更年期の抑うつ、自律神経失調症、消化器症状や浮腫みには茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう)
茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう)は、中国の古典医学書、金匱要略(きんきようりゃく)が出典の漢方薬です。おなかがポチャポチャし、浮腫みがあるときによく使われます。
消化器周辺の水分流通を改善する茯苓飲(ぶくりょういん)と、のど周辺部の詰まり感に適応する半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)を合わせたものです。
目次
茯苓飲合半夏厚朴湯の効果は?
茯苓飲合半夏厚朴湯は、主に吐き気や、食欲不振等の消化器症状に適応します。辛味で、温服が効果的です。そのほかの効果についても見ていきましょう。
更年期の抑うつなどに
茯苓飲合半夏厚朴湯は、更年期の抑うつ気分などの神経症状にも応用されます。体力がない冷え症タイプで、喉のつかえや異物感、動悸、めまいを感じる場合に適しています、
自律神経失調症にも
茯苓飲合半夏厚朴湯は、気(生命エネルギー)の巡りをよくする枳実(きじつ)が含まれており、不安感のある自律神経失調症に適しています。
茯苓飲合半夏厚朴湯の副作用について
漢方薬は、西洋薬よりも副作用リスクが低いといわれます。しかし、副作用が起こらないというわけではありません。茯苓飲合半夏厚朴湯を服用した場合の副作用としては、発疹や蕁麻疹などが報告されています。
もし茯苓飲合半夏厚朴湯の服用後に異常を感じた場合は、なるべく早いうちに医師や薬剤師に相談してください。
茯苓飲合半夏厚朴湯を構成する生薬
茯苓飲合半夏厚朴湯は、身体に不要な水分を取り去る茯苓(ぶくりょう)や白朮(びゃくじゅつ)、免疫力や新陳代謝を高める人参(にんじん)、咳や痰、吐き気を抑える半夏(はんげ)や厚朴(こうぼく)や蘇葉(そよう)、胃の機能を高める陳皮(ちんぴ)や枳実、生姜(しょうきょう)といった、9種類の生薬で構成されています。
茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう)はお腹がポチャポチャし、浮腫みがあるときによく使われます。
茯苓飲合半夏厚朴湯が適応となる病名・病態
保険適応病名・病態
効能または効果
気分がふさいで、咽喉、食道部に異物感があり、時に動悸、めまい、嘔気、胸やけなどがあり、尿量の減少するものの次の諸症:不安神経症、神経性胃炎、つわり、溜飲、胃炎。
漢方的適応病態
1)胃の痰飲で悪心、嘔吐あるいは咽中炙臠があるもの。
すなわち、上腹部がつかえて苦しい、膨満感、胃部の振水音、ときに水様物の吐出などの症候があり、咽のつかえ感を伴うもの。
2)脾気虚の痰飲で悪心、嘔吐あるいは咽中炙臠があるもの。
すなわち、食欲不振、疲れやすい、元気がない、食べると腹が脹るなどの脾気虚の症候に、上腹部膨満感、胃部振水音、尿量減少、呑酸、嘔吐などの痰飲の症候があって、咽のつかえ感を伴うもの。
茯苓飲合半夏厚朴湯の組成や効能について
組成
茯苓5 白朮4 人参3 枳実1.5 陳皮3 生姜1 半夏6 厚朴4 蘇葉2
効能
健脾利水・理氣化痰
主治
脾虚水停・気滞痰鬱
解説
「茯苓飲合半夏厚朴湯」は「茯苓飲」に「半夏厚朴湯」を合わせた処方です。
「茯苓飲」は脾胃の虚弱を補益しながら、痰飲を取り除きます。
「半夏厚朴湯」は理気化痰作用によって、痰気鬱結(痰と気が一緒に入りまじる)の病証を治療します。
「茯苓飲合半夏厚朴湯」は脾虚と痰気内停による神経性胃炎、鬱症、眩暈、吐き気などの疾患に用いられます。
「茯苓飲」にさらに理気、化痰作用が強化されているので、虚より実の病証に傾くときを働目目標とします。
臨床応用
◇胃炎
健脾、利水理気作開があるので、脾虛による食欲不振淡舌痰飲停滞による悪心、嘔吐、苔白滑と気滞による胃部蹦の症状に用います。
症状のすべてが揃わなくても用いることができます。
舌紅、苔黄、口渇など、熱症状がみられるときには用いてはいけません。
◇鬱症
疏肝解鬱の効能はありませんが、理気化痰の作用が優れているので、脾胃に停滞する痰気を軽快できます。
鬱症から生じた胃腸症状(ゲップ、悪心、胃満、食欲不振)を緩和させます。
◎イライラ、両脇脹満など肝気鬱結の症状があるとき+「逍遥散」(疏肝解鬱)