休日に頭が痛いのは週末頭痛かも?原因や予防法・改善方法を紹介

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休日や週末になると頭が痛くなるということはありませんか?

頭が痛くて起き上がれず、せっかく予定していた休日の予定もキャンセルしなくてはいけない……。原因は「週末頭痛」と呼ばれるものかもしれません。ここでは週末に起こる片頭痛について詳しく見ていきましょう。

週末に頭痛が起こる原因

週末に頭痛が起こる原因としては、さまざまありますが、休日ならではの生活リズムや心の変化が関係してきます。

ストレスからの解放

平日は、仕事の忙しさや人間関係のストレスで心身ともに緊張状態となっています。週末になることで、やっとこの緊張状態から解放されるということで心がホッとします。このストレスからの解放が原因のひとつとなります。

ストレスから解放されるのになぜ?と思う人も多いでしょうが、強いストレス状態ではセロトニンの分泌が増加し、血管が収縮します。

反対に、リラックス状態になるとセロトニンが減少し、血管は弛緩します。平日の緊張状態から週末のリラックス状態へと変化することで、多量に分泌されていたセロトニンが急激に減少し、それに伴って血管が拡張します。急激な血管拡張が、脳血管の周りに存在する三叉神経を刺激して頭痛が生じるのです。

睡眠サイクルの乱れ

週末は朝早く起きる必要はありません。そのため、前日に夜更かしをしてしまったり、日頃の疲れを取ろうと昼過ぎまで寝たりなど、休日の寝溜めや睡眠リズムの乱れも頭痛の原因の一つとなります。

寝ている間は副交感神経が活発になり、リラックス状態となります。副交感神経は、血管を拡張させる働きがありますが、長時間寝続けることで血流量が増加してしまうのです。睡眠時間が長くなるほど血管の弛緩状態も長く続きます。そのため、目が覚めた時の反動が大きくなり、急激な血流の変化で三叉神経が刺激され、頭痛を引き起こすことがあります。

これは睡眠時間が短いときにも同様のことがいえ、睡眠時間が短いと交感神経が優位な状態になります。血管が収縮し、脳に届く血流量が少なくなります。すると、頭が締め付けられるような頭痛や、頭が重く感じる頭重感が生じます。

低血糖

週末になると生活リズムが崩れてしまい、食事の時間が遅れることがあります。空腹で低血糖状態になると血管が拡張するため、その結果頭痛が生じることがあります。

症状には個人差があり、初期の場合は異常な空腹感や冷汗、動悸、吐き気などの体調不良が生じます。このような場合は、空腹を満たし安静にすることで改善します。

カフェインの離脱症状

平日にコーヒーや紅茶など、カフェインを含む飲み物をたくさん飲んでいる人もたくさんいるかと思います。このようにカフェインを常用していると、カフェインが体にあることが普通になってしまい、カフェインが切れたときに脳血管が拡張してしまいます。脳血管の拡張によって頭痛が起きてしまいます。

食べ物・飲み物の影響

週末にお酒を飲む人も多いでしょう。いつも飲んでいる人でも週末は飲酒量が増える人も多いのではないのでしょうか。

アルコールは肝臓で分解されます。このとき、アルコールを分解する過程でアセトアルデヒドと呼ばれる毒性物質を作り出します。通常は酢酸と呼ばれる無害な物質に分解され、汗や尿として排出されますが、一度過剰に摂取すると、多量のアセトアルデヒドが作られるため、上手に処理することができなくなります。これが原因となり、頭痛や吐き気などの体調不良を引き起こしてしまいます。

週末頭痛の予防法

週末頭痛を予防する方法を紹介します。

平日と同じように過ごす

休日だからといって特別な行動をしてしまうと、生活リズムが崩れて頭痛の原因となります。平日と同じように過度な朝寝坊などせずに起きましょう。そうすることで血管の急激な拡張を防ぐことができます。

