得体の知れない「頭皮のかさぶた」…無意識にかき壊すのが怖い!

体験談

頭皮にかさぶたができて、気になってつい触ってしまう。頭皮のかさぶたがかゆくて無意識にひっかいたら剥がれてしまった…。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「頭皮のかさぶた」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

熱を帯びたようにかゆい「頭皮のかさぶた」、悪化させないためには?

優希さん(40歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

昔から肌が弱く、アトピーというほどではないのですが、肌が熱を持ったように炎症を起こすことがよくあるんです。顔の方はスキンケアコスメが肌質に合ったのか、ここ数年大きなトラブルがないのですが、このところ頭皮にかさぶたができる症状があり、悩みのタネになっています。
特に、夏場のちょっと汗ばむ時期に入った頃からは、頭皮が熱を持ったようにかゆくなってしまい、どうしてもかきむしらずにはいられません。分け目に近い頭頂部のあたりを手で触れると、ガサっとしてザラザラな部分が指に触れ、明らかに他の頭皮の部分とは違う感触なので、そのあたりにかさぶたがあるのだと思うのですが…。
なかなか鏡で見るのも難しくて、状況がイマイチわかっていません。確か去年も、後頭部にこのザラザラのかさぶたができてしまい、かきむしってしまい本当につらくて!
秋も終わりに近づく頃には治っていた気がするのですが、一度不用意にかきむしってしまってかさぶたが剥がれ、ものすごく痛かったのを覚えていて、トラウマになっています。
今年こそ、このかさぶたをかき壊さずに完治させたいのですが、何か良い改善方法はないでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
頭皮は普段目につきにくい場所でもあり、状況が見えないだけに無意識にトラブルを進行させてしまいがちですよね。
今回は、頭皮のかさぶたの原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

頭皮のかさぶたは湿疹や乾燥、アトピーなどが原因

かさぶたは正式には「痂疲」と呼ばれ、湿疹や乾燥、かぶれなど、なんらかの頭皮のトラブルが原因で頭皮をかき壊してしまったことによるものが多いです。
それ以外にも脂漏性皮膚炎やアトピーなどによってもかさぶたができることがあります。寝ているときなど無意識のときにかいてしまい、頭皮に傷がついてかさぶたになってから気が付くこともあるようです。
かき壊した場所に雑菌が入ったり、毛包にダメージを与えることで他の頭皮トラブルや部分脱毛の原因にもなるため、かさぶたを放置せず、早めのケアをすることが大切です。

東洋医学では、「皮膚は内臓の鏡」とされ、かゆみや炎症などの頭皮のトラブルが慢性化すると、体内の栄養物質である血液や潤いのもととなる「津液(しんえき)」の不足が起き、皮膚がカサカサとしてかさぶたができると考えられています。

次の章では、このような「頭皮のかさぶた」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

頭皮のかさぶたを改善する3つのセルフケア

1.かさぶたを不用意に触らないこと

頭皮は常に自分に見えている場所ではないだけに、かゆみや違和感を感じると、つい無意識に触ってしまう方も多いのではないでしょうか。
むやみに触ったりいじったりすることでかさぶたが剥がれると、せっかく治癒に向かっていたものが一からやり直しになり、さらに感染のリスクも増すため、注意が必要です。
どうしてもかゆみなどが我慢できない場合は、保冷剤で冷やしてかゆみを緩和したり、頭皮をスッキリさせる効果のあるスプレーや、市販のかゆみ止めローションなどを塗ることもオススメです。

2.頭皮の肌質にあったシャンプーを選ぶ

特に思い当たることがないのに頭皮にかさぶたができる場合は、シャンプーを変えてみるのも一つの方法です。
頭皮が乾燥してドライスキンの状態になっている方が洗浄力の強すぎるシャンプーを使うことで、さらなる乾燥を招きます。また、肌に合わないシャンプーを使い続けることによって、頭皮がかぶれてかゆくなったり、湿疹を悪化させてしまうこともあります。
例えば、頭皮の乾燥が気になる場合は肌に優しいアミノ酸系のシャンプーを使う、脂漏性湿疹などがありシャンプーの成分などにかぶれやすい場合は、専用のシャンプーを選ぶなど、自分の肌質に合う種類のものを使うと良いでしょう。

3.生活習慣を改善して頭皮を健康に!

頭皮トラブルによってかゆみや湿疹が起き、かさぶたができてしまう原因には、生活習慣も大きく関わっていると考えられます。
疲労やストレスによって自律神経が乱れると、夜になってもリラックスするための副交感神経が優位にならず交感神経が優位になり、ホルモンバランスが崩れ、過剰に皮脂が分泌されてしまうこともあります。
他にも、糖質の摂り過ぎやカフェイン・アルコールの含まれる飲み物の摂り過ぎ、睡眠不足なども頭皮トラブルを悪化させる原因になるため、要注意です。
頭皮にかさぶたのできやすい方は、生活習慣を見直して栄養バランスのとれた食事を摂り、睡眠不足にならないように心がけるようにしましょう。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

頭皮のかさぶたを改善するために、市販薬や処方薬の塗布に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)です。熱を帯びた頭皮の炎症や、かゆみの強い方の体内の余分な「熱」を冷まして、かゆみを抑えて繰り返す頭皮のかさぶたを改善する効果があります。
また、頭皮が乾燥してかゆみが生じたり、かさぶたに加えてフケの症状のある方には、血流を整え、肌の栄養状態を改善して潤いを与えることで症状を改善する当帰飲子(トウキインシ)も良いでしょう。
一方、かゆみがあってじゅくじゅくしてるようなら、消風散(ショウフウサン)もオススメです。

生活習慣を見直して健康な頭皮を育てましょう

今回は、頭皮のかさぶたに悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状の改善のためには、不用意にかさぶたをいじらず、肌質に合ったシャンプーで頭皮を清潔に保つこと、生活習慣を改善して健康な頭皮に育てることが大切です。
また、こうした気になる頭皮の症状改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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