両頬骨の下の「肝斑」が悪化…メイクでも隠せない状況に焦る一方!

体験談

頬骨の周りに大きく広がる肝斑が気になり、人と向き合うのがつらくなってしまった、メイクをしても隠れない肝斑ができたせいで自分に自信が持てなくなった…。
30〜40代のプレ更年期世代の女性のなかには、このような「肝斑」に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。お答えしていきます。

今回は「肝斑」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

次第に濃くなる「肝斑」が悩ましい…根本的な解決にはどうすれば?

佳菜さん(41歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

左右の頬骨の下あたりにうっすらと薄茶色のくすみを見つけたのは30代半ばの頃。当時は幼い子供2人の育児に追われ、自分のケアなどほとんどできない日々を過ごしていたためあまり意識していなかったのですが、数ヶ月ほど前にまじまじと鏡を見て驚愕!
薄い“くすみのようなもの”と思っていたものが、いまや完全なシミといえるほどの濃さになっていたんです。気になって雑誌やネットでシミについて調べていたところ、どうやら私の顔にある左右対称のシミは「肝斑」というものだということがわかりました。
意識し出すと気になるもので、毎日見ているうちに日毎に濃く大きくなっていく気がして、それからはもう隠すことに必死! 人気のコンシーラーを塗ってみたり、カバー力のあるファンデーションに変えてみたりしたものの、どれも思うような効果が得られませんでした。
最近では、もう隠すことに必死になることに疲れ果ててしまい、人に会うのも嫌になってしまいました。
根本的に肝斑やシミのできにくい体質に改善できたら一番良いのですが…何か良い方法はないでしょうか?」

ご質問ありがとうございます。
肝斑は他のシミとは違い、紫外線ケアだけではどうにもならないこともあり、メイクで隠すのも難しいため、大きな悩みの原因になりがちですよね。
今回は、「肝斑」の原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

肝斑は女性ホルモンの変化と紫外線によるメラニンが原因

肝斑とは、主に頬骨のあたりに左右対称にできるシミの一種です。通常のシミと同様に紫外線を浴びることによりメラニンが過剰に産生されることや、スキンケアの際に肌をこするなどの余分な刺激や摩擦を与えることでも生じます。
また、肝斑は妊娠や経口避妊薬の服用にともなって生じることもあるため、女性ホルモンの変化と深い関わりがあるとも考えられています。肝斑は30代〜40代にかけて発生しやすく、症状がみられるのは50代後半までであり、高齢になって発症することはほとんどないと言われています。

東洋医学では、肝斑は「気(生命エネルギー)」や「血(血液)」の巡りと関係の深い五臓である「肝(かん)」、ストレスによる影響を受けやすい「脾(ひ)」、ホルモンバランスと関わりのある「腎(じん)」が衰えることによって生じやすくなると考えられています。

次の章ではこのような「肝斑」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

肝斑を予防&改善する3つのセルフケア

1.UV対策と正しいスキンケアを

紫外線を浴びることによる肌への刺激からメラニン色素の生成が促されてしまうことから、肝斑もシミと同様に紫外線対策を心がけることが予防&改善の基本です。
日頃からメイクの前にUVカット下地や日焼け止めを使用し、日傘や帽子なども活用して、年間を通して紫外線を肌に浴びることを極力避けるようにしましょう。また、クレンジングや洗顔の際には肌をゴシゴシとこすらないようにすることも肝斑予防の秘訣です。

2.食生活の改善とストレスケアを心がける

肝斑やシミの改善には、栄養バランスのとれた食生活への改善も重要です。
メラニン色素の生成を抑制してくれるビタミンCや抗酸化作用のあるビタミンEは、シミや肝斑の予防に効果的だといえるでしょう。
また、強いストレスを継続的に感じることは、ホルモンのバランスを乱し、活性酵素を増やしてメラニン色素の過剰な生成を引き起こすと考えられています。
なるべくストレスを溜め込まないように心がけることや、自分なりの上手な発散法を見つけておくようにするとよいでしょう。

◎ビタミンCを多く含む食材
イチゴ・グレープフルーツ・キウイフルーツ・ブロッコリーなど

◎ビタミンEを多く含む食材
胚芽米・ベニバナ油・アーモンド・アボカド・ホウレン草など

3.「トラネキサム酸」を含むサプリを服用する

症状が通常のシミではなく肝斑であるとわかっている場合には、肝斑の改善に効果がある成分といわれる「トラネキサム酸」を含む市販のサプリメントを服用するのもよいでしょう。
そして毎日のスキンケアには、シミや肝斑を薄くする効果があるといわれるビタミンC、ビタミンA(レチノール)を含む化粧水や美容液を取り入れるのもオススメです。
ただし、「トラネキサム酸」には止血作用もあるため、血栓ができやすい方や、止血薬の服用をしている方は、服用の前に医師や薬剤師に相談することが大切です。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

肝斑を改善するために、トラネキサム酸の服用やハイドロキノンの塗布などの選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)です。冷えが強く、シミや肝斑ができやすい方の「気」や「血」の巡りを良くして「血瘀」の状態を解消して症状を改善する効果があります。
また、桂枝茯苓丸に肌トラブルに用いられる薏苡仁を加えた、桂枝茯苓丸加薏苡仁(ケイシブクリョウガンカヨクイニン)も血の巡りを改善し、シミやニキビに悩む人によく用いられます。
一方、冷えがあって顔のくすみが強く、肝斑やシミも気になる方には、体内の巡りを良くして皮膚に栄養を補い、代謝を促進する効果のある当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)も良いでしょう。

紫外線対策とストレスケアで肝斑のできにくい体質に!

今回は、肝斑に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状の予防や改善のためには、年間を通して紫外線対策を万全にすること、食生活の改善やストレスケアを心がけて肝斑の発生や悪化を防ぐことが大切です。
また、こうした気になる症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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