貧血の気になる症状に効果的なセルフケアと漢方
血液中の赤血球の成分であるヘモグロビンには、身体中に酸素を運ぶ働きがあります。
ヘモグロビンが正常値よりも少なくなった「貧血」の状態が続くと、さまざまな不調が現れます。
目次
貧血による疲れを改善するセルフケアと漢方
身体中に酸素を運ぶ働きのあるヘモグロビンが不足すると、少し動いただけでも酸素不足になって疲労感を強く感じやすくなります。
東洋医学では、貧血を「血(血液)」が不足している「血虚」であると同時に「気(生命エネルギー)」が不足した「気虚」の状態であると考えます。
ストレスで自律神経が不安定になることでも、貧血によるさまざまな症状が悪化することがあります。
貧血による疲労感を解消するには「気」を十分に補うことが大切です。
ストレスを溜め込まないように、忙しいなかでもリラックスできる時間を組み込むよう工夫しましょう。
ハーブティーは自律神経を整えて、質の良い睡眠を導くことができます。
寝る前に温かいハーブティーを飲む、休日にはゆっくり休養し、行楽や趣味に時間を使う、など自分なりのストレス解消法を見つけてくださいね。
根本的な体質改善には漢方薬もオススメです。
「血」と「気」を補う効果のある「十全大補湯(ジュウゼンダイホトウ)」や血流を良くして滋養強壮効果もある「加味帰脾湯(カミキヒトウ)」などが効果的です。
貧血による息切れを改善するセルフケアと漢方
貧血によりヘモグロビンが少なくなると体内の至る所で酸素不足となり、倦怠感が強く出たり、息切れしやすくなります。
東洋医学では、貧血を「血虚」が原因、さらに「気虚」を伴った状態と考えます。
貧血による辛い息切れを解消するには、まず酸素を身体の隅々まで行き渡らせるために深呼吸をしましょう。
息を吸う時よりも吐く時に意識を集中させると、より呼吸がしやすくなります。
そして、生活の中ではできるだけ鉄分の多い食材を摂るよう意識してみてください。
赤血球やヘモグロビンを作るために、その材料となる鉄や亜鉛、葉酸、ビタミンB12などを意識的に摂るようにしましょう。
自律神経の乱れも息切れを悪化させる原因となることがあります。
普段からストレスを溜めないように心がけ、リラックスする時間を持ちましょう。
根本的な体質改善には漢方薬が良いでしょう。
「血」を補い、貧血や月経異常を改善する「当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)」や「血」や「気」を補い、心身の疲労を回復させてくれる「加味帰脾湯(カミキヒトウ)」もオススメです。
貧血による動悸を改善するセルフケアと漢方
ヘモグロビンが正常値よりも少なくなった貧血の状態が続くと、少しの活動で酸素が不足して心臓に負担がかかり、動悸などのさまざまな症状が現れます。
貧血を原因とする動悸には、対策として鉄不足の解消が大切になります。鉄
分吸収をアップさせる食材を積極的に取り入れましょう。
ビタミンCや葉酸を多く含むほうれん草やブロッコリー、かぼちゃ、イチゴなどを鉄分と一緒に摂るのがオススメです。
動悸の症状を強く感じた場合は、長時間の激しい活動は避けて、しっかり休息する時間をとりましょう。
特に疲労感の強い時は、無理に動くことで体内が酸素不足となり、余計に心臓に負担がかかってしまいます。無理のない範囲の活動に留めましょう。
漢方薬による根本的な体質改善もオススメです。
「気」を補い、「心(心臓)」の症状も改善する「苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)」や、「血瘀」を良くして「気」の巡りも良くする「桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)」などが効果的です。
貧血によるめまいを改善するセルフケアと漢方
ヘモグロビンの値が低いと、少し動いただけで酸素不足の状態になり脳まで新鮮な酸素や血液が巡らない脳貧血の状態となり、めまいや立ちくらみを伴うことがあります。
東洋医学で、貧血の原因は「血虚」と「気」の不足といわれていますが、それに加えて「水滞」がめまいの症状を引き起こす原因と考えます。
めまいは外出中などでも突然起こることがあるため、危険回避のために対処法を心得ておきましょう。
屋外で歩行中の場合は、転倒で頭部を強打することがないようその場にしゃがみこみ、落ち着くのを待ちましょう。
また、運転中の場合は症状が落ち着くまで路肩に停止し、車のシートを倒して休みます。しばらくしても落ち着かなければ助けを呼び、絶対に自分で運転しないで下さい。
電車の中でのめまいは、走行中の揺れで余計に悪化することがあります。
場合によっては吐き気を伴うこともあるため、次の停車駅で一旦下車しましょう。
