生理前は精神的にしんどい…精神不安定に効果のある漢方は?
生理前になると気分の落ち込みやイライラ、倦怠感に悩まされる女性も多いのではないでしょうか?
この生理前特有の精神的症状は月経前症候群(PMS)の一種。生理前のPMSは腹痛や頭痛だけではないんです。
今回は生理前の精神的な辛さを症状別に分け、その原因と改善方法について解説していきます。
目次
生理前の精神的不安定の原因と対処法
本来は穏やかな性格のはずなのに、生理前は何故か無性にイライラする…。
生理前に起きがちな、この精神的に不安定な症状は月経前症候群(PMS)の一種です。
人間関係に影響を与えてしまう可能性もあり、大きな悩みになっている女性も多いのではないでしょうか?
ここでは生理前の精神不安定の原因や対処法について解説していきます。
精神的不安定の原因
月経の1週間前くらいから、徐々に乳房の張りなどの身体症状や感情の不安定さなどの精神的症状が現れる現象を、月経前症候群(PMS)と総称します。
これには多くの女性が悩まされており、原因は明確には分からないと言われています。
排卵期をすぎて月経が始まるまでのこの期間には、ホルモンバランスが急激に乱れると言われており、それによって自律神経の乱れが起こることが主な原因ではないかと考えられています。
東洋医学では、この精神症状は「気」の流れに関連する、五臓六腑の「肝」の乱れと考えられています。
精神的不安定を改善するには?
生理前の精神不安定の改善のカギは、「気」の流れを整えることです。
まず、精神的に不安定になっていると感じたら、無理せずゆっくり休養をとることが大切です。
心がそわそわして不安定になっている時は、思いがけないミスをしてしまい余計にイライラ…なんてことも。
この時期は無理に頑張ろうとせず、ゆっくり休みましょう。
気の流れを整えるには、日常に軽い運動を取り入れることもオススメです。
ウォーキングなどの無理のない運動で、「気」・「血」(生命エネルギー・血液)の流れを良くすることで、イライラも解消されるかもしれません。
呼吸に焦点を当てたヨガなども、精神を整えるのに効果的です。
日中に身体を動かすことで、質の良い睡眠にも繋がります。日常的な運動習慣を身につけましょう。
根本的な体質改善には漢方薬もオススメです。
精神神経系の症状がある方で、微熱、動悸、不眠などの症状を伴う方の「気血」の流れを良くし、ヒステリー症状を軽減する加味逍遙散(カミショウヨウサン)や、冷え性で月経不順、肌の乾燥などが気になる方には温経湯(ウンケイトウ)も効果的です。
生理前のイライラの原因と対処法
普段ならなんとも思わない些細なことが、生理前になると気になってイライラする。
生理前には気持ちも食欲もコントロールできなくなってしまう…。
生理前の特有のこのイライラにお悩みの女性、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
ここでは生理前のイライラの原因と対処法について解説していきます。
イライラの原因
月経前のイライラは、月経前症候群(PMS)の症状の一つ。このPMSに悩まされる女性は数多くいますが、原因ははっきりと分かっていません。
排卵後から月経前の女性ホルモンやストレスに反応する、アドレナリンという脳内ホルモンの変動や、生活習慣の乱れ、ビタミン不足などさまざまな要因が関わっていると考えられています。
東洋医学では、月経前に子宮に血液が集中的に蓄えられるため、「気・血・水」(生命エネルギー・血液・水分)のバランスが崩れてPMSが起こると考えられています。
イライラを改善するには?
イライラを改善するには「気・血・水」の滞りを解消することが重要です。
自分なりのリラックス方法を見つけて、ストレスを溜め込まないようにしましょう。
身体を温めると、全身の気や血の巡りが改善されます。
就寝前の37〜40℃くらいのぬるま湯での入浴は、巡りを改善してストレスやイライラを緩和して良質な睡眠につながる効果があります。
それと同時に温熱効果による免疫力アップも狙えるオススメのリラックス法です。
また「気」の滞り改善に重要なのが「食事」。身体にはもちろん、精神面にも大きな影響を及ぼします。
「気」の巡りを改善する食材のセロリ、シソ、みかん、キクラゲなどを積極的に取り入れましょう。
PMSのイライラはエストロゲンの低下により引き起こされます。
エストロゲンと似た作用をもつと言われる大豆を積極的に摂取することも、イライラ改善につながるでしょう。
根本的な体質改善には漢方薬もオススメです。
「気」・「血」の巡りに作用する漢方薬がPMSには効果的。
血の滞りで起こる血瘀(けつお)が原因の月経異常、のぼせ、冷えと気逆による神経の高ぶり、気滞からくる抑うつ症状に効果的なのが加味逍遙散(カミショウヨウサン)。
また、これらの症状に加えて不眠もみられる方には抑肝散(ヨクカンサン)も効果的です。
生理前の倦怠感の原因と対処法
なんだかちっともやる気が出ない…。そう思ったら生理間近だった。
このような月経前の異常な倦怠感を、1度は経験している女性も多いのではないでしょうか?
