胆石と結石・尿路結石の違い、できる場所と種類の違い

お悩み

痛みを自覚する病気はさまざまありますが、そのなかでも結石による疼痛症状はもっとも劇的であるといわれています。

結石を発症すると七転八倒するような苦しみや痛みを覚え、急いで救急車を呼ぶことも往々にしてあります。

ここでは結石並びに胆石について解説します。

結石と胆石の違い

「結石」と「胆石」はよく似た言葉です。厳密にはどのような違いがあるのでしょうか。

結石とは

結石とは、主に腎臓などの臓器に形成されるシュウ酸カルシウム、あるいはリン酸カルシウムなどの結晶のことです。

これらの結晶成分は、多くは腎臓、尿管、膀胱、尿道といった尿の通り道となる尿路系組織に形成されるため、医学的に「尿路結石」と呼称しています。

腎臓レベルに結石成分が存在する場合には、患者さんはほとんど痛みを自覚しませんが、その結晶結石が腎臓から尿管へと移動することによって急激に激痛を覚えるといわれています。

痛み症状は、結石が尿管に詰まることで尿管内圧が上昇すると共に尿管組織がけいれん様変化を引き起こして、痛みを司る神経を刺激するために発現すると考えられています。

同時に、尿そのものが結石の存在によって順調に排尿されなくなるため、排尿した後も残尿感を自覚する、もしくは尿意を感じても思うとおりに尿が出ないといった排尿障害につながります。結石が尿管壁を傷つけて血尿が認められることもあります。

結石はすぐに命に直結する病気ではありませんが、激痛や排尿障害によって仕事や日常生活に支障をきたす心配のある病気です。

胆石とは

食事中に摂取する脂肪成分の分解を担っている胆汁という消化液は基本的に肝臓で合成されており、これらの胆汁を肝臓から十二指腸に運ぶ管構造を胆管と呼んでいます。

そして、胆管の途中で枝分かれする形で「胆のう」という袋状の臓器があり、この胆のうは一時的に胆汁を貯留しておき、油の多い食事を摂った際などには収縮して貯めておいた胆汁を十二指腸に排出する機能を有しています。

胆石とは、そのような胆のうや胆管、あるいは肝臓領域に結石ができたものを指しています。

この疾患に伴って、胆石発作や胆嚢炎と呼ばれる突然の激しい痛みや黄疸、発熱などの症状を呈することがあります。

胆汁成分は、コレステロール、レシチン、胆汁酸、ビリルビンなどから構成されており、これらのバランスが保たれていることで普段は液体の状態になっていますが、胆石症の場合はこれらの構成バランスが崩れることで発症します。

また、胆石を起こしやすい要素として「5F」が知られています。つまり、40代(Forty)、女性(Female)、肥満(Fatty)、白色人種(Fair)、多産婦(Fecurd)の5項目です。

この他にも、妊娠や急なダイエットなども胆石症を起こしやすくするといわれていますし、胆石症はもともとの体質以外に普段から食物繊維やタンパク質が少なく脂質や糖質が多い食事を取り過ぎることで発症しやすいと考えられています。

胆石(結石)の種類と、できる場所

結石は、できる場所の違いによって次のような種類があります。

肝内結石

胆石の中には、肝内結石という種類の胆石もあって、いわゆる肝臓内に結石を生じたものを指しており、比較的珍しいタイプになります。

肝内結石は、肝臓内に走行している胆管部位に結石ができ、形成される結石の種類としてはビリルビン結石から由来する種類が多いといわれています。

胆管は胆汁という脂肪成分を分解する消化酵素の通り道で、通常では肝臓内で産生された胆汁が胆管内部を流れて十二指腸に排出されますが、この肝内胆管部に結石が生成されることで、肝臓領域でも胆汁が停滞して多彩な症状が起こります。

