンに限って激しい腹痛に見舞われることが多くなり、とても苦しい思いをしています。
先日も、部署の上司と一緒にクライアントの会社に向かう途中で左下腹部のあたりがシクシクと痛み出し、急激な便意が! でも、まさか私のせいで遅刻するわけにも行かないと思い、必死で我慢してしまったんです。
何度も波のように襲う痛みに耐え、上司に「そんなに緊張しなくてもいいのに。リラックスリラックス!」と背中を叩かれた瞬間に漏らしそうになる始末。当然、先方の会社に着く頃には汗で背中までびっしょりです。
その後も地獄のような時間を耐え、なんとか乗り切り帰社しましたが、打ち合わせ後にトイレに駆け込むまでに何度も「痛い痛い!もう漏れる!限界!」と心の中で叫んでいたことを、上司は知る由もありません。
そんなわけで、ストレスフルな毎日に加え、不快なお腹の症状まで加わり心が休まる暇もない状態です。
なんとかこの繰り返すお腹の症状を改善する方法はないものでしょうか?
ご質問ありがとうございます。
緊張やストレスによって腹痛や下痢、便秘などを繰り返してしまうお腹の症状は、自分ではなかなかコントロールすることも出来ず、つらいですよね。
今回は、ストレスによって腹痛が起こる原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきますね。
ストレスによる腹痛は自律神経の過緊張が原因
胃腸の働きは、自律神経と深い関わりがあり、ストレスを受けることにより大きな影響を受けると考えられています。
ストレスによって自律神経が影響を受け、コントロール機能が乱れると、胃腸の働きにも異常をきたします。
近年よく見られる症状として、緊張や不安からストレスを感じることで腸が過敏になり、下痢、便秘、腹痛などの症状が出る「過敏性腸症候群」があり、こうした兆候を持つ人は年々増加傾向にあります。
また東洋医学では、ストレスによる起こる胃腸症状は、自律神経の過緊張状態から生じる「肝鬱気滞(かんうつきたい)」の状態に陥ることによって生じると考えられています。
次の章では、このような「ストレスによる腹痛」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。
ストレスによる腹痛を改善する3つのセルフケア
1.ストレスに負けない腸内環境を整える
ストレスによって起こる下痢や便秘の症状と腸内環境には深いつながりがあります。
油っぽいものや甘いもの、アルコールなどの嗜好品の過剰な摂取は腸内細菌の悪玉菌を増やし、善玉菌を減らしてしまいます。
過敏性腸症候群の兆候のある方の中には、腸内環境が崩れている方も多いため、こうした食生活の乱れや不摂生に反応して腹痛や下痢、便秘などの胃腸症状を起こしやすいのです。
多少のストレスを感じても影響を受けづらい体になるためにも、不摂生な食生活や嗜好品の摂取をできるだけ避け、腸を冷やすような飲み物や食べ物を控えるように改善していきましょう。
2.深い呼吸とストレッチでリラックスを
ストレスや緊張を感じる時には、大きく深呼吸をしましょう。深呼吸をすると自然と腹式呼吸になり、自律神経のバランスを整えることができます。
特に、息を吐くことに意識を集中させるようにすると副交感神経の働きが高まり、気持ちを落ち着かせることができます。
また、仕事中は集中することも大事ですが、根を詰め過ぎてしまうと緊張感が高まり、血流も悪化してしまいます。1時間に1回は仕事の手を休め、簡単なストレッチで背筋や腹筋を伸ばしてリラックスしたり、休憩を挟んで穏やかな気持ちで過ごすようにしましょう。
3.アロマテラピーの力で自律神経を整える
アロマテラピーに使われる「精油」(エッセンシャルオイル)には、その香りによってダイレクトに脳に働きかけ、自律神経やホルモンバランスを整える効果があります。
ストレスによる腹痛を和らげる効果のあるものをいくつかご紹介するので、好みの香りを選び、緊張するシーンでハンカチに1〜2滴垂らして側に置いたり、入浴の際にバスタブに3〜4滴垂らしてアロマバスにして楽しんでみてください。
◎ストレスを緩和する精油
カモミールローマン・ローズマリー・ゼラニウム・レモン・スイートマジョラム・ブラックペッパー・ジンジャー・ペパーミント
根本的な体質改善には漢方薬が効果的!
ストレスによる腹痛を改善するために、処方薬の服用などの選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、四逆散(シギャクサン)です。
緊張感や不安感が強い方の「肝鬱(かんうつ)」と呼ばれる自律神経の過緊張状態を緩和し、腹痛や下痢症状を改善する効果があります。
また体力がなく疲労感があり、ストレスに弱い方には、お腹を温めて腹直筋の緊張を取ることで症状を和らげる桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ)も良いでしょう。
自分の症状や体質にぴったりマッチした漢方薬を選ぶのは難しいと感じがちですが、「オンラインAI漢方」では、お悩みの症状を元にAIがあなたにぴったりな漢方薬をご案内しています。
自宅にいながら気軽に始められますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
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食生活を改善し、自分に合った方法でリラックスを!
今回は、ストレスによる腹痛に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状の改善のためには、不摂生な食生活や嗜好品の摂取を避けること、また長時間の緊張状態を避けて、こまめに息抜きやリラクゼーション法を取り入れることが大事です。
また、こうした気になる腹痛の症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。