何かを食べるたびにお腹が重だるい…残業とお腹の不調で疲労困憊!

体験談

食べすぎていないのに食事をした後お腹が痛くなる。悪いものを食べたわけでもないのに食後しばらくすると腹痛が起きお腹が緩くなる…。
このような「食後の腹痛」に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
 「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「食後の腹痛」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

食事の時間が楽しくない…何を食べても襲うお腹の不調の原因は?

綾子さん(41歳女性)、会社員の方からご質問をいただきました。

このところ、何かを口にすると起こるお腹の不調に悩んでいます。
特に食べ過ぎたわけでも、油っぽいものを多く摂っているわけではないのですが…。食事の後には必ずと言っていいほど胃がもたれ、お腹が張るような重だるいような感じになってしまい、横にならずにはいられないほどなんです。
特に、ここ最近は部下のテレワークのしわ寄せで、中間管理職の私は社内業務がてんこ盛りだったため、朝早く出社するのはもちろん、終電近くまで残業し、帰宅後に慌てて食事を摂るような生活を送っていました。帰宅して遅めの夕食を摂ると、疲れてそのままうっかり寝てしまうことも多くて。朝起きてもまだ胃やお腹の不快感が残り、朝ごはんもまともに食べられません。
こんな症状が起きるのは、空腹状態で食べるからいけないのかとも思い、残業中にちょっとしたお菓子をつまんだりはしてみたのですが、かえって甘いお菓子が胃にもたれてしまって、そこでもまた気持ち悪くなってしまいました。
日々の仕事に追われて疲労困憊なので、せめて食事タイムくらい楽しく過ごしたいのですが、食べることでお腹の不調が起きてしまうので楽しい気持ちになどなれそうになく、このままでは不摂生かつ不健康な生活が続いてしまいそうです。
いったいどうしたらこの食後のお腹の重だるさや痛みなどの不快症状から解放されるのでしょうか?
何か良い改善方法があれば教えて下さい。

ご質問ありがとうございます。
お忙しい毎日の中で、決まった時間に食事を摂れないご様子ですので、自律神経の乱れから胃腸の働きが弱ってしまっているのかもしれませんね。
今回は、食後の腹痛の原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

食後の腹痛は自律神経の乱れと「脾虚」が原因

特に食べ過ぎたわけでもないのに食後になると腹痛が起こるのは、自律神経の乱れによる影響が大きいと考えられています。
ストレスや疲労、緊張などにより胃腸などの消化管の働きが弱まり、胃の粘膜に炎症を起こしているところに食べ物が入ってくると、さらにそれが刺激となって痛みを感じることがあります。
また、腸が過敏に反応してぜん動運動を起こすことにより、下痢をともなう腹痛を起こすことも考えられます。

東洋医学では、胃腸の消化吸収の力が弱まって起こる不調を、消化管などをつかさどる「脾(ひ)」と「胃(い)」の気が滞ることによる「脾虚(ひきょ)」の状態から生じると考えられています。

次の章では、このような「食後の腹痛」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

食後の腹痛を緩和するセルフケア3選

1.食事は回数を分けて少量ずつ摂ること

食事時間を決めずに食べられるときに食べるといった不規則な食行動を取っていると、食べるタイミングを失い、胃酸が過剰に分泌されてしまいます。
胃酸によって胃の壁が傷ついた状態で食事をすると、少量でも胃腸には刺激となって、痛みが起こるのです。
食後の腹痛を避けるためには、回数を分けて少量ずつ、3〜4時間おきに食べるようにすると胃腸への負担が軽減されます。

2.寝る直前の食事を控えるように気をつける

働き盛りの20〜40代の女性のなかには、夕食の時間がどうしても夜遅くになってしまう、という方も多いかと思いますが、こうした食生活が食後の腹痛を引き起こす原因になっている可能性もあります。
食べた物が胃から腸へ移動するのに、通常約1~2時間かかると言われています。食べてすぐに就寝してしまうと、胃の内容物が十分に消化しきれず、胃もたれや上腹部痛などが生じやすくなります。
やむなく夕食時間が遅くなってしまう方は、おにぎりやスープなどの軽食を事前に摂り、寝る前の食事は軽く済ませるようにしましょう。

3.ストレスケアと運動で胃の状態を整える

食後の腹痛や胃腸の不快症状を改善するには、胃を健康な状態に整え、消化不良を起こしにくくすることが大事です。
そのためには、良質な睡眠をしっかりとって胃腸を休ませ、疲労やストレスをためないことが一番です。
ストレスや不安を感じたら、お腹からゆっくり息を吐いて深い呼吸をしたり、リラックスできる時間をとって不安な心を落ち着かせるようにしましょう。ストレスケアには、アロマやハーブティーも良いでしょう。
また、胃の消化促進のためには、食後に散歩などの軽い運動をするのもオススメです。
負担にならない程度のエクササイズを習慣づけて血流をアップし、胃腸の働きを改善し、消化不良を起こしにくい健康で丈夫な胃に改善していきましょう。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

食後の腹痛を改善するために、市販薬や処方薬の服用などの選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、平胃散(ヘイイサン)です。
消化不良をともなう胃もたれや腹部の張り、下痢症状のある方の、体内の余分な「水(水分)」の停滞を解消して症状を和らげる効果があります。
また、胃腸が弱く体が冷え、ストレスから胃の不調を起こしやすい方ある方には、体を温めて「気(生命エネルギー)」の流れを良くし、症状を緩和する効果のある六君子湯(リックンシトウ)も良いでしょう。
一方、胃腸が弱るだけでなく疲れがひどい場合は、補中益気湯(ホチュウエッキトウ)もオススメです。

生活習慣やストレス環境を改善して胃の状態を整えましょう

今回は、食後の腹痛に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状の改善のためには、消化不良を起こしにくくするための生活習慣の改善やストレスケアを行い、食事回数をこまめに分けたり、寝る前の飲食を控えたりすることなどが大切です。
また、こうした気になる腹痛の症状改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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