胆のう結石

胆のう結石は、いわゆる胆のう内部に結石ができたものであり、胆石症のなかでも最も多くの罹患率を占めます。

胆のう結石のほとんどは無症状とされていますが、なかには胆石発作に伴う痛みや急性胆のう炎を合併して腹痛や発熱を引き起こすことがあります。

胆のうは胆汁を貯める機能を有している臓器です。食べ物が消化管に到達すると胆のうが収縮して胆汁を絞り出しますが、油の多い食事を摂取した際により強く胆のうが収縮する結果、胆のうの出口部に結石が詰まって嵌頓し胆石発作を発症します。

また、胆のう結石が存在することによって慢性的に胆のう内の胆汁の流れが滞って、細菌感染を合併すれば胆のう炎を発症する恐れがあります。

胆管結石

結石成分が胆嚢内部や肝臓内ではなく胆管に存在する種類を胆管結石と呼んでいます。

肝内結石や胆のう結石とは異なって、胆管結石は非常に多種多様な症状を引き起こして状態が重篤化することが多いと考えられています。

胆管内部で胆汁の流れを胆管結石がせき止めてしまうことで細菌感染を起こしやすい環境を作り、胆管炎を発症するのです。

胆管結石の多くはビリルビンカルシウムという種類で構成されていますが、これは細菌感染によって作成されやすい物質です。

胆管炎は短時間で生命に直結する重症な状態となることも多く、緊急でのドレナージ治療を必要とすることもあります。

胆石のタイプの違い

結石と胆石は良く似ていますが、その意味するところは異なります。胆石は、いくつもある結石の内のひとつです。

胆石のタイプにはコレステロール胆石と色素胆石があります。

コレステロール胆石

普段から脂質の多い食事を続けていると、胆汁中におけるコレステロールの割合が増加し、次第に溶けきれなくなって結石成分となったものが「コレステロール結石」です。

このコレステロール結石は、胆石症のなかの大半を占めており、加齢にしたがってその発症率は高まる傾向があります。コレステロール結石は特に中年以降の肥満体形の女性に発症しやすいといわれています。

色素胆石

コレステロール結石以外の胆石としては、色素胆石と呼ばれる黒色石とビリルビンカルシウム石があり、それぞれのタイプが胆石症全体のおよそ20%を占めています。

特に、赤血球の中のヘモグロビン成分が血管外に出る溶血反応や肝障害が原因となって黒色石と呼ばれるタイプの色素結石をつくることがあり、ビリルビンが主な成分として含まれています。

こうしたことから黒色石は、血液疾患関連でビリルビンが高値となる病気や肝硬変、心臓の弁置換術後などで胆嚢内に形成されることが多く認められます。

一方で、ビリルビンカルシウム石は、一般的に胆汁の流れが悪くなり大腸菌を始めとする腸内細菌による感染を発症することに反応して形成される石と考えられているので、この結石の場合には通常胆嚢内部ではなく胆管部位に認められやすいことになります。

胆石と尿路結石の違い

腎臓で作られた尿が通る道は、尿路とよばれていています。尿路には、腎臓、尿管、膀胱、尿道が含まれ、尿路のどこかにミネラルや有機物を含む結石ができる病気を尿路結石といいます。

尿路結石になりやすい年齢は、日本人の男性では40歳代、女性では50歳代が多く、結石のできた場所が腎臓や尿管の場合には上部尿路結石、膀胱や尿道の場合には下部尿路結石と呼び、日本人では尿路結石のうち95%以上が上部尿路結石です。

典型的な症状は結石の大きさや結石ができた場所によってさまざまですが、背中やわき腹の痛み、吐き気、血尿、頻尿などがよく起こります。

血尿、腹痛が代表的であり、腹痛も腎臓や尿管の走行にそって、左右のわき腹から下腹部に生じます。

結石ができるメカニズムの違い

肝臓では、脂肪やタンパク質の消化を助ける胆汁が絶えず作られており、胆汁は肝臓の下に位置する胆のうにいったん蓄えられて濃縮されます。

一般的に、食べ物が胃から十二指腸へと移動してくると、胆のうは収縮を開始して蓄えてある胆汁を十二指腸へ送り出しますが、この胆汁の成分が、その通り道で何らかの原因によって固まってしまったものが胆石です。

