当帰飲子の効果とは? かゆみ改善に役立つ漢方薬とセルフケア

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かゆみの改善によく使われる「当帰飲子(トウキインシ)」をはじめとする効果的な漢方薬を紹介します。また、かゆみが発生しやすい部分を部位別にわけ、それぞれの原因と対処法について解説します。

当帰飲子とは

当帰飲子は、血液を補強する四物湯と、皮膚の止痒作用をもつ防風・蒺藜子、皮膚の赤みを取る荊芥、皮膚を丈夫にする黄耆、からだの潤いを保持する何首烏、消化器を保護する甘草で構成されます。

「血(血液)」が足りず皮膚に栄養が行きわたらずに乾燥した状態、分泌物の少ない慢性湿疹や、かゆみの症状に適した処方とされています。
補益薬が多く配合されているため、慢性の皮膚疾患やかゆみの強いカサカサした皮膚疾患(皮膚瘙痒症、蕁麻疹、乾癬、角化症、慢性、アトピー性皮膚炎など)に適しています。

皮膚の紅潮が強いときは「柴胡清肝湯」と、皮膚の掻痒が強いときは「消風散」と、老人性皮膚掻痒の場合は「六味地黄丸」と、というように他の漢方薬と組み合わせて使われることも多い漢方薬です。

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顔のかゆみに効果的な漢方

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顔は、目の周りなど皮膚の薄い部分が多いため乾燥しやすく、バリア機能が弱いため化粧品や紫外線、花粉などの影響を受けやすく、特にかゆみが生じやすい部分とされています。

肌表面に汚れや花粉などが付着していると、肌にとって刺激となりかゆみが誘発されるため、常に肌を清潔に保つことが重要です。

顔の皮膚のバリア機能を低下させないために、顔を擦るように洗うのではなく低刺激の洗顔料や石鹸をよく泡立てて、擦らず撫でるように洗顔するよう心がけましょう。
洗顔後は化粧水の後に保湿できる乳液やクリームをつけ、肌から水分を逃さないようしっかりケアしましょう。

顔のかゆみには、根本的な体質改善を行う漢方薬もオススメです。
乾燥が気になる場合は、「気(生命エネルギー)」と「血」を補って肌に潤いと栄養を与える作用のある「当帰飲子」や、炎症が強い場合には、身体にこもった「熱」を取る作用のある「黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)」などが効果的です。

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唇のかゆみに効果的な漢方

唇の皮膚は非常に薄く、特に乾燥しやすい部位とされています。加えて飲食や唾液など外部からの刺激に晒されることも多く、かゆみが生じやすい場所と言えます。

角質層の薄い唇は、日頃から保湿やUV対策を行ってケアすることが大切です。乾燥や皮むけを防ぐため、ワセリンやUVカット効果のあるリップクリームで保湿したり、部屋の乾燥を防ぐために加湿を行うことも効果的です。

生活習慣を整えることも大切です。しっかり睡眠をとってストレスや疲労を溜め込まないようにしましょう。
また、健全な皮膚を維持するために必要な乳製品に含まれるビタミンB2、豚肉、レバーなどに含まれるビタミンB6なども積極的に摂取するよう心がけましょう。

唇のかゆみの改善には漢方薬も効果的です。
唇や口角の炎症がある場合、体内の余分な「熱」を冷ます「黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)」や、乾燥が気になる場合、「気」と「血」を補い肌に栄養や潤いを与える「当帰飲子」などがオススメです。

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まぶたのかゆみに効果的な漢方

まぶたは特に皮膚が薄くデリケートな部分です。乾燥によるかゆみでまぶたを擦ると、皮膚バリアがわずか0.02mmと薄いためすぐに壊れてしまいます。

洗顔の際には泡をできるだけふんわり泡立てて擦らないよう洗顔を行いましょう。
そして洗顔後はすぐクリームやローションなどの保湿剤で水分を逃さないようケアしましょう。

