女性の鼻血は何が原因? 効果的な漢方薬とセルフケアを解説
鼻血の多くは鼻の穴の入り口、小鼻の内側にあるキーゼルバッハ部位と呼ばれる場所から出血します。
出血が増えると貧血やめまいの原因にもなるため、正しい対処法と原因を把握しておくことが大切です。
ここでは鼻血を原因別に分け、それぞれの原因と対処法、効果的な漢方薬について解説していきます。
目次
月経時の鼻血の原因と効果的な漢方薬
月経不順のある女性で、稀に月経時に限って鼻血が見られる方がいらっしゃいます。
これは無月経や過少月経の方に多く、月経出血の代わりに別の部位から出血が起こる「代償性月経」が原因のことが多いとされています。
代償性月経の鼻血を防ぐためには、不摂生な生活を改善してホルモンバランスを整えることが大切です。
疲労やストレスを溜めないよう良質な睡眠をとることや、過度なダイエットは控えて栄養バランスの取れた食事を摂るように心がけましょう。
月経に加えて鼻血が出ることで貧血の症状が出ることがあります。鼻血のケアと併せて、意識的に黒ゴマ、プルーン、ほうれん草、人参など血液を作るのに役立つ食材を取り入れましょう。
月経時の鼻血には体質改善を行う漢方薬もオススメです。
身体の上部に溜まった余分な「熱」を取り除く作用のある「黄蓮解毒湯(オウレンゲドクトウ)」や、ストレスの強い方には「気(生命エネルギー)」の巡りを良くして余分な「熱」を冷まして症状を和らげる「竜胆瀉肝湯(リュウタンシャカントウ)」などが効果的です。
妊娠中の鼻血の原因と効果的な漢方薬
妊娠時は末梢の血管を拡張させたり、身体に水分を蓄えたりする黄体ホルモンの働きが活発になるためむくみやすくなります。
その影響で、妊娠中は血管の拡張、血液循環量の増加と共に「キーゼルバッハ部位のむくみ」が起こりやすくなるため、鼻血が出やすいとされています。
妊娠中は出血しやすい状態のため、鼻をかむときは勢いよくかまず、鼻のケアもいつもより優しく行うことを意識しましょう。
出血による貧血を防ぐためにも、妊娠中はほうれん草やブロッコリーに多く含まれる葉酸も積極的に摂取しましょう。食材からだけでの摂取が難しい場合は、サプリメントで補うのがオススメです。
妊娠中の鼻血には漢方薬による体質改善も効果的です。
身体を温めて、出血や痛みを抑える作用のある「芎帰膠艾湯(キュウキキョウガイトウ)」や、血の質を高めて妊娠の経過を良くする作用のある「当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)」などがオススメです。
高血圧による鼻血の原因と効果的な漢方薬
キーゼルバッハ部位は毛細血管が集中しており、粘膜が薄い部位です。些細な血圧の変動や刺激で出血しやすいとされています。
鼻血が出たときに、動揺して血圧が上昇すると出血が止まりにくくなります。
まずは前傾姿勢をとり、小鼻の脇を抑えて深呼吸し、気持ちを落ち着けます。5〜10分で出血は止まることが多いですが、その後もしばらく安静にしましょう。
高血圧が原因の鼻血には、血圧を安定させるツボを押すこともオススメです。
うなじの生え際部分の外側にあるくぼみの左右にある「天柱(てんちゅう)」を痛みを感じない程度の強さで5秒ほど刺激してみましょう。
高血圧による鼻血には体質改善を行う漢方薬も効果的です。
体内にこもった「熱」や炎症を鎮める作用のある「三黄瀉心湯(サンオウシャシントウ)」や、めまいや耳鳴りを伴う方は「気」や「血(血液)」を巡らせて、加齢とともに上昇する血圧を安定させる「七物降下湯(シチモツコウカトウ)」などが良いでしょう。
花粉症による鼻血の原因と効果的な漢方薬
花粉症などのアレルギー性鼻炎の症状が強いときに鼻血が出やすくなるのは、鼻の粘膜に炎症が生じて鼻水やくしゃみが頻発し、鼻をかむ回数が増えることで粘膜が傷ついて出血しやすくなるためと言われています。
鼻への刺激を軽減するためにも、正しい鼻のかみ方をマスターしましょう。鼻をかむときは鼻呼吸から口呼吸に切り替え、反対の鼻の穴をしっかり抑えて片側ずつ鼻をかみます。
