ゲップの原因は呑気症?空気を飲み込まない方法を紹介

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呑気症は現代病とも呼ばれ、ストレスが主な原因となり発症するものです。呑気症の症状には、ゲップが増える、おならが出やすくなるなどがあります。

すぐに症状が改善するようなゲップの場合には、そこまで気にしなくてもよいので、しばらく様子観察できるでしょう。

しかし、セルフケアをしていても、腹部に違和感を覚える、あるいはゲップやおならがよく出るなどの症状が悪化する際は注意が必要です。

ここでは呑気症を取り上げ、ゲップやおならとの関係や、呑気症を防ぐポイントについて解説します。

呑気症とは

呑気症の症状で苦しんでいるのは女性が多いといわれ、主に20代などの若い女性に多くみられます。

呑気症は、別名で空気嚥下症とも呼ばれ、代表的な症状としては、ゲップの回数が増える、ガスが溜まっておならの回数が増える、腹部が張った感じがする、吐き気や腹痛がするなどが挙げられます。

呑気症の原因は、はっきりとは分かっていませんが、ストレスなどが溜まって、心が弱っている状態の時に発症しやすいともいわれていますし、呑気症は、ストレスなどで心が疲れると、その症状が増強することもあります。

呑気症とゲップやおならとの関係

唾液を1回のみ込むと、同時に2~4mlの空気ものみ込みます。

炭酸飲料をよく飲む人や早食いの人は、空気を多くのみ込み、のみ込んだ空気が、のどや食道にたまると、のどの異常感や食道の異物感を感じます。

その時、唾液をのみ込んで異物感を解消しようとすると、かえって空気を多くのみ込むことになります。

胃に空気がたまると、胃の不快感や痛み、上腹部の膨満感が生じます。

胃の空気が逆流して出て来るのがゲップであり、空気が小腸を通過し、大腸にたまるとおならとなって出てきます。

呑気症のチェック項目としては、

  • お腹が張っている感じがする
  • おならが出やすい
  • ゲップがいつもより多い
  • 吐き気がする
  • 腹痛などお腹に違和感がある

などが挙げられます。

また、これらの症状を感じて、

  • ストレスなど精神的苦痛を感じている
  • 食べるのが早い
  • 奥歯の噛み癖などの癖がある

などに該当する場合は、呑気症の可能性を考えると良いでしょう。

空気を飲み込まない方法

空気を飲み込まないようにして、呑気症を避けるにはどんなことに注意すればよいのでしょうか。

ゆっくり食事をする

他の人より食べるのが早いことによっても、空気を飲み込みやすくなり呑気症を発症する可能性がありますので、できるかぎりゆっくり食事をするように意識しましょう。

ただし、早食いの癖を自分で修正するのは難しいかもしれません。周りの人に注意をしてもらうなどの協力をしてもらうとよいでしょう。

ストレスをためない

ストレスは呑気症の発症原因といわれています。心が不安定にならないよう日ごろの生活に気を配ることが大切です。

たとえば、食生活で栄養バランスの取れた食事をすることや睡眠をしっかり取る、ストレスをできる限り溜めないことなども呑気症の予防となるでしょう。

その他にも、ひとりの時間を作ることや自分の趣味など好きなことをする時間を作るのも大切です。

噛みしめ癖を治す

呑気症は、ストレスの多い人、神経症傾向の人、うつ状態の人がなりやすく、これらの人は、不安や緊張から歯をかみしめる回数がおおくなり、かみしめることが発症を促す要因になります。

一般的に、安静にしているときは、上下の歯は離れていますが、かみしめるようになると、舌が上あごに張り付くため、のどの奥に唾液と空気がたまってきて、このたまった唾液をのみ込む際、空気ものみ込んでしまいます。

無意識に歯を噛みしめるなどの癖がある場合も、呑気症の可能性があります。歯の噛み癖がある場合は、歯並びが原因の場合もあるでしょう。その場合は、歯科医師に相談して改善に努めましょう。

病院は何科?呑気症の治療

呑気症の治療を行うにはまず、呑気症であることを診断してもらわなければなりません。

呑気症と診断を下してもらうためには、消化器内科医師などによる問診や胃カメラなどによる胃の検査が必要となります。

診断された後に治療がスタートしますが、呑気症の場合はストレスなど心の問題が原因で発症するケースが多いので、手術や薬物投与などの有効な治療法はありません。

心療内科などの診療科において、認知行動療法などの心理療法が行われます。

認知行動療法では、まず自分が呑気症であることやその症状について理解をして、その後に心の調和を保つために自分の生活や行動を改善していきます。

呑気症は治療後でも再発をする可能性はあります。

特に、呑気症の原因がストレスなどの精神的要因の場合は要注意です。なぜならば、たとえ一時のストレスが緩和されても、再び同じような事があると呑気症を再度発症してしまう可能性があるからです。

まとめ

これまで、ゲップの原因は呑気症なのか、空気を飲み込まない方法などを中心に解説してきました。

私たちは、ストレスを感じると必要以上に空気を体内に取り入れてしまい、呑気症の発症につながります。

ストレスなどの精神的な苦痛は、体にさまざまな症状で心が弱っていることを伝えてきます。呑気症もそのひとつです。

心が疲れているようならば、自分を労わってあげることも大切です。その他にも、食べるのが早い・口呼吸・姿勢の悪さ・奥歯を噛みしめる癖などが原因になっている場合には改善するように努めましょう。

また、呑気症は心理的要因が原因になることが多いので、総合内科などでは診断が下らない場合もあるため、呑気症の症状があり、心が疲れているように感じた場合は、心療内科に相談をしてみるのも良いでしょう。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

甲斐沼孟

産業医 甲斐沼孟医師。大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センター、大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センター、大阪大学医学部付属病院、国家公務員共済組合連合会大手前病院を経て、令和5年4月よりTOTO関西支社健康管理室室長。消化器外科や心臓血管外科領域、地域における救急診療に関する幅広い修練経験を持ち、学会発表や論文執筆など学術活動にも積極的に取り組む。 日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医・指導医、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医、大阪府知事認定難病指定医、大阪府医師会指定学校医、厚生労働省認定臨床研修指導医、日本職業・災害医学会認定労災補償指導医ほか。 「さまざまな病気や健康課題に関する悩みに対して、これまで培ってきた豊富な経験と専門知識を活かして貢献できれば幸いです」

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