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あちこちがつる…道端でこむら返りと格闘する私に放った母の強烈な一言

体のあちこちがつる アイキャッチ
体験談

体のあちこちの筋肉が急に硬直し引きつったようになることがある、ふくらはぎや足の指、脇腹など、体のさまざまな場所がつってしまうことが増えた…。
30〜50代のミドルエイジ世代の女性のなかには、このような「体のあちこちがつる症状」に悩んでいる方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「体のあちこちがつる症状」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

不意打ちの痛みにビックリ仰天! 体のあちこちが「つる」のはなぜ?

木々の間の坂道

洋子さん(58歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

年のせいか、ここ最近突然に筋肉が硬く強張ったようになり、筋が引きつって「アイタタタ…!」となることが多いんです。たくさん歩いた日の寝入りばなや、寒い日の明け方、なにげなく体を動かしたりしたときなど、きっかけもつる場所もさまざまなのですが、引きつるような痛みが唐突にやってくるものですから、慌てふためいてしまうことも多くて!
先日も、同居する母の運動不足が心配で一緒に家の近所を散歩していたのですが、ちょっと傾斜のある道を下りながら脇道に方向転換した瞬間、ふくらはぎがピリリリ、と硬直してしまったんです。思わず「ひゃああぁ…!」と情けない声を出してしゃがんで片足をさすっていたら、母が「あらぁ、足つっちゃったの? 幸ももう“おばあちゃん”だねえ…。私の方が若いくらいだわ〜」なんて笑われちゃいました。
確かに、たいして激しい動きをするわけでもないのに、しょっちゅうふくらはぎや脇腹、足の指など、あちこちがつってしまう私。健康診断でもどこも悪いところはないのですが、なぜこんなにも体のあちこちがつりやすいのでしょうか?
何か良い改善方法があれば教えてください

ご質問ありがとうございます。
年齢を重ねて筋肉量が減少すると、体のそこかしこがつりやすくなる方は少なくありません。不意に襲う筋肉の引きつりと痛みが落ち着くまでの不安は、何度繰り返しても嫌なものですよね。
今回は、体のあちこちがつる原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

体のあちこちが「つる」原因は筋収縮のセンサーの衰え

体がつる原因解説

自分の意思と関係なく筋肉が収縮してけいれんすることを「つる」と言います。
特に、つりやすい足の指やふくらはぎなどに加え、脇腹など体のさまざまな部位がよくつる場合は、筋繊維(きんせんい)の中にある筋紡錘(きんぼうすい)という部分の働きが悪くなっている可能性があります。
筋紡錘は筋肉を縮めたり緩めたりすることで筋肉や腱への極度の負荷を避けるセンサーのような役割があり、この働きが悪くなることで「つる」症状が出やすくなると考えられています。
このセンサーの働きが悪化する原因ははっきりとは解明されていないものの、加齢や冷えによる筋肉の減少や硬直、体液中の電解質の不足などさまざまな要因が考えられています。

東洋医学では、こうした症状は「気(生命エネルギー)」と「血(血液)」が一時的に不足した状況で生じるとされ、体に不足した栄養を補うことが大切だと考えられています。

次の章ではこのような「体のあちこちがつる」症状を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

体のあちこちがつるときの予防&対処法3選

1.体内の不足した電解質を補う

バナナやリンゴなどの食材

筋肉の収縮を調節するセンサーの働きが悪くなる原因のひとつに、体内の電解質が不足していることが挙げられます。
電解質とは、海藻や豆類に含まれるマグネシウムや乳製品に含まれるカルシウム、バナナやリンゴに含まれるカリウム、塩分であるナトリウムなど、体液中で神経の伝達をスムーズに行うためのミネラルのことです。体のあちこちがつりやすいと感じる場合は、普段の食生活で積極的に取り入れるように心がけてみましょう。
また、汗をかく時期は発汗とともにこうしたミネラルも一緒に失われてしまうため、積極的に水分とミネラルを補給することも大切です。

2.体を温めて血液と水分の巡りを改善する

入浴する女性の後ろ姿

体の冷えや筋肉疲労により、体内の血液や水分の巡りが悪くなることも筋紡錘の働きを低下させる要因になります。スポーツなどで筋肉を酷使したり、体が冷えてしまったときは入浴や足湯をして温かいお湯にゆったりと浸かり、体の芯まで温めましょう。
体を温めることで、体内の水分と血液の循環を改善し、硬くなった筋肉を柔らかくすることで、からだのあちこちがつる症状の予防や筋肉疲労の解消も期待できます。

3.ストレッチで体の筋肉をしっかり伸ばす

タオルを使ったストレッチ

運動不足から筋肉の柔軟性が衰えること、冷えによって血行が悪くなることも「つる」症状を招く要因になります。日頃から筋肉を伸ばすストレッチを行い、血液の循環を良くするように心がけましょう。
例えば、ふくらはぎや足の指をつりやすい場合は膝を伸ばした状態でタオルを足先にひっかけ、体の方にぐっと引き寄せるようにし、ふくらはぎが伸びきったところで30秒ほど止め、筋肉を伸ばします。
脇腹がつりやすい方には足を肩幅に広げて立ち、ウエストを左右に捻るエクササイズもオススメです。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

漢方薬

体のあちこちがつる症状を改善するためには、セルフケアに加えて根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)です。体のあちこちがつる方など筋肉の緊張をほぐして痛みをやわらげる働きがあり、症状を改善します。

体内の血液と水分の巡りを良くしましょう

運動前後にストレッチをする女性

今回は、体のあちこちがつる症状に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。症状を改善するためには、不足した電解質を補い、体を温めたりストレッチを取り入れたりして体内の循環を良くし、筋肉をしなやかに保つことが大切です。
また、頻繁に体のあちこちがつる方や、思い当たる要因がないのに症状が起こる場合は、大きな病気の可能性もあるため、一度病院を受診してみましょう。
こうした気になる症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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