虚弱体質ですぐ腹痛&下痢に…この困った体質をどうしたら改善できる?
ちょっと冷えただけでお腹が痛くなり下痢をしてしまう。体力がなく、疲れや寝不足がすぐお腹の不調に直結してしまう…。
こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。
今回は「腹痛をともなう下痢」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。
目次
度重なる腹痛&下痢…不調を改善してもっとアクティブに過ごしたい!
麻美子さん(43歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。
昔から胃腸が弱く、些細なことですぐにお腹を壊してしまうのですが、このところ胃腸が弱っているのか、すぐにお腹が痛くなって下痢をしてしまい困っています。
ちょっとした冷えや疲れ、寝不足でもお腹がシクシク痛み出して、便意を催すとお腹が緩くなって……。
以前はそれでも、友人と食事会をしたりショッピングを楽しんだりしていたのですが、このところお腹の調子のせいで遠出するのもなんだか不安になってしまい、引きこもり気味の毎日です。これじゃ、ますます体がなまって良くない、とは思いつつ、何をするのも「お腹が痛くなりそうだからやめておこう」「お腹を下しそうだから食べないでおこう」なんてネガティブに思ってしまうようになってしまいました。
まだまだ40代ですし、これからはもう少し活動的にならなくちゃ、と思っています。
そのためにも、まずはお腹の健康を取り戻したいです。何か良い解決方法があれば教えてください。
ご質問ありがとうございます。
腹痛をともなう下痢は疲労や冷えからも起こりやすく、体力がなく虚弱な方に多く見られますので、まずは体質を改善することを考えるとよいでしょう。
今回は、腹痛をともなう下痢の原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。
腸の働きの低下と余分な「水」が腹痛&下痢の原因
腹痛をともなう下痢は、冷えや暴飲暴食、疲労、ストレスなどの原因によって腸の運動機能や分泌機能が過剰になり生じると考えられています。
大腸や小腸に病的な異常がないにも関わらず症状が起こる場合は、特定の食品の摂取により腹痛や下痢が起こる「乳糖不耐症」や、「過敏性腸症候群」などの可能性も考えられます。腸が過敏になっているために、通常では痛みとして感じないような刺激を痛みとして感じることがあります。
また東洋医学では、腹痛をともなう下痢症状は、体内に余分な「水(水分)」が溜まることによって生じると考えられています。
次の章では、このような「腹痛をともなう下痢」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。
腹痛をともなう下痢を和らげるセルフケア3選
1.飲み物は常温にしてお腹を冷やさないこと
下痢による脱水症状を避けるためにも、失われた水分をしっかりと補給することが大事です。
水分補給には、特に体内の失われた電解質を補ってくれるスポーツドリンクがオススメですが、冷やしたものではなく、常温のものをゆっくり飲むようにしましょう。
冷たいものを一気に摂ることで、腸の粘膜が刺激されてしまい、症状が悪化することがあります。
普段から体質的にお腹を下しやすい人は、温かい飲み物か氷を入れない常温の飲み物を選ぶようにして、お腹を冷やさないようにすることが大切です。
2.お腹に優しい食材でエネルギーチャージを
下痢をすると、体内の水分とともに、体力やエネルギーも消耗してしまいます。症状のひどいときは腸を休めることが大事ですが、回復したら早めにエネルギーチャージして細胞の再生を促しましょう。
腹痛や下痢を起こしやすい方へのオススメ食材と控えるべき食材をご紹介しますので、普段の食生活の参考にしてみてください。
◎摂るべき食材
おかゆ・よく煮込んだうどん・卵・豆腐・鶏のささ身・ヨーグルト・すりおろしりんご・バナナ
◎控えるべき食材
脂身の多い肉・うなぎ・揚げ物・玄米・ラーメン・お菓子・カフェイン飲料・アルコール類
3.腹痛と下痢に効くツボを押しましょう
おなかの冷えや食べ過ぎによってお腹が痛くなってしまったときには、大腸の働きをつかさどる「温溜(おんる)」のツボを押すのがオススメです。
腹痛の改善はもちろん、ストレスによる下痢症状にも効果があるといわれています。
◎温溜(おんる)
場所:肘と手首のおよそ中間で、親指側にあるツボ。
親指でツボにゆっくり圧を加えて、痛気持ちいいくらいの強さで5秒くらいキープしてみてください。ゆっくり指で円を描くように押すのも効果的です。
根本的な体質改善には漢方薬が効果的!
腹痛をともなう下痢を改善するために、市販薬や処方薬の服用などの選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、人参湯(ニンジントウ)です。
体力がなく虚弱体質で、体の冷えの強い方のお腹を温め、下痢や腹痛などの症状を改善する効果があります。
また、ストレスによりお腹がゴロゴロ鳴り、腹痛や下痢を起こしやすい方には、みぞおちのつかえを解消し、胃腸の働きを高めてくれる半夏瀉心湯(ハンゲシャシントウ)も良いでしょう。
普段から腸を冷やさず消化の良い食べ物を選びましょう
今回は、腹痛をともなう下痢に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状の改善のためには、普段から腸を冷やさないように心がけ、お腹に優しい食べ物を摂って食養生を心がけることが大切です。
また、こうした気になるお腹の症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。もしセルフケアを試しても症状が改善しない場合は、無理せず病院で診察してもらうようにしましょう。