汗疹との違いは?首にできた汗かぶれの治し方とケア方法

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汗をかいたときに皮膚に皮疹ができたり、かゆみが出たりといった症状は非常によく見られるものです。原因やケア方法を知っていれば、症状の悪化を防ぐことができるでしょう。

ここではそんな汗のトラブルの中でも特に首にできる汗かぶれについて解説します。

汗かぶれと汗疹(あせも)との違い

汗による肌トラブルの中でも汗疹(あせも)は、皮疹が強くでてきて、かゆみも強いのが特徴です。

汗疹は汗をかきすぎることによって起こります。

もともと汗は汗腺という皮膚にある汗を分泌する穴から分泌されます。この穴は汗管という管が皮膚に開口したものです。

しかし汗をかきすぎると、汗によってこの汗管が詰まってしまい、逆に汗が排出されにくくなってしまうのです。

このようにして汗が排出されにくくなってしまうと、汗が肌の内側に貯留してしまいます。この汗が周りの組織を刺激することで炎症を起こし、さまざまな症状が起こってくるのが汗疹になります。

そのため、汗疹は赤いブツブツした発疹がたくさんできるという特徴があります。炎症を反映して、チクチクした痛みやかゆみ、熱っぽさをもちます。

一方で汗かぶれは、汗によって皮膚がふやけてしまうことによって起こります。

皮膚がふやけると皮膚のバリア機能が弱くなってしまいますから、そのような場所を衣類や他の皮膚で刺激することで皮膚がダメージを受けて皮疹を形成します。また、汗に含まれているアンモニアや塩分といった成分が肌を刺激することも原因になります。

汗かぶれはこのように、汗の広がりによって起こってきますから、病変は点の集まりではなく面が広がったような病変となるのです。

汗かぶれの原因

汗かぶれは、元々の体質に加えて生活環境が関わってくることで発症します。

肌が弱い人の場合

元々の体質としては、アトピー性皮膚炎や敏感肌など、肌が弱い人に起こりやすいという点がまずは重要となります。肌が刺激を受けることで汗かぶれは発症しますので、肌が弱ければそれだけ発症しやすくなります。

赤ちゃんの場合

また、汗の量が多いと皮膚はふやけやすくなりますので、汗腺が多く汗の量が多いとそれだけ汗かかぶれが起こりやすくなります。特に赤ちゃんの場合は成人より圧倒的に汗腺が多く、約8倍もあるといわれており、汗かぶれが起こりやすくなります。

生活習慣の影響

生活習慣としては、汗をかきやすい生活や、汗を適切に処理しない場合に起こりやすくなります。

例えばよく汗をかくような激しい運動を常に行っている場合です。

また、汗をかいても頻回に拭かないなど、汗を放置する場合も症状が起こりやすくなります。

皮膚が刺激を受けやすいような状態、すなわち皮膚が汚いまま放置されている場合もよりかぶれやすい状態といえますから、汗かぶれの発症や悪化につながります。

汗かぶれしやすい部位

汗かぶれが起こりやすいのは、簡単に言えば汗をかきやすく、乾きにくい場所でしょう。すなわち、首回りや脇、鼠径部などのよく皮膚と皮膚がこすれ合いやすい場所です。

特に首回りはその他の部分と異なり服によって汗が吸収されることが少ないため、汗が残りやすく、そのまま汗かぶれを作ってしまうことが多くなります。

特に赤ちゃんなど、自分で汗を拭き取れない場合などには適宜汗をふいて発症を予防することが必要です。

汗かぶれの治し方

汗かぶれを治すには、先ずは汗を適切に処理することが大切です。

汗かぶれが起きている皮膚は既に炎症が起こってダメージを受けていますから、この上にさらにダメージが加わると悪化してしまう可能性が高くなります。

汗の処理

汗かぶれが起こった場合には特に気をつけて汗を拭き取り、乾きやすいように環境を整えることが必要です。

もちろん、汗かぶれが現在起こっていなくても、春など今まで汗をあまりかかなかった季節からだんだんと汗をかきやすくなるような季節に変わっていくような頃は、汗の処理を適切にしなければなりません。

特に過去に汗かぶれをよく起こしていた人などはしっかりと汗を処理できるよう、早め早めに対処しましょう。

薬を使った治療

現在、皮膚が赤くなっている場合は炎症が起こっていますので、炎症を鎮める対策が必要です。

具体的には皮膚科などで処方される炎症を抑える薬(ステロイド薬など)で治療が行われます。特にかゆみが強いときなどは、加えてかゆみ止めの内服や塗り薬が使用されます。

合併症に注意

かゆみが強いまま放置してしまうと、強く頻回に皮膚をひっかくことで皮膚表面にある細菌が皮膚の深い層に入り込んでしまって、より強い炎症を起こす「とびひ」などのやっかいな皮膚病に移行してしまう場合があります。

これは汗かぶれに限らず、汗疹など汗のトラブルに共通する気をつけなければならない合併症です。

たかが汗かぶれと侮らず、症状が続くな、おかしいなと思った場合は皮膚科の診察を受けることをオススメします。

自分でできる汗かぶれのケア方法

汗かぶれのケアは、