大笑い&くしゃみで悲劇が…友人宅での尿漏れに後悔しきりの日々!

体験談

くしゃみをした瞬間にチョロっと尿が漏れてしまうことがある。お茶にむせて激しく咳き込んだら尿漏れしてしまっていた…。
40〜50代の更年期世代の女性のなかには、くしゃみや咳などの腹圧がかかる動作によって起こる尿漏れに悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「くしゃみによる尿漏れ」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

ちょっとお腹に力が入るたびに尿漏れが…油断も隙もありません!

美智代さん(58歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

このところ、くしゃみをしたり咳き込んだりという、ちょっとした動作で不意な尿漏れに襲われることが多く、恐ろしくておちおち出かけることもできなくなってしまいました。産前産後も含め、幸いにもこの歳まで特に尿漏れを経験したことがなかったため、その分ショックも大きくて…。
先日も、同じマンションに住む茶飲み友だちのところに手作りのお菓子を持って行き、そのまま2時間ほどお邪魔しておしゃべりに興じていたのですが、花粉症シーズンでもあったため、3回ほど続けざまにくしゃみが出てしまったんです。いつもならくしゃみをする時は尿漏れしないように下半身に力を入れ、細心の注意を払っているのですが、その日はどうにも気が緩んでいたのか、うっかり大笑いしたままくしゃみをしてしまって…。
案の定、嫌な予感が的中してしまったので、人さまのお宅を汚さないようにすぐさま立ち上がって退散したのですが、後悔しても後の祭りです。あまりに突然帰宅してしまったので、友人に不審に思われていないか、もしやこの失態がバレたのではないか…と、いまだに気が気ではありません。オムツが必要なほど漏れる、というわけでもないのですが、どうにかしてこの症状を改善したいと思っています。何か良い方法はないものでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
軽い尿漏れであれば、ちょっとした習慣の改善や骨盤底筋を鍛える体操で、症状が良くなることもあります。あまり不安にならずに過ごすようにしましょう。
今回は、くしゃみをすると尿が漏れる原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

くしゃみによる尿漏れは腹圧と筋力低下が原因

くしゃみや咳をすることによる尿漏れは、「腹圧性尿失禁」といい、子宮や膀胱を支えている骨盤底筋群の筋力が低下し、下腹部に腹圧がかかった際に膀胱に溜まっていた尿が漏れてしまうことで生じます。
くしゃみ以外にも、重いものを持ち上げた時や長時間歩いた時にも尿漏れが起こることがあり、30歳以上の経産婦の女性や肥満体質の方、便秘がちな方や喫煙者なども腹圧性尿失禁を起こしやすいと言われています。

東洋医学では、骨盤底筋群の機能低下を「中気下陥(ちゅうきげかん)」といい、内臓が重力により下方へ下がってしまうことにより、尿漏れなどの症状が起こると考えられています。

次の章では、このような「くしゃみによる尿漏れ」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

くしゃみによる尿漏れを解消する3つの対処法

1.座ったままで簡単!骨盤底筋体操をする

子宮や膀胱など、下腹部の内臓を支える骨盤底筋の緩みによる尿漏れのは、ごく簡単な体操を継続的に行うことで改善が期待できます。数ある骨盤底筋体操のなかでも、座ったままでできる最も簡単なものをご紹介しますので、毎日の生活のなかに取り入れて、ぜひ実践してみてください。

1.背もたれに寄りかからず、浅めに椅子に腰掛けて背中をまっすぐ伸ばします。
2.そのまま足を肩幅程度に開き、顔を上げて肩とお腹の力を抜きます。
3.お腹に力を入れずに肛門・膣・尿道だけを5秒間ぎゅっと締め、脱力します。

※1〜3の動作を10回繰り返します。これを1日3回ほど実践しましょう。

2.日常生活を見直して尿漏れしにくい体質に!

日常生活のなかで、買い物や通勤などでできるだけ歩くように心がけ、腹筋や背筋を鍛える努力をしてみましょう。背筋を伸ばし、少し大股で歩くだけでも筋力アップに繋がります。
また、尿漏れを不安に思うあまり、水分を控えすぎると脱水症状や熱中症を起こしてしまう可能性があります。
冷たいものや利尿作用のあるコーヒーやアルコールを控え、適度な水分摂取を心がけ、便秘をしないように食物繊維を積極的に摂ることも大切です。

3.市販の尿漏れ用ケア商品を活用してみる

尿漏れが頻繁に起こることで、不安を感じたりストレスを感じる方は、市販の尿漏れ用シートや尿漏れ専用のショーツを活用するのもオススメです。
骨盤底筋のトレーニングや食生活・便秘の改善などと並行して、万が一の時のために尿漏れ用のシートを装着したり、匂いの気にならないショーツを着用しておくことで、過剰な不安やストレスを溜め込まなくても済むようになるかもしれません。
尿漏れがあるからと自宅にこもりきりになったり、活動の範囲を狭めることは生活の質の低下にも繋がってしまいます。便利で実用的なグッズを積極的に取り入れ、安心して生き生きと活動できるよう心がけてみてくださいね。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

くしゃみによる尿漏れを改善するために、市販薬や処方薬の服用などの選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、補中益気湯(ホチュウエッキトウ)です。疲れやすく体力が低下している方の「気(生命エネルギー)」を巡らせて筋力をサポートし、尿漏れなどの内臓下垂をともなう症状を改善する効果があります。

また、補中益気湯のみでは症状の改善が見られない場合には、体質や症状に合わせて「腎(じん)」を補う効果のある漢方薬を追加するのも良いでしょう。冷えがあるなら八味地黄丸(ハチミジオウガン)、腰の痛みなどもあるなら牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)、冷えがなくほてりがあるなら六味丸(ロクミガン)を加えて服用しても良いでしょう。

尿漏れを意識し過ぎず、日々の努力で改善しましょう

今回は、くしゃみによる尿漏れに悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状の改善のためには、日常生活のなかに筋力をアップする運動や骨盤底筋を鍛えるエクササイズを取り入れ、尿漏れを起こしにくくする努力をすることが大切です。
尿漏れがあることで、不安やストレスを抱えてしまう場合は、市販の尿漏れケアのグッズなども積極的に活用してみると良いでしょう。
また、こうした気になる尿漏れの症状改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

関連記事