激しい震えと寒気で顔面蒼白!突然襲ってくる「悪寒戦慄」の恐怖!

体験談

寒い季節でもないのに突然ひどい寒気や悪寒がして体じゅうがガタガタと震えてしまう。布団に入って暖かいはずなのに寒気と震えが止まらない…。
このような「悪寒戦慄」の症状に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「悪寒戦慄」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

冬でもないのに異常な寒さと震えが…この謎の症状はいったい何!?

優希さん(49歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

ここ半年ほど、冷えのぼせや気分の不安定さなど、更年期のような症状が続いて精神的に参っています。さらに先日、これまで経験したことのないような寒気と震えに見舞われてしまい、それ以来なんだか余計に体調が優れず、不安で仕方がありません。
その症状が起きたのは、1週間ほど前のことです。明け方4時半頃にあまりの寒さで目を覚まし、 なんだか腰のあたりに痛いようなゾワっとするような感じがあり、布団にくるまっていたのですが…。たいして気温は低くないはずなのに、寒さで歯がガタガタとなるほどの震えが治らず、冬物のフリースを羽織ってさらに毛布をかけて丸まっていました。10分〜20分程度でその症状がやっと落ち着き、気がついたら眠ってしまっていたようなのですが、7時頃に目がさめると汗びっしょり! 
熱を測ると、37℃ちょっとで微熱ではあったのですが、顔を洗おうと鏡を見てみたら、そこには顔面蒼白で、髪もボサボサの、まるで幽鬼のようなオバサンの姿が…。
あまりの血の気のなさにも驚きましたが、何よりこんな寒気と震えは経験したことがないもので、またあんなことがあったらどうしようと不安に苛まれています。
一体アレは何だったのか、そして、どうしたらあの症状が治まるのか教えていただきたいです。

ご質問ありがとうございます。
体じゅうが震えるほどの悪寒戦慄は、感染症以外にも体の冷えや自律神経の乱れなどから起こることも多く、更年期や月経前に起こりがちな不調のひとつでもあるんです。
今回は、「悪寒戦慄」が起こる原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

自律神経失調による体温調節機能の乱れが原因

「悪寒戦慄」とは、何らかの理由で発熱して体温が上がろうとするときに、体がゾクゾクするような猛烈な寒気を感じ、歯がガチガチ鳴るほど体が震えてしまうような状態になることです。
原因としては、感染症や風邪による発熱の前兆として現れることもありますが、更年期世代では、ホルモンバランスの乱れによる自律神経の乱れから体温調節機能がバランスを崩して生じることもあります。
また、強いストレスによって自律神経のバランスが崩れると、体温が上昇して微熱が持続し、それに伴い悪寒戦慄が生じることもあります。

東洋医学では、悪寒戦慄ののちに発熱するものを「寒熱(かんねつ)」によるものとし、発熱がみられない場合は、正常な体温の働きを保つ「陽(よう)」が足りない「陽虚(ようきょ)」による冷えから「血(血液)」が滞って「血瘀(けつお)」の状態になることで生じると考えます。

次の章では、このような「悪寒戦慄」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

悪寒戦慄の症状を緩和する3つの対処法

1.体を温めて症状が治まるまで体を休めましょう

悪寒戦慄を感じた後は、高熱が出たり微熱が続いたりすることもあるため、安静にして体を休めることが大切です。
外気温が低くて体が冷えているわけではないものの、体の内側からの冷えによって血流が悪くなると、体内に老廃物が溜まりやすくなり、体調悪化の原因になってしまいます。
寒気やふるえが治るまでは、暖かい服装をして温かいものを飲み、室温も高めに設定しましょう。

2.「陽気」を補う食材&飲み物を摂りましょう

体の内側から来る冷えを改善するためには「陽気」を養う食材を積極的に摂ることが大切です。
同じく「陽気」を養うスパイスなどを取り入れながら温かいスープやお鍋など、火を通したものを摂るとさらに体が温まります。
「陰(いん)」の気を持つ生野菜を食べるときは、スパイスを使用したドレッシングをかけることで、体を冷やさない工夫をしてみましょう。
また、寒気や震えの症状がひどいときには、温かい紅茶にすりおろした生姜を加えた「ショウガ紅茶」がオススメです。体の中からホカホカと温めることで、辛い症状を少しでも早く改善しましょう。

◎陽気を養う食材&スパイス
海老・羊肉・牛肉・鶏肉
シナモン・ターメリック・コショウ・山椒・八角・生姜・ニンニク・ネギ

3.「腎」の働きを高めて冷えによる不調を改善

更年期や月経前など、自律神経の乱れから来る「悪寒戦慄」の症状がある場合は、加齢とともに衰える「腎(じん)」の働きの機能を高める「腎兪(じんゆ)」のツボを押して冷えから起こる不調を解消しましょう。

◎腎兪(じんゆ)
場所:骨盤の上端を背中側で結ぶ線と背骨が交わるところから、脊椎の骨2つ分上にあり、脊椎から左右約3cmずつ外側にあるツボ。
生命エネルギーの源である「腎」の働きを高め、「気(生命エネルギー)」や「血」を補ってくれる効果があります。
両手を背中側に回し、親指に力を入れて5秒ほど何回か押してみましょう。背中側にあるため手で押しにくければ、温かいお湯を入れたペットボトルなどを当てるだけでも体がじんわりと温まります。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

悪寒戦慄の症状を改善するために、市販薬や処方薬の服用などの選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ)です。胃腸風邪によく用いられる漢方薬ですが自律神経の乱れに応用され、冷えた体を温め、不安を和らげたり、痛みや炎症を鎮める効果があります。また、悪寒戦慄とともに筋肉の痛みなど風邪の初期症状がある方には、体を温め痛みをやわらげる麻黄附子細辛湯(マオウブシサイシントウ)も良いでしょう。
一方、体の冷えが強く、貧血症状などもある場合はホルモンバランスを整える働きもある当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)がオススメです。

「陽」の気を取り入れて体を温めましょう

今回は、悪寒戦慄に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状の改善のためには、ストレスや疲労を避け、自律神経を整えることが大切です。
症状がつらいときには、体を内側から温める「陽」の気を持つ食材を取り入れ、温かい場所で症状が治まるまでしっかり休養しましょう。
また、こうした気になる症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

関連記事