ストレートネックの重症度による症状の違いと予防方法

左肩が痛む女性
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長時間スマホの画面を見ているとストレートネックになりやすいと言われています。ストレートネックの症状は肩や首のコリから始まり、悪化すると眼の疲れや頭痛などにつながることもあります。ここではストレートネックの重症度による症状の違いや、予防方法について解説します。

ストレートネックとは

背骨は4つのカーブで構成されています。頸椎では前方に凸、胸椎では後方に凸、腰椎では前方に凸、骨盤部では後方に凸になっています。

これは、人の身体の中で最も重い頭を支えるための構造です。もし脊椎がまっすぐであったら、背骨に大きな負担がかかり、またバランスを取ることも難しくなってしまいます。脊椎はカーブを持つことでうまくバランスを取れるようになっています。

しかし、スマホやパソコンを長時間使用するなど、うつむく姿勢を長時間続けたときには筋肉が働き続け、頸椎のカーブをゆがめてしまいます。少しずつゆがみが出てきて、最終的には前方に凸のカーブがなくなってしまい、まっすぐ並んでしまうことがあるのです。これがストレートネックです。

ストレートネックでは首の筋肉が張ることによって頸椎が引っ張られ、骨がまっすぐな状態となってしまいます。

ストレートネックの重症度による症状の違い

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ストレートネックになるとどのような症状が出てくるのか、重症度ごとにわけて見ていきましょう。

ストレートネックの重症度は、頸椎がどれだけゆがんでいるのかという他覚的所見による重症度分類と、症状によって分類する重症度分類の2つの見方があります。

他覚的所見による重症度分類は、まっすぐ立ったときに判断します。横から立った人を見ると、耳たぶ、肩、骨盤、膝、くるぶしがまっすぐ一直線にそろっているのが理想的な体勢と言えます。

しかし、ストレートネックであると、この直線から耳が前方に移動しています。軽症であれば指1~2本分程度しか移動していないのですが、それ以上移動していると中等症から重症と判断されます。

では、それぞれでどのような症状が出てくるのでしょうか。症状毎の重症度分類で症状の内容を見ていきましょう。

軽度の症状

ストレートネックが軽症の時に出てくる症状は、肩こりや首のこり、背中や腰のこりといった、筋肉系のこりの症状が出てきます。

ゆがんだ頸椎の状態を支えようとして身体の様々な筋肉が突っ張りますから、それによって筋肉に負担がかかってくるのです。この筋肉の負担がこりといった症状として現れてくるのです。

中等度~重症の症状

中等度から重症となってしまうと、筋肉だけの問題ではなくなってきます。

特に出てくる症状は眼の疲れ、頭痛といった疲労のような症状です。それに加えて吐き気やめまい、手足の冷え、慢性的なだるさといった症状が出てくるのも特徴です。

ストレートネックは身体を支える筋肉の疲労が起こってきますから、それによって身体を支える様々な機能も疲弊してくるため、このような症状が出てくるのです。症状が進行すると、血管や神経を圧迫したり、自律神経系にも悪影響を及ぼすことで、腕や手のしびれ、めまいや倦怠感といった強い症状になることもあります。

背中を壁に当てたときにどう頑張っても後頭部が壁につかないような場合には強いストレートネックの状態と言えますので、このような症状が出てくることが多くなります。

ストレートネックの予防方法

こんなストレートネックにならないためにはどのようにすれば良いのでしょうか。予防方法を確認しておきましょう。

スマホの長時間使用に注意する

ストレートネックになる原因は、首の筋肉が収縮して引っ張ることで首の骨のカーブが消えることでした。ですので、首の筋肉への負担を減らすことが重要になります。

スマホを使用している場合にはスマホを顔よりも下の位置でもって、首を曲げて長時間操作をしているという場合が多い傾向にあります。

この状態だと、下を向いた首を支えようと首の周りの筋肉が収縮し続けますから、首に強い力がかかり続ける事になります。

できる事ならば、スマホを使用する時にはスマホを目線の高さまで持ってきて見るというのがおすすめです。

しかし、それでも、腕を曲げて操作しなければなりませんし、長時間見ることで眼に負担がかかってきます。どうしても首に力がかかってしまいますから、長時間の使用はどのような姿勢であれ避けた方がよいでしょう。

同じ姿勢を続けないようにする

スマホに限らず、同じ姿勢をずっと続ける事は首への負担を高めます。特にデスクワークの場合には椅子や机の高さがあっていない場合や、床に座ってパソコンを使用している場合などは、首だけではなく脊椎全体に強い負担を強いることになります。

脊椎は全体が繋がっていますから、腰に力がかかると首にも負担がかかり続けます。さらにその状態でパソコンなどの作業を続けると肩に力が入り、やはり首への負担が強くなってしまうのです。

特に前のめりになったり、背もたれに持たれたりしながら作業をしている場合には重い首を支える頸椎が前後に振られてしまい、余計に力がかかってしまいます。この姿勢をずっと続ける事で、首を支え続けるために首や肩の筋肉にこりがたまってきてストレートネックがひどくなってしまいます。

同じ姿勢を長時間続けないように気をつけましょう。

ストレッチを取り入れる

同じ姿勢を続けたり、長時間スマホを使用したりしたときには、適度なタイミングでストレッチを取り入れて筋肉をほぐしましょう。

首回りの筋肉を伸ばすわけですから、手で頭を左右に引っ張って首を倒してあげるような動作が効果的です。このとき逆側の手はしっかりと脇を締めましょう。脇を締めることによって肩が無理に上がってしまうのを防ぎます

このほか、手を回したり肩を回したりと言った一般的なストレッチを行う事も効果的です。また、同じ姿勢を続けて腰も痛いという場合には腰を動かして腰の筋肉をほぐしてあげることも効果的でしょう。

可能であれば全身運動をこまめに行うことも効果的です。例えばプールで水中歩行を行えば脂肪燃焼にも良く、身体全体に丁度良い負担となり、筋肉をうまく収縮・弛緩させてコリをほぐすことができます。

ストレートネックにならない姿勢を心がけた上で、ストレッチや運動を取り入れてストレートネックを予防するようにしましょう。

郷正憲

徳島赤十字病院 麻酔科 郷正憲 医師 麻酔の中でも特に術後鎮痛を専門とし臨床研究を行う。医学教育に取り組み、一環として心肺蘇生の講習会のインストラクターからディレクターまで経験を積む。 麻酔科標榜医、日本麻酔科学会麻酔科専門医、日本周術期経食道心エコー認定委員会認定試験合格、日本救急医学会ICLSコースディレクター。 本名および「あねふろ」の名前でAmazon Kindleにて電子書籍を出版。COVID-19感染症に関する情報発信などを行う。 「医療に関する情報を多くの方に知っていただきたいと思い、執筆活動を始めました」

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