生理の前は寒気でゾワゾワ…寝込みがちな虚弱女子を卒業したい!
生理前になるとなぜか寒気がして体がつらい。生理前の寒気とだるさで風邪を引いたのかと心配になってしまう…。
こうした「月経前の寒気」に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。
自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。
今回は「生理前の寒気」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。
目次
風邪でもないのに寒気!? 生理前の体調の落ち込みがつらすぎる…
麻美子さん(31歳女性)、パート勤務の方からご質問をいただきました。
子供の頃から体が弱く色白で、田舎の祖母の家に連れていかれるたびに祖母からは「こんなもやしっ子では先が思いやられる」と嘆かれていたほどの虚弱体質な私。
30歳を過ぎてもそれは大して変わることなく、何をしたわけでもないのに疲れやすく、風邪を引いてはパートを休んでばかりいます。
特に最近は、生理の前になると毎回体がだるく、朝からザワザワと寒気がして、ずっと布団の中にくるまっていたい気持ちになってしまうんです。週に3回パートがある日はそんなことを言ってはいられず、出勤ギリギリまでは頑張ろうと思うのですが、結局体がつらくて休んでしまいみんなに迷惑をかけてしまうことも度々で…。
そんな私を見かねたのか、夫からは「体がつらいんだったら無理して働かないで家にいたら?」とも言われているのですが、こんな私でも欲しい洋服やコスメもあるし、この先子どもが生まれたらお金もかかるし…と思うと、パートだけは続けたい気持ちもあります。
寒気といっても毎回熱が出るわけではないので、もう少しこのだるさや体の痛みがなくなってくれたらなあと思っているのですが、何か体質を改善する良い方法はないでしょうか?
ご質問ありがとうございます。
月経前はさまざまな不快症状が起こりやすい時期でもあり、寒気を感じるのもめずらしいことではありませんが、毎月のこととなるとつらいですよね。
今回は、月経前に寒気が起こる原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。
月経前の寒気の原因はホルモンの変化による自律神経の乱れ
月経前に寒気を感じるのは、「体温の変化」と「自律神経の乱れ」が大きな原因と考えられています。
月経前には、活発化する黄体ホルモンの影響で、体温は上昇するものの代謝が落ち、血行が悪化して冷えを感じやすくなります。
さらに、温かい血液が子宮に集中することで、手足などの末端が冷えることで寒気が生じてしまうのです。
また、月経前のホルモンバランスの変化によるストレスや感情の起伏が高まることで自律神経が乱れることでも体に冷えが生じ、寒気を感じる原因になります。
東洋医学では、月経前には「気・血・水(生命エネルギー・血液・水分)」のバランスが崩れ、さまざまな体の不調が起こるとされ、特に寒気は体が冷えることから来る「風寒(ふうかん)」により起こると考えられています。
次の章では、このような「月経前の寒気」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。
月経前の寒気を和らげるセルフケア3選
1.お腹や手足を温めて体を冷やさないようにする
月経前に寒気を感じるときは、体を温め、できるだけ体を冷やさないことが大事です。
特におなかの周りや冷えやすい手足などは、保温性の高い下着や腹巻、厚手のソックスなどの冷えとりアイテムを活用して冷えを防ぐのもオススメです。
また、寒気がしても熱などはなく体が動かせる場合は、ウォーキングやストレッチなど無理のない範囲で体を動かすことで、血の巡りをよくすることも寒気の改善に効果的です。
1日の終わりには好きな香りの精油(エッセンシャルオイル)を1〜2滴垂らしたバズタブに浸かり、ゆっくり体を温めながらリラックスするのも良いでしょう。
2.体を内側から温める食べ物を摂るようにする
体に冷えを感じるときは、特に体を温める食材を意識的に摂るようにしましょう。
大根、レンコン、ゴボウ、人参、生姜などの根菜類や、玄米、アズキなどの穀類や豆類には、身体を内側から温めてくれる効果があります。
また、生野菜やマンゴー、バナナなどの南国のフルーツ、バターや牛乳、カフェイン、アルコールは身体を冷やしてしまうため、月経前はできるだけ控えるようにすると良いでしょう。
3.何事も無理をしない、頑張りすぎないこと
月経前は見えないところで体にさまざまな変化が起きています。疲労もストレスも溜まりやすい時期なので、寒気を感じているときは仕事や家事など無理をしないことが大切です。
色々な不安や心配事で心が一杯になってしまったり、やるべきことを抱え込んでしまったりすると、ストレスにより余計にホルモンバランスが乱れてしまいます。
体がつらいときは、こまめに休憩をとりながら、身体をいたわって過ごしましょう。
根本的な体質改善には漢方薬が効果的!
月経前の寒気を改善するために、市販薬や処方薬の服用などの選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、桂枝湯(ケイシトウ)です。
風邪のひき始めに用いられることが多い漢方薬で、虚弱体質で寒気やだるさのある方の体を温め、穏やかな発汗を促して頭痛や神経痛、筋肉痛などの痛みや寒気を和らげる効果があります。
また、寒気から熱が出て頭痛や吐き気などの症状もある場合は、体内にこもった熱や炎症を引かせ、症状からくる痛みを緩和する効果のある柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ)も良いでしょう。
一方、体質改善という意味では冷えがある貧血気味の方に体を温め血行をよくしてホルモンバランスを整える当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)もおすすめです。
寒気を感じたら、頑張り過ぎずに体を温めて休養を
今回は、月経前の寒気に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状の改善のためには、体をしっかり休め、内側と外側、両方からのケアで体を冷やさないように心がけることが大切です。
また、月経が始まっても寒気が治らない時は、風邪の可能性もありますので、無理せず病院で診察してもらうようにしましょう。
また、こうした気になる月経前の症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。
セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。