ここでは生理前に起こる気力の低下や、異常な倦怠感などの辛い症状の原因と対処法について説明していきます。
倦怠感の原因
月経前の不調にはさまざまな原因が関係しています。
はっきりとした原因は分かっていませんが、主な原因としてホルモンバランスの乱れが挙げられます。
特に排卵前から月経前までの期間は、急激にエストロゲンの低下が起こります。
そのため自律神経が乱れて、さまざまな身体の不調として現れるのです。
東洋医学では、特に月経前の倦怠感の原因を「気・血・水」の流れの滞りや不足によって起こると考えます。
倦怠感を改善するには?
倦怠感を改善するには、まず第一にゆっくりと身体を休めることが大切です。
生理前で身体がだるくてやる気が起きない、という症状は、「休養が必要」という身体のサイン。
だるくても頑張らなければと気を張ってしまうと、それがまたストレスになり、体調不良がさらに悪化してしまうことにつながります。
自分のだるさや倦怠感は、月経の影響であることを周囲に理解してもらい、少しでも気持ちを軽くすることが大切です。
そして、痛みを和らげるために、鎮痛剤もうまく使うと良いでしょう。
上手に使うことで、痛みによるストレスも軽減できます。
ただし、痛いからと言って何度も服用すると、身体にも負担がかかります。用法・用量を守って使用しましょう。
根本的な体質改善には漢方薬もオススメです。
胃腸の働きを高め、生命エネルギーである「気」を補い、「気虚」の状態を改善する補中益気湯(ホチュウエッキトウ)や、身体を温めて「気」や「血」を補う効果のある人参養栄湯(ニンジンエイヨウトウ)も効果的です。
生理前のうつ症状の原因と対処法
いつもは楽観的なのに、生理前になると何故か些細なことが気になって気分が落ち込んでしまう…。
このような、生理前のいつもと違う気分の落ち込みを経験したことのある女性も多いのではないでしょうか?
ここではこのような生理前の精神症状の、原因と対処法について解説していきます。
うつ症状の原因
月経前のうつ症状は、月経前症候群(PMS)のひとつ。
PMSの原因は実ははっきりとは分かっていませんが、月経周期半ばの排卵期を過ぎたあたりに急激なホルモンバランスの変化が起こることが主な要因と考えられています。
東洋医学では、情緒が不安定になるなどの精神症状は「気」の流れに関連する、五臓六腑の「肝」の乱れに関係していると言われています。
「肝」の乱れを整えることで「気・血・水」のバランスをとることが重要だと言われています。
うつ症状を改善するには
月経前の気分の落ち込みなどのうつ症状は、自律神経を整えて自分なりにリラックスできる時間をもつことが改善のポイントです。
自律神経を整えるには深呼吸が効果的です。
精神的な症状が出ている時は、全身の筋肉に負荷がかかって呼吸が浅くなりがち。
呼吸が浅いと身体に十分酸素を取り込むことができず、ストレスをますます増幅させてしまいます。心を落ち着かせるためにも深い呼吸を心がけましょう。
そして何より無理をし過ぎないことが大切。月経前は思い切って自分を甘やかす時間を作ってみましょう。
頑張らなければと自分を追い込みずぎると、ますます症状が悪化してしまいます。
根本的な体質改善には漢方薬もオススメです。
うつなどの精神神経系の症状があり、不眠を伴う方の気と血の巡りを改善する効果のある加味帰脾湯(カミキヒトウ)や、胃腸が弱く、ストレスで胸のつかえを感じる方には半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)が効果的です。
まとめ
生理前のイライラ、倦怠感、鬱々としたりなどの精神的に辛い症状に悩まされている女性はたくさんいます。
症状によって有効なケア方法も漢方薬も異なりますので、こちらの記事をご自身にあったケア方法を見つけるために役立てていただければと思います。