助けて…生き霊に取り憑かれたような肩の重みで仕事に集中できません!

体験談

肩がずっしりと重い、だるさが首まで上ってきて頭痛や吐き気がする、肩や首筋の筋肉までコチコチに固まってつらい…。
それは、もしかしたらプレ更年期(30〜40代)や更年期(40〜50代)に起こりがちな「肩こり」の症状かも!?

そんな自分ではどうにもならない更年期の不調やつらい症状の緩和、体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「更年期の肩こり」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

肩はコチコチ、目はチカチカ! デスクワーク中のこのつらさ、何とかしたい!

玲子さん(46歳女性)、経理事務職の方からご質問をいただきました。

経理事務という仕事柄、若い頃から肩こりには悩まされてきたのですが、この半年ほど、異常とも思える肩の張りで、まるで生き霊でもついているのかと思うほどのつらさなんです!
寝ても覚めてもずっしりと肩が重苦しく、我慢していると頭痛と吐き気で朦朧としてしまうほど。あまりにつらくてマッサージにも通っているのですが、翌朝起きるとすでに肩はコチコチ、デスクワークを始めると目はチカチカ…といった状態が続いて精神的にも参っています。
最近では、肩こりの症状に加えて顔がかーっとのぼせたようになったり、暑くもないのに汗をびっしょりかいてしまったり…。
なんとか我慢して今まで生活してきたのですが、どんどん悪化していくので不安に思っています。なんとかこの不快な症状をスッキリさせる方法はないでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
肩が重くなり、肩や首、頭などにも痛みをともなう肩こりの症状は、マッサージなどを受けても根本的な改善には至らず、日常生活の大きな悩みになりがちですよね。
今回は、更年期の肩こりの原因や改善方法についてお伝えしていきましょう。

自律神経の乱れと「気」「血」の滞りが肩こりの原因!

更年期の肩こりは、肩のまわりが痛む、こわばる、だるくなるといった症状が多く、のぼせや頭痛、動悸、気分の落ち込み、不眠などの不定愁訴がともなうこともあります。
更年期を迎えると女性ホルモン(エストロゲン)が減少し、ホルモンバランスの乱れから自律神経が不安定になることで血流が悪化し、さらに加齢による首や肩を支える筋力の低下、目の疲れや老眼なども更年期の肩こりの原因となります。

東洋医学では、肩こりを、筋肉の緊張状態が続いて血流が低下し、気(生命エネルギー)や血(血液)がうまく供給できなくなった状態と考えます。
特に更年期になると、ストレスによる気の滞りの影響を受けやすくなります。
さらに、冷えやホルモンバランスの乱れが加わって症状が悪化してしまうのです。

次の章ではこうした更年期特有の頑固な肩こり症状に対する具体的な解決方法をお伝えしていきましょう。

血行アップが肝!肩こり改善のための4つのレシピ

1.ストレッチなどの軽い運動をする

ストレッチや散歩、ウォーキングなどで体を動かすことで血液の循環を良くしていきましょう。
軽い運動を毎日の習慣に取り入れることが慢性的な肩こりの改善につながります。

2.入浴&蒸しタオルで肩の筋肉を温める

肩まわりの筋肉を蒸しタオルや入浴などで温め、マッサージするのもオススメ。
じんわりと温めることで筋肉の緊張を和らげ、血行が良くなり、肩の張りがほぐれていくのを実感できるでしょう。

3.長時間、同じ姿勢でいないようにする

長時間同じ姿勢でいると、肩周辺や腰周りの血行が低下します。
特にデスクワークでは肩や首だけでなく全身の血行が悪くなるので、同じ姿勢での作業を避け、1時間に1度は立ち上がり手足を伸ばすなど、意識して体を動かすことが大事です。

4.大豆イソフラボン(エクオール)をとる

豆腐や豆乳などの大豆製品に含まれるイソフラボンには、女性ホルモンのエストロゲンとよく似た作用を持つエクオールをつくりだす効果があります。
エストロゲンの減少で血流が滞ることで起きると考えられる更年期の肩こりの改善には、エクオールをサプリで取り入れてみるのもオススメです。

長い目で見た肩こり改善には漢方薬が効果的!

肩こりの症状の改善には、市販薬の湿布や塗り薬、病院で局所注射やホルモン補充療法に加えて、根本的な改善を目的とした漢方薬の服用がオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方にオススメなのは、加味逍遙散(カミショウヨウサン)です。自律神経の乱れを改善し、PMSや更年期症状にも用いられ、イライラや不安や不眠のような精神症状を軽減する効果があります。更年期ののぼせにも用いられます。
また、更年期ののぼせや肩こりに加えてめまいや動悸の症状もあり、これまでホルモン療法などを受けても改善しなかった方でも、桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)の服用で症状が改善した方もいます。

ほっと一息つけるリラックスタイムを大切に…

たかが肩こりと考えがちですが、「バランスが乱れている」という体からのSOSにしっかりに耳を傾けてみてくださいね。
今回は簡単なセルフケアや漢方薬を取り入れた改善方法をご紹介しましたが、症状を和らげるには、毎日の生活のなかでストレスをためないことも大事。
何ごとも根を詰めすぎず、意識してリラックスする時間をつくってみましょう。
肩が動かせないほどの強い痛み、吐き気・めまいなどを感じたときは、我慢せず早めに医療機関に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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