猪苓湯合四物湯(ちょれいとうごうしもつとう)は尿の不調に即効性あり?
猪苓湯合四物湯(ちょれいとうごうしもつとう)は尿トラブルによく使われる漢方薬です。利尿作用のある「猪苓湯(ちょれいとう)」に、血液を補強する「四物湯(しもつとう)」を合わせたものです。
排尿痛や慢性的な血尿等の尿トラブルに適応し、甘辛味で温服が効果的です。
目次
猪苓湯合四物湯は尿の不調を改善する
猪苓湯合四物湯には、水分の循環を高め、排尿を促す猪苓(ちょれい)、沢瀉(たくしゃ)、茯苓(ぶくりょう)といった生薬が含まれています。慢性的な頻尿に加え、残尿感などの症状をともなう場合に適している漢方薬です。
また、止血作用のある阿膠(あきょう)、熱を鎮め抗炎症作用のある滑石(かっせき)、血行不良を改善する当帰(とうき)、川芎(せんきゅう)、地黄(じおう)、鎮痛作用が期待できる芍薬(しゃくやく)などの生薬も配合されています。
膀胱炎や前立腺炎、前立腺肥大症、尿路結石、腎盂腎炎などの症状に処方される場合もあります。
猪苓湯合四物湯の即効性は?いつまで飲めばいい?
猪苓湯合四物湯に含まれる猪苓湯は一般的な排尿トラブルに多く使用される漢方薬で、たとえば膀胱炎の場合、服用から1~2日で症状が軽減する場合があるといわれています。
猪苓湯合四物湯の服用期間はとくに定まっていませんが、しばらく服用しても改善がみられず、症状が続く場合は他の症状が影響している可能性もあるので、速やかに医療機関を受診してください。
猪苓湯合四物湯と猪苓湯の使い分けは?
猪苓湯合四物湯と猪苓湯の使用目的はよく似ていて、頻尿、排尿痛、残尿感の症状に適応しているという点は共通しています。
慢性化した症状には猪苓湯合四物湯、急性期には猪苓湯が使われることが多いようです。また、猪苓湯合四物湯には皮膚を潤す四物湯が含まれているので、皮膚の乾燥がみられる場合は猪苓湯合四物湯を服用しましょう。
猪苓湯合四物湯で副作用は起こる?
漢方薬は比較的副作用リスクが少ないといわれますが、副作用がまったく起こらないというわけではありません。猪苓湯合四物湯にも、胃部の不快感、吐き気、下痢などの副作用が起こる場合があります。
猪苓湯合四物湯を服用して不調や違和感がある場合は、ただちに服用を中止し、医師の診察を受けてください。
猪苓湯合四物湯が適応となる病名・病態
保険適応病名・病態
効能または効果
皮膚が枯燥し、色つやの悪い体質で胃腸障害のない人の次の諸症:排尿困難、排尿痛、残尿感、頻尿。
漢方的適応病態
血虚と水熱互結(湿熱)。
すなわち血虚状態に発熱、熱感、口渇、排尿障害、尿量減少が見られ、いらいらや不眠などを伴うことがある状態。
猪苓湯合四物湯の組成や効能について
組成
猪苓3 茯苓3 沢瀉3 滑石3 阿膠3 地黄3 白芍3 当帰3 川芎3
効能
養血活血・利水清熱
主治
血虚血瘀・水停下焦
解説
猪苓湯合四物湯は日本の経験方で、「猪苓湯」と「四物湯」の処方です。
「四物湯」には養血活血の作用があるので、利水清熱の「猪苓湯」と併用すると水と血を同時に治療でき、慢性化した膀胱症状に用いられます。
臨床応用
◇淋症
排尿障害、頻尿などの膀胱症状に眩暈、面白、疲労倦怠感、月経不順、舌淡、脈細弱など陰血不足の症状をともなうときに使用されます。
◇血尿
血分に作用する薬が多いので、特に血尿の改善に効果があります。
原因不明の血尿、結石による血尿の治療に多く用いられます。