気圧の変化で吐き気とめまい…普段は活発で元気な私に一体何が!?

体験談

気圧の低下とともに乗り物酔いのような気分の悪さを感じて吐き気を催してしまう、天気の変わりやすい梅雨時期や台風シーズンは吐き気とめまいで体調が悪い…。
30〜40代のプレ更年期世代の女性のなかには、このような「低気圧による吐き気」に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「低気圧による吐き気」をテーマに、薬剤師の中田早苗先生にお話を伺ってみました。 

低気圧のたびに起こる吐き気…空が荒れるたびに気分まで鬱状態に

体調不良(吐き気)の女性

綾子さん(36歳女性)、会社員の方からご質問をいただきました。

「このところ仕事が忙しくて睡眠不足と疲労が溜まっているせいか、ちょっとしたお天気の変化で体調不良を起こしやすくなってしまいました。特につらいのが吐き気とめまいで、気圧が低くなると胃のあたりがムカムカしてくるので、窓をのぞかなくても、天候が悪化したのが自分でもわかってしまうほどです。
雨だけならまだいいのですが、風も強い日や台風のときなどは、耳の奥が詰まったようになることがあり、気持ち悪さに加えてめまいにまで襲われ、立っているのもつらいほどです。
やっとのことで仕事を終え、家に帰って休もうと思うのですが、胃がムカムカするせいか食欲もわかず、横になってもなんだか気がたかぶってしまい、うまく眠ることもできません。
何か悪い病気にでもかかっているのかと不安にもなりましたが、お天気の良い日は別人のように体調も良く活発に動けるので、この体調不良はお天気のせいとしか思えなくて……。何か良い改善方法はないでしょうか?」

ご質問ありがとうございます。
気圧や気温などの急激な変化によって起こる体の不調は、体内の水分バランスの乱れに加え、疲労や睡眠不足により自律神経が乱れることで悪化してしまうこともあります。
今回は、低気圧による吐き気の原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

低気圧による吐き気は自律神経の乱れと内耳の血流悪化が原因

気・血・水

低気圧のときに起こる吐き気やめまいなどの症状が起こる原因は2つあると考えられています。
まず、自律神経の乱れにより消化管の働きが弱くなることです。
そして気温の変化による冷えと気圧の低下によるむくみが原因で、平衡感覚を司る「内耳」が過剰に反応して血流やリンパの流れが悪化するとされています。

東洋医学では、低気圧による冷えやむくみから体内の「血(血液)」や「水(水分)」のバランスが乱れたり、「気(生命エネルギー)」が滞って自律神経が乱れることで、吐き気などの不調が起こると考えられています。

次の章ではこのような「低気圧による吐き気」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

低気圧による吐き気を改善する3つの対処法

1.睡眠不足を改善して睡眠の質を上げること

ベッドサイド

低気圧により吐き気を感じやすい方は、特に睡眠不足にならないように心がけましょう。
睡眠不足の状態が続くと、日中活動する際に優位になる交感神経から体を休めるための副交感神経への切り替えがうまくいかず、消化管の働きを弱めることにも繋がってしまいます。
吐き気の症状が悪化させないためにも、寝る前にはスマホやパソコンの画面を見たり、神経が興奮したり緊張するような行動を避けて、ゆったりとした気持ちで入眠することが大切です。
寝る前のひと時をリラックスして過ごし、睡眠の質を上げるためにも、ぬるめのお湯にゆっくり浸かり、入浴で温まった体が冷めないうちに寝るようにしましょう。

2.耳マッサージで内耳の血行促進をする

耳マッサージをする女性

低気圧による吐き気は、内耳の血の巡りが悪くなることで症状が悪化しがちです。吐き気やめまいの症状がつらいときには、耳周りのマッサージで内耳の血行を促進してみましょう。

◎内耳の血行改善マッサージ
①左右の耳を親指と人差し指で軽くつまみ、上・下・横方向にそれぞれ5秒ずつ引っ張る。
②耳を軽く引っ張りながら、後ろ方向に5回ゆっくり回した後、両耳を包むように折り曲げて5秒間キープします。
③手のひらで耳全体を覆い、後ろ方向に5回、円を描くように回します。

※①〜③を繰り返し、朝昼晩と3セットほど毎日行いましょう。

3.アロマの効果で自律神経を整えましょう

天候の急激な変化や気圧の乱高下から自律神経が乱れると、吐き気やめまいなどの症状に加えて気分の落ち込みや不安感が高まったりして気分も塞ぎがちになります。
こうしたストレス症状をともなう吐き気を改善するためには、アロマテラピーの力を借りるのも効果的です。ハンカチやタオルに1〜2滴垂らして好きな香りを楽しんだり、耳のマッサージの際にアロマオイルを使用するのもオススメです。

◎吐き気を緩和する精油
グレープフルーツ・レモン・ジンジャー・シナモン・ぺパーミント・ラベンダーなど

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

漢方薬

低気圧による吐き気を改善するために、市販薬や処方薬の服用などの選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)です。天候や気圧の変化にともなって吐き気やめまいが起こる方の「水」の巡りを良くして余分な水分を排出し、「気」を補って症状を改善する効果があります。
また、吐き気に加えて冷えて頭痛や頭重感の症状もある方には、体を温めて「気」「血」を巡らせ、症状を改善する呉茱萸湯(ゴシュユトウ)も良いでしょう。

毎日のケアで吐き気の起きにくい体質に改善を

今回は、低気圧による吐き気に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状の改善のためには、睡眠不足を解消して体をしっかり休めることが大切です。また、内耳の血流改善のための耳マッサージや、自律神経を整える効果のあるアロマテラピーなども積極的に取り入れてみると良いでしょう。
こうした気になる低気圧による症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

中田早苗

あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師 中田 早苗 薬剤師。認定運動支援薬剤師。就実大学薬学部卒業。病院薬剤師として約7年間勤務後、漢方薬局で2年間勤務。ファスティングマイスターとして100名以上のファスティングをサポート。TiktokやInstagramでファスティング・美腸を普及する活動も行っている。

プロフィール

関連記事