急いで鼻水を押し出そうと力みすぎずに、少しずつ鼻から空気を出して刻むように丁寧にかむようにしましょう。
花粉症による鼻血には漢方薬もオススメです。
鼻水がひどい方には、水分異常を改善して鼻炎症状を和らげる作用のある「小青竜湯(ショウセイリュウトウ)」や、鼻詰まりがひどい方には、身体を温めて身体に溜まった「水(水分)」の代謝を促して鼻の通りを良くする「葛根湯加川芎辛夷(カッコントウカセンキュウシンイ)」などが効果的です。
風邪をひいたときの鼻血の原因と効果的な漢方薬
風邪を引くと鼻の炎症から粘膜が充血し、出血を起こしやすい状態になります。鼻詰まりが気になってむやみに鼻を触ったり、強く鼻をかむことで粘膜が傷つけられると鼻血が出やすくなります。
風邪のときは発熱によって血管が拡がり、鼻やのどの炎症で粘膜が腫れて充血しています。鼻血を止めるには、まず風邪を治すことが大切です。
乾燥を避けるため加湿器で部屋を加湿し、室温を25℃程度に保って安静に過ごしましょう。
鼻血がみられるときは、仰向けの体勢は避けることが好ましいです。安静時の体勢は、鼻をスムーズに流して、鼻詰まりをラクにするために横向きで寝るか、クッションを使って少し身体を起こすような姿勢で寝転びましょう。
風邪を引いたときの鼻血には症状にあった漢方薬を併用するのもオススメです。鼻詰まりがある方は、身体を温め「水」の発散を促す「葛根湯加川芎辛夷(カッコントウカセンキュウシンイ)」、粘膜の充血から鼻血につながる方は、体内にこもった余分な「熱」を冷まし、症状を和らげる「荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)」などが効果的です。
鼻血が毎日出る原因と効果的な漢方薬
毎日のように鼻血が出るときは、空気の乾燥、鼻を強くかむ、鼻をいじる、などの刺激による外傷で粘膜が傷ついている可能性があります。
特に冬場は、肌の乾燥と同様に鼻も乾燥して敏感になりやすい時期です。乾燥すると少しの刺激でも出血しやすい状態になります。
部屋を加湿器で加湿する、就寝前に鼻の入り口にワセリンや保湿クリームをつけるなどの保湿ケアを行いましょう。
毎日の鼻血には体質改善を行う漢方薬も効果的です。皮膚粘膜が弱り、敏感になっている方の「気」や「血」を補う「帰脾湯(キヒトウ)」や、体内にこもった余分な「熱」を冷まして炎症を抑える「黄蓮解毒湯(オウレンゲドクトウ)」などがオススメです。
鼻血はほとんどが乾燥と外部刺激によるものですが、稀に腎臓病や肝臓病、悪性腫瘍などの大きな病気が隠れている場合があります。
鼻血以外にも出血がある、毎日大量の鼻血が出るなどの症状がみられる場合は病院で検査を受けるようにしましょう。
鼻血が止まらない原因と効果的な漢方薬
鼻血が止まらないときは、循環器系の薬の内服や、月経、妊娠、出産などで血管が破れやすく出血が止まりにくい状態になっていることが考えられます。
鼻血が出てしまったらまずは、血液を飲み込まないよう前傾姿勢をとります。そして鼻腔の位置を心臓より高い状態にするために、横にならずに立つまたは座る姿勢を保つようにしましょう。
体勢を整えたら、親指と人差し指で小鼻の脇をしっかり抑え、保冷剤などで5〜10分ほど冷やして出血が落ち着くまで安静にしましょう。
鼻血が止まらないときは漢方薬もオススメです。
余分な「熱」を冷ますことで炎症を鎮める作用のある「黄蓮解毒湯(オウレンゲドクトウ)」や、ストレスなどでイライラして鼻血が出やすい方には、「気」の巡りを良くすることで「熱」を冷ます作用のある「竜胆瀉肝湯(リュウタンシャカントウ)」などが効果的です。
まとめ
鼻血を原因別に分けて、それぞれの原因、対処法、効果的な漢方薬について解説してきました。
鼻血が出たときや、繰り返す症状にお悩みの方は、ここで紹介した対処法を症状の改善に役立ててください。
鼻血の改善に漢方薬が効果を示した例があります。セルフケアを試してもなかなか症状が改善しないときは、お近くの漢方医や漢方薬局にご相談くださいね。