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マスクの奥では何度も生あくび…眠気がひどくて接客に集中できません

体験談

長時間マスクをしていたら頭がぼーっとして眠気が襲ってきた、勤務中マスクをするようになってから集中力が保てず、居眠りをしてしまうようになった…。
30〜40代のプレ更年期世代の女性のなかには、このような「マスクによる眠気」に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「マスクによる眠気」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。 

毎日が眠気との戦いに…この異様な睡魔は長時間のマスク着用のせい⁉︎

自動販売機でコーヒーを買う手

玲子さん(36歳女性)、百貨店勤務の方からご質問をいただきました。

百貨店での対面接客を行うサービス業務を担当しているため、勤務中はずっとマスクをした状態で仕事をしています。
マスクを長時間つけ続けることには慣れたものの、なんだかずっと息苦しい状態で仕事をしているせいか、以前よりも疲れやすく、だるさを覚えることも増えて困っています。
特に、このところなぜか勤務中に睡魔が襲うことが多く、絶え難い眠気と戦いながら勤務時間をようやく乗り切っている状態です。特に夜眠れないわけではなく、睡眠不足ではないと思うのですが、この眠気とマスクをしていることと何か関係があるのでしょうか?
同僚も同じように眠気があるらしく、休憩時間にはいつもコーヒーを飲んだりガムを噛んだりして眠気覚ましをしている状態です。
対面接客ですので、勤務中に居眠りをしてしまうことはさすがにありませんが、マスクの奥でお客様にわからないようにこっそり生あくびをしていることはしょっちゅうです。
この先、まだまだマスクを着用した状態での勤務は続くと思いますし、何か良い改善方法があれば教えていただきたいと思っています。

ご質問ありがとうございます。
マスクをしていると、いつの間にか呼吸が浅くなってしまいがちです。無意識のうちに酸素不足に陥り、脳が酸欠状態になることで眠気を始め、さまざまな不調がおこると考えられます。
今回は、マスクによる眠気の原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

マスクによる眠気は「酸素不足」と「気」の不足が原因

マスクによる眠気解説イラスト

マスクを長時間しているときに限って眠くなる、といった症状がある場合は「酸素不足」による不調のひとつであると考えられます。
マスクの着用により無意識に呼吸が浅くなると、体内に取り込む酸素が少なくなり、酸素が全身に行き渡らなくなります。こうして脳への酸素供給が減ると、眠気やだるさ、動悸などが起こることがあるのです。
また、感染症への不安やマスク着用によるストレスから自律神経が乱れ、交感神経が優位な状態が続くことは呼吸の浅さを招く原因になります。

東洋医学では、深い呼吸によって酸素をたっぷり体内に取り込むことで「気(生命エネルギー)」が生まれ、体内の巡りを良くするとされているため、マスクの着用で取り込む酸素が減ることで眠気やだるさなどさまざまな不調が起こると考えられています。

次の章ではこのような「マスクによる眠気」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

マスクによる眠気を改善する3つの対処法

1.深い呼吸や運動で酸素を取り込む

ヨガ

多くの人が集まる場では難しいかもしれませんが、症状がつらいときには、仕事中でも可能であればひとりになれる場所でマスクを外し、ゆっくりと腹式呼吸を繰り返してみてください。
吸うことよりも吐くことを意識し、5秒吸ったらその倍の10秒で息を吐き切るイメージで呼吸を繰り返しましょう。
また、体内に酸素を効率的に取り込むためには、自然に深い呼吸をマスターできるヨガや太極拳などへのチャレンジもオススメです。

2.香りを活用して「気」を巡らせる

マスクスプレー

酸素不足から滞った「気」を巡らせるためには、良い香りで自然に呼吸が深くなるようなアロマテラピーや薬膳による漢方的養生を実践するのも良いでしょう。
特に、レモンやローズマリー、ユーカリなどの眠気を解消する効果のある香りや、ネロリやゼラニウムなどのストレス解消効果のある香りをうまく取り入れてリラックスし、深い呼吸に繋げましょう。
最近ではマスクに噴霧して除菌もできる、リフレッシュ用のアロマスプレーも市販されているため、活用してみてはいかがでしょうか。
さらに食事の際に薬味として香りの良いシソやショウガ、ミョウガなどを使って「気」の巡りを良くすることで、眠気を解消する効果が期待できます。ぜひ実践してみてください。

3.横隔膜をほぐして呼吸をスムーズに

マスク着用で呼吸が浅くなることに加え、ストレスや加齢から横隔膜の筋肉が硬くなると、酸欠を招き、眠さやだるさなどのさまざまな不調が起こりやすくなるといわれています。
横隔膜をほぐすストレッチで肺を動かし、全身の血流を良くして呼吸をスムーズにしましょう。

◎横隔膜ほぐしのストレッチ
①姿勢を良くし、背にもたれかからないように浅めに椅子に座ります。みぞおちの真ん中に両手の指をおき、3秒間で鼻から息をたっぷり吸いこみ、おなかを膨らませます。

②次に、親指以外の4本の指を肋骨の一番下の骨の内側に差し込むイメージでグッと押し、上体を前へ倒しながら、10秒間かけて口から息を吐き、お腹をへこませます。
※①②を3回ほど繰り返しましょう。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

小皿に入れられたさまざまな生薬

マスクによる眠気を改善するために、セルフケアに加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)です。ストレスから自律神経が乱れ、呼吸が浅くなりがちな方の自律神経を整え、息苦しさや眠気などの症状を改善する効果があります。
強いだるさや疲労感とともに急な眠気の発作が起きてしまう方には、胃腸の働きを整え、自律神経を整えていく補中益気湯(ホチュウエッキトウ)も良いでしょう。
一方、胃腸も弱って疲れて眠い、だるいのに夜は熟眠感がないという方には帰脾湯(キヒトウ)もオススメです。

深い呼吸で体内に新鮮な空気を巡らせましょう

公園でストレッチをする女性

今回は、マスクによる眠気に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状の改善のためには、腹式呼吸でゆっくりと深い呼吸をすることや、香りを活用して「気」を巡らせること、横隔膜を柔らかくして呼吸をスムーズにすることが大切です。
また、こうした気になる眠気の症状改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。
セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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