胆石の患者さんは近年、増加しており、その発症原因としては、食生活が欧米化して脂肪の摂取量が増えて、胆石の成分となるコレステロールも増大したことが考えられています。

成分による分類で、コレステロール胆石と呼ばれるタイプは、主に黄白色の球形で、普通は1㎝ほどですが3~4㎝の大きいものも見られます。

一方で、ビリルビン胆石は、胆汁色素のビリルビンがカルシウムとともに固まったもので、茶色、または黒っぽい色をしていることが多く、胆汁の流れが悪く、胆道に細菌感染があるとできやすくなります。

胆石も尿路結石も腹痛をおこしますが、胆石は胆汁(肝臓でつくられます)からできて、尿路結石は尿から形成されます。

尿路結石の主成分は、シュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムであり、時に尿酸も成分となります。

胆石と尿路結石はどっちが痛い?

痛みを伴う病気はいろいろありますが、胆石や尿管結石に伴う痛みは、激痛といわれています。

その中でも尿管結石は昔から、「七転八倒の苦しみ」と表現されるほどであり、夜間や早朝に起きることが多く、通常、3~4時間持続します。

尿路結石が小さい場合には、無症状のこともありますが、結石によって尿の流れる道が閉塞すると背中やわき腹、下腹部に痛みが起きて、痛みの強さに波があるのが特徴的です。尿路結石の刺激で血尿が起きることもあります。

心配であれば、尿路結石の場合には泌尿器科、胆石の場合には消化器内科など専門医療機関を受診して相談しましょう。

尿路結石症の治療

尿路結石症の治療法に関しては、小さな病変であれば自然に尿とともに排石するのを待ちますが、排石されないものはしばしば積極的な治療が必要となります。

一昔前はお腹を大きく切開する手術が主流でしたが、1982年に当時の西ドイツで体外衝撃波砕石術(ESWL)がはじめて行われて以来、ESWLが治療の第一選択となりました。

ESWLとは、衝撃波を出す装置を結石付近の体表にあてて、そこから出る衝撃波を結石だけに集中させる治療法です。結石の大きさや位置によっては、背中に開けた小さな穴や尿の出口から内視鏡で石を取り出す手術が優先されることもあります。

まとめ

胆石とはどのような病気なのか、そして胆石と結石との違いや胆石の種類を中心に解説してきました。

胆石症は、形成される部位によって3種類に分類されています。一つ目は胆のう内にできる胆のう結石、二つ目は胆汁が通る胆管に作成される総胆管結石、そして三つ目は肝臓内胆管にできる肝内結石があり、これらのうちで最も多く認められるのは胆のう結石です。

胆石を構成している成分としては、コレステロール、あるいは赤血球が破壊されるときに合成されるビリルビン、そしてカルシウム物質などさまざまな種類が挙げられます。

今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。

甲斐沼孟

産業医 甲斐沼孟医師。大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センター、大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センター、大阪大学医学部付属病院、国家公務員共済組合連合会大手前病院を経て、令和5年4月よりTOTO関西支社健康管理室室長。消化器外科や心臓血管外科領域、地域における救急診療に関する幅広い修練経験を持ち、学会発表や論文執筆など学術活動にも積極的に取り組む。 日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医・指導医、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医、大阪府知事認定難病指定医、大阪府医師会指定学校医、厚生労働省認定臨床研修指導医、日本職業・災害医学会認定労災補償指導医ほか。 「さまざまな病気や健康課題に関する悩みに対して、これまで培ってきた豊富な経験と専門知識を活かして貢献できれば幸いです」

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