唇のまたアノ違和感が…繰り返す口唇ヘルペスに辟易としてしまいます

体験談

唇にピリピリした刺激を感じたと思ったらプツッと小さな水泡のようなものが現れた、疲れやストレスが溜まってくると、唇の周りにヘルペスが再発してしまいつらい……。
30代〜50代の女性のなかには、こうした「口唇ヘルペス」に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。

このような自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「口唇ヘルペス」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

幼少期から付きまとう宿敵…口唇ヘルペスが再発しない体質に改善したい

亜由美さん(48歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

子どもの頃からの長い付き合いになりますが、ちょっと体調を崩して風邪気味だったり疲れているときに限って口の周りにプクッと小さな水泡が現れるんです。子どもの頃は「熱の花」なんて呼んでいましたが、まあ、いわゆる口唇ヘルペスのことだと思います。
これまではそこまでひどい症状になったことはなく、たいてい数日もすればかさぶたになってポロリと剥がれておしまい、という感じでした。
ところが先日、ひさしぶりに症状が出たときは、疲れと睡眠不足に加えて風邪気味だったせいか、水泡ができる前から唇の周りがピリピリとして、赤くなったかと思ったらこれまでにない大きな水泡が……。
かゆいし痛いし、薬局でヘルペス再発用の外用薬を買ってきて塗ったのですが、結局治るまでに2週間近くかかってしまいました。今はもう、喉元過ぎれば、という感じでなんともないのですが、またちょっとした体調の変化によってヘルペスに悩まされるかと思うと、もううんざりです。
どうにか再発しない体質に改善することはできないものでしょうか。何か良い方法があれば教えてください。

ご質問ありがとうございます。
口唇ヘルペスは、症状自体は命に関わるようなものではないものの、ちょっとした体調の変化で体の抵抗力や免疫力が下がることにより繰り返し再発したり、症状が強く出たりすることがあります。
今回は口唇ヘルペスの原因や改善方法について詳しくお伝えしていきましょう。

口唇ヘルペスは乳幼児期のウイルス感染が原因に

口唇ヘルペスとは、単純ヘルペスウイルス1型を原因とするもので、唇やその周囲に小さな水疱が生じる病気です。乳幼児期に接触感染することが多く、一度感染すると体内の神経細胞が集まる神経節にウイルスが潜伏し、風邪やストレスなどを誘引として繰り返し発症する可能性があります。
口唇ヘルペスの症状があるときは、唾液や水疱の中に潜むウイルスにより、接触した周囲に感染させることもあります。

東洋医学では、口唇ヘルペスは五臓のうちの胃腸をつかさどる「脾(ひ)」の衰えにより、暴飲暴食や疲労による体力の消耗に加え、体に「風熱(ふうねつ)」や「湿熱(しつねつ)」などの余分な熱が溜まることで生じると考えられています。

次の章ではこのような「口唇ヘルペス」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

口唇ヘルペスを予防・改善するセルフケア3選

1.体の抵抗力&免疫力を高める生活を!

口唇ヘルペスはストレスや疲労が溜まっていたり、風邪をひいて体の抵抗力や免疫力が落ちていたりするときに再発します。
感染している場合は、再発しやすい状況をできるだけ避け、免疫力を高める生活を送るように意識してみてください。寝不足やストレス、不規則な生活を避け、規則正しい生活を送ること、栄養バランスのとれた食生活を送ることを心がけましょう。
そして、日頃から風邪をひかないようにこまめに手洗いやうがいをし、ウイルスの増殖を防ぐようにすることも大切です。

2.患部を濡れたままにせず、清潔に保つ

口唇ヘルペスの症状が出てしまった場合は、悪化を防ぐためにもまず患部を清潔に保つように心がけてください。
口の周りに水疱がある場合は、食べ物の汚れなどを残さないように水で洗い、柔らかいタオルやガーゼで優しく拭き取ります。患部を湿った状態のままにしておくと症状の悪化や二次感染が起こりやすくなります。しっかりと水分を拭き取って患部を乾燥させた状態にしておくようにしましょう。
また、水疱を不用意に触ったりこすったりして水泡が敗れると回復が遅れるため、むやみに患部に触れないようにしてください。

3.早期のケアで重症化を防ぎましょう

口唇ヘルペスの症状は、通常、1~2週間程度で自然治癒することが多いものの、症状が悪化したり、水泡が破れてただれたりすると跡が残ることもあります。
口唇ヘルペスは、症状が現れた初期の段階で治療を開始することで早期に回復が見込めるため、再発による症状の場合は市販されている口唇ヘルペス用の抗ウイルス外用薬を塗布すると良いでしょう。
大人になってから初めて感染した場合は症状が強く出ることも多いため、症状がつらくなる前に皮膚科を受診することをオススメします。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

口唇ヘルペスを改善するためには、セルフケアに加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、補中益気湯(ホチュウエッキトウ)です。疲労やストレスによる抵抗力の低下から口唇ヘルペスの症状を繰り返しやすい方の胃腸の働きや免疫機能を高め、症状の再発を抑える効果があります。
また、水疱やかゆみのひどい方や、大人になって初めて口唇ヘルペスを発症した方には、体を冷やして余分な熱をとり、炎症を和らげる効果のある黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)も良いでしょう。
一方、水疱で痛みが強い場合には、桔梗湯(キキョウトウ)が応用されます。少しずつエキス剤を粉末のまま直接口内炎に外用して、その後飲み込むようにすると早く痛みが取れると言われています。

抵抗力と免疫力を高めて感染と再発を防ぎましょう

今回は、口唇ヘルペスに悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
ヘルペスの感染や再発を防ぐためには、日頃から規則正しい生活と栄養バランスのとれた食事で抵抗力や免疫力を高めておくことがポイントです。症状が再発した場合は、なるべく早く適切なケアを行って重症化を防ぐようにしてください。
また初めて感染した場合や、水疱のただれや痛みが激しい場合は、皮膚科に相談して適切な処置を行うようにしましょう。

こうしたヘルペスの改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。
セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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