フラつく場合はホームに立っているのも危険です。椅子に座り、落ち着くのを待ちましょう。
根本的な体質改善には漢方薬もオススメです。
「水」の巡りを良くし、同時に「血」の巡りも改善する「当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)」や、「血瘀」を解消してめまいやのぼせを改善する「桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)」も効果的です。
貧血による立ちくらみを改善するセルフケアと漢方
ヘモグロビンの値が低いと、少し動いただけで酸素不足の状態になり脳まで新鮮な酸素や血液が巡らない脳貧血の状態となり、めまいや立ちくらみを伴うことがあります。
また、立ちくらみは起立性低血圧といい、一過性の血圧低下で起こる場合もあります。
急な血圧低下を予防するためにもお風呂の入り方には気をつけましょう。
熱い温度のお湯に浸かると、血管が一気に拡張して血圧が急激に低下することがあります。
お風呂の温度はぬるめの38〜40℃に設定しましょう。
肩までつからず、胸の辺りまでにとどめた方が負担が少なくなります。
全身の血流を改善するため、ふくらはぎの筋肉を鍛えることも効果的です。
ふくらはぎの筋肉を鍛えることで血液をスムーズに上半身に戻すことができ、立ちくらみの改善につながります。
根本的な体質改善には漢方薬もオススメです。
「気」を補い、「水」の代謝を改善する効果のある「苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)」や「血」を補い消化器の働きを良くして体力回復に効果的な「人参湯(ニンジントウ)」などが効果的です。
貧血による頭痛を改善するセルフケアと漢方
脳まで新鮮な酸素や血液が巡らない脳貧血の状態になると、頭痛などの症状が出ることがあります。頭痛には偏頭痛と緊張型頭痛の2つのタイプがあります。
こめかみの辺りがズキンズキンと痛む偏頭痛のような痛みは、貧血によって脳が酸素不足となり脳血管が収縮することで起きます。
このタイプの頭痛の場合は、保冷剤などで痛む部分を冷やしながら、暗い場所で横になって休養しましょう。血流改善のため足先や下半身は冷やさないよう暖かくして下さい。
頭全体をグーっと締め付けられるような強い圧迫感を伴う緊張型頭痛のような痛みは、血の不足によって脳まで血が回らなくなることで起こる痛みです。
温かいお湯で体全体を温めたり、痛む場所をカイロなどで温めることで痛みが和らぐことがあります。
根本的な体質改善には漢方薬が効果的です。
「水」の巡りを良くして、頭痛の症状を改善する「五苓散(ゴレイサン)」や、「血」の巡りを良くして「血瘀」を改善、便秘や肩こりなどにも効果的な「通導散(ツウドウサン)」などがオススメです。
貧血時の鉄不足を改善するセルフケアと漢方
鉄欠乏性貧血は、血液中の赤血球の成分であるヘモグロビンを作るために必要な鉄分が不足することで起きます。
原因としては、栄養の偏りや不足、鉄を吸収するためのビタミンCの不足などにより身体の鉄が失われたりすることが挙げられます。
また、月経過多などが原因で鉄の必要量が摂取量に追いつかないことも原因になります。
貧血を改善するために、鉄や鉄の吸収を良くする食材を積極的に取り入れましょう。
赤血球をつくるヘモグロビンは、鉄とたんぱく質でできています。
鉄分と合わせて肉や魚、大豆などのたんぱく質や、鉄の吸収を促進させる作用をもつビタミンCも積極的に取り入れましょう。
鉄欠乏性貧血が深刻な状態で、フェリチン(貯蔵鉄)も減ってしまっている場合は、食事だけで必要量を摂取するのは難しいかもしれません。
そのような場合は、鉄分の摂れるサプリメントなども取り入れてみましょう。
市販のサプリや、病院で処方される内服薬によって血中のフェリチン値を改善することができます。
漢方薬による根本的な体質改善もオススメです。
「血の道症」を改善して倦怠感や冷え、腹部の痛みなどにも効果的な「桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)」や、「血」や「気」を補い、疲労を回復させてくれる「人参湯(ニンジントウ)」などが効果的です。
まとめ
毎月の月経で、女性には多くの「血」が必要です。
自覚症状はなくても、隠れて貧血をお持ちの女性も多くいらっしゃることでしょう。
めまいや動悸、息切れ、頭痛などの症状は、もしかすると「貧血」が原因かもしれません。心当たりのある方は一度、この記事で紹介したセルフケアを試してみて下さい。
貧血が原因の諸症状に漢方薬が効果を発揮した例があります。
セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は是非お近くの漢方医や漢方薬局に相談してみて下さいね。