また、寝るときも夜更かしをしないようにいつも通りの時間に寝るようにしましょう。生活リズムを変えないようにすることで頭痛の予防になります。

前日にアルコールを摂りすぎない

週末は飲み会や自宅での飲酒なども多いことでしょう。飲酒は特に悪いことではありません。しかし、過度なアルコールを摂取することで、血管拡張作用が強くなります。

さらにおつまみとして、よく食べられるスナック菓子やチーズ、チョコレート、ウインナーやサラミなどに含まれる成分によって頭痛につながることもあります。お酒を飲む際は飲みすぎないよう気をつけましょう。

マグネシウムを摂取する

マグネシウムには脳の血管の拡張や収縮を抑える作用があり、片頭痛を予防する効果があります。マグネシウムをたくさん含んでいる食材には、わかめ、ひじき、スイカ、ごまなどが挙げられます。

ビタミンB2を摂取する

ビタミンB2には片頭痛を予防する働きがあり、摂取することで頭痛の頻度や疼痛の程度が減少します。ビタミンB2がたくさん含まれる食材には、レバー、牛乳、ヨーグルト、卵、納豆、うなぎなどが挙げられます。

片頭痛が起きてしまったときの改善方法

片頭痛が起きてしまったときは、次に紹介する方法によって症状を軽減できることがあります。

痛むところを冷やす

ズキンズキンと痛む片頭痛が起きてしまった場合は、氷やアイスノンなどで頭を冷やしましょう。冷却することで拡張した血管を収縮することができ、頭痛を抑えることができます。冷やす場所としてはこめかみなど実際にズキンズキンと痛んでいるところを冷やすのが効果的です。

静かな暗いところで休む

片頭痛になると、普段は気にならないような小さな音や光、匂いなどに敏感に反応するようになり、症状も悪化してしまいます。そのため、偏頭痛を起こしたときは、ひどくならないように暗くて静かな場所で安静にしておくことが大切です。

また、片頭痛は前兆が現れることがあります。チカチカと目の前でフラッシュのように光ったり、視野の一部が見えにくくなったり(閃輝性暗点)という状態が30分くらい続いた後で、頭痛が起こります。前兆に気づいた段階で静かな場所で安静にしておくことでひどい頭痛を事前に抑えることができます。

カフェインをとる

コーヒーや紅茶などに含まれているカフェインは血管を収縮させます。普段カフェインを摂っている人は特に、休日にカフェインが切れることで血管が拡張していまいます。休日にもカフェインを摂取することで、血管が収縮し、片頭痛を抑えてくれることがあります。

頭痛薬を飲む

頭痛で悩まされている人の大半が頭痛薬や鎮痛薬を常備しているのではないでしょうか。激しい頭痛を抑えるのに即効性があるのが鎮痛薬や頭痛薬です。頭痛が起こり始めたタイミングで服用することで激しい痛みを事前に抑えることができます。

しかし、頻繁に頭痛が起こる場合は、薬の飲み過ぎに注意する必要があります。薬を服用し続けることで体が薬に慣れてしまい、より強い薬でないと効果がなくなってしまいます。

さらに、服用し続けることで薬の使用過多による薬剤性の頭痛になってしまう場合もあります。鎮痛薬のみに頼るのではなく、色々な予防法を取り入れるようにしましょう。

いかがでしたでしょうか。週末に限って頭が痛くなる人は、平日と同じような生活リズムで過ごすようにしましょう。そうすることで頭痛に悩まされることなく週末を快適に過ごすことにつながると思います。


<執筆・監修>

九州大学病院
脳神経外科 白水寛理 医師

九州大学大学院医学研究院脳神経外科にて脳神経学を研究、高血圧・頭痛・脳卒中など脳に関する疾患に精通。臨床の場でも高血圧、頭痛、脳卒中など脳に関する治療にあたる。

日本脳神経外科学会、日本脳卒中学会、日本小児神経学会、日本てんかん外科学会、日本脳神経血管内治療学会に所属。

白水寛理

九州大学病院 脳神経外科 医師   九州大学大学院医学研究院脳神経外科にて脳神経学を研究、高血圧・頭痛・脳卒中など脳に関する疾患に精通。臨床の場でも高血圧、頭痛、脳卒中など脳に関する治療にあたる。 日本脳神経外科学会、日本脳卒中学会、日本小児神経学会、日本てんかん外科学会、日本脳神経血管内治療学会に所属。

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