まぶたのかゆみ改善には漢方薬も効果的です。
乾燥してかゆみを起こしている方には「気」と「血」を補って肌に栄養と潤いを与える作用のある「当帰飲子」、炎症を伴う強いかゆみがある方には、体内から余分な「熱」を引かせて毒素を排出し、かゆみを抑える作用のある「消風散(ショウフウサン)」などがオススメです。

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手のかゆみに効果的な漢方

手の平には皮脂を分泌する皮脂腺がなく、皮膚表面の角質層の厚みで手を守っています。
そのためさまざまな摩擦や刺激によりバリア機能が低下すると、乾燥や炎症、ひび割れを起こしてかゆみを生じやすくなります。

女性に多いのは水仕事による洗剤かぶれや、手荒れが起こる手湿疹です。水仕事を行う際は、洗剤を低刺激のものに変更し、手袋で手を守って作業するようにしましょう。
皮膚のバリア機能を正常に回復させるためにも、こまめに十分な量の保湿剤を塗るとよいでしょう。

炎症が悪化してかゆみがひどくなった場合は、ステロイド入りの軟膏薬を使用して、早めに炎症を落ち着かせるようにしましょう。

手のかゆみには漢方薬もオススメです。
強いかゆみや炎症がある場合、「熱」を引かせて毒素を排出して炎症を鎮める「消風散(ショウフウサン)」や、「気」や「血」を補い肌に栄養と潤いを与える「当帰飲子」などが効果的です。

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お尻のかゆみに効果的な漢方

お尻には毛穴が多く、毛穴詰まりや毛包に細菌が繁殖して炎症を起こしてかゆみが生じるなど皮膚トラブルが多い箇所です。

お尻を清潔に保つため、入浴の際は丁寧に洗うことが大切ですが、ゴシゴシ擦らずに洗い、しっかりと水分を拭き取るようにしましょう。
必要以上に洗いすぎず、入浴後には乾燥を防ぐためボディクリームや保湿剤でケアするよう習慣づけましょう。

水分が残っていると蒸れやすく細菌の繁殖や乾燥の原因になります。
清潔に保とうとしすぎるあまり温水便座洗浄で何度も洗ったり拭きすぎることは、必要な油分を奪ってバリア機能の低下を招き、さらなるかゆみの悪化につながることがあるため注意が必要です。

お尻のかゆみ改善には漢方薬も効果的です。
かゆみが強く、患部が熱を持っている場合は、体内の「熱」を発散させて炎症を鎮める「消風散(ショウフウサン)」、乾燥によるかゆみが気になる場合は「気」や「血」を補って肌に栄養や潤いを与える「当帰飲子」などがオススメです。

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フケをともなう頭皮のかゆみに効果的な漢方

フケを伴うかゆみには2種類あります。

一つは頭皮の乾燥による「乾性フケ」。この場合は体内に栄養を運ぶ「血」の不足が考えられます。日頃から鉄分を多く含むものを積極的に摂取するよう心がけましょう。

もう一つは「脂性フケ」。頭に整髪料や皮脂が残ったままになることで、皮脂を栄養とする菌が繁殖し、脂漏性皮膚炎を発症しやすい状態をいいます。

この場合、頭皮の汚れやすすぎ残しをなくすよう、シャンプーの方法を見直してみましょう。
まずお湯だけである程度地肌汚れを落とし、肌に優しいアミノ酸系のシャンプーを使って指の腹で優しくマッサージするように洗います。最後にすすぎ残しのないようしっかり洗い流しましょう。

フケを伴う頭皮のかゆみには漢方薬もオススメです。
「血」の巡りを改善して毒素を排出する作用のある「消風散(ショウフウサン)」や、「血」や「気」を補い皮膚に栄養と潤いを与える「当帰飲子」などが効果的です。

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まとめ

かゆみを部位別に分けて、それぞれの原因と対処法、効果的な漢方薬について紹介してきました。かゆみの症状にお悩みの方は、今回の記事をつらい症状の改善に役立ててください。

また、こうしたかゆみの症状に漢方薬が効果を発揮したケースもあります。セルフケアを試してみてもなかなか症状が改善しない場合は、お近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

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