膀胱炎に耐えていたらトイレットペーパーが薄紅色に…これって血尿!?

体験談

膀胱炎で苦しんでいたら、尿が血が混ざったような色になってしまった。
排尿後に陰部を拭いたらトイレットペーパーに薄いピンク色の血が付着していた…。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「血尿をともなう膀胱炎」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

冷えと疲れから膀胱炎に…「血尿」症状を繰り返さないためにはどうすれば?

悩む女性店員

美香さん(46歳女性)、パート勤務の方からご質問をいただきました。

このところ、パート先のスーパーのアルバイトの方が立て続けに辞めてしまい、急に忙しくなったせいか、体がキツくて…。
長時間の立ち仕事に加え、なかなかお手洗いにも行けなくて、すっかり膀胱炎気味に。しばらく排尿時のつらさに耐えていたのですが、勤務中は冷房でガンガンに冷やされていることもあって、だんだん腰まで痛くなってきてしまって。
いよいよ病院に行ったほうがいいかしら…なんて思ってはいたのですが、シフトもなかなか開けられず、しばらく放置してしまっていたんです。
そうしたら先日、トイレで妙な強い痛みがあったので、嫌な予感がしてトイレットペーパーを見ると、薄いピンクがかった液体がしみ込んでいたんです。まじまじと眺めた挙句、「これって、いわゆる“血尿”じゃないの!?」とびっくりして、慌てて翌日病院へ行ったんです。
結果、急性の膀胱炎だろうとのことで抗菌剤を頂き、だいぶ良くはなったものの、また忙しくしていたら血尿が出るのでは、と不安になってしまう日々です。いまだに排尿後には必ずトイレットペーパーを確認してしまいます。
こうした膀胱炎での血尿症状に有効な予防や対処法があれば教えて頂きたいです。

ご質問ありがとうございます。
膀胱炎は一度なってしまうと繰り返しやすいので、まずは再発しないように生活やお仕事での環境などを少しずつでも改善していけると良いですね。
今回は、血尿をともなう膀胱炎の原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

膀胱炎の血尿症状は膀胱粘膜からの出血と「湿熱」が原因

膀胱炎のイメージ

血尿をともなう膀胱炎は、膀胱の粘膜に炎症が生じ、炎症にともなう刺激や痛みにより膀胱が刺激されて、膀胱粘膜全体から出血が起きることで生じます。
排尿にともなう痛みがない血尿は、薬剤の副作用や腫瘍性病変として現れることもあるため、詳細な原因を調べるためにも、血尿が出たら泌尿器科で医師の診断を受けるようにしましょう。

東洋医学では、冷えやストレス、疲労の蓄積などとともに、体の老廃物でもある「湿熱(しつねつ)」が膀胱に停滞して炎症を起こすことで血尿を伴う膀胱炎や尿の濁りなどが生じると考えられています。

次の章では、このような「血尿をともなう膀胱炎」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

血尿をともなう膀胱炎を改善するセルフケア3選

1.疲労やストレスによる免疫力低下を避ける

ソファでくつろいで読書をする女性

膀胱炎は、疲労が蓄積して睡眠不足になっていたり、ストレスを感じて免疫力が低下することによって発症しがちです。
免疫力が低下すると、膀胱内に侵入した細菌への抵抗力も弱まるため、菌の増殖を抑えることができなくなってしまうのです。
免疫力を上げるためにも、日頃から生活リズムを整え、精神的な負担やストレスをなるべく避けてリラックスして過ごす事が大切です。
疲労感を感じたら、無理せず体を休めるように心がけましょう。

2.お腹や腰を冷やさないようにすること

体の冷えは万病のもとといいますが、特に下半身の冷えは膀胱炎のきっかけや症状を悪化させてしまう原因になります。
冷房の効き過ぎた場所で長時間仕事をしたり、寒い屋外で過ごさなければならない場合は、特に冷えを防ぐ努力をしましょう。
保温性の高い肌着や服を身につけたり、腹巻や温かいカイロで腰やお腹を温めるのもオススメです。

3.水分を多めに摂ってこまめに排尿する

トイレはあちら

膀胱内で炎症を起こしている細菌は、尿とともに体外に排出されるため、血尿や痛みなどの膀胱炎症状を早期に改善するには、尿量を増やす必要があります。
水やお茶などの水分を普段よりも多めに摂り、尿量を増やして尿をこまめに出すことを心がけましょう。
また、何かに集中するとトイレに行くのを忘れてしまったり、我慢してタイミングを逃してしまいがちな人は、時間を決めてこまめに排泄するようにすることが大切です。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

漢方薬

血尿をともなう膀胱炎を改善するために、市販薬や処方薬の服用などの選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、猪苓湯(チョレイトウ)です。膀胱炎による血尿や頻尿・残尿感がある方の膀胱粘膜の炎症を修復し、症状を改善する効果があります。また、残尿感や繰り返す膀胱炎には、竜胆瀉肝湯(リュウタンシャカントウ)がオススメです。熱や炎症を冷まして水分循環、血液循環を整え、尿の出をよくします。
一方、ストレスが強く、鮮紅色のはっきりとした血尿がたび重なり出る方には、「血(血液)」を補い、「気(生命エネルギー)」を巡らせる効果のある帰脾湯(キヒトウ)も良いでしょう。

血尿が出たら放置しないで必ず病院へ行きましょう

優しく微笑む女性の医療関係者

今回は、血尿をともなう膀胱炎に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状の改善のためには、まずは体をしっかり休め、お腹や腰を温めて水分補給を心がける事が大切です。
また、血尿を放置して細菌の増殖が進むと、腎盂腎炎や腎不全を招くこともあるため、血尿がある場合は必ず病院で診察してもらいましょう。

また、こうした気になる膀胱炎の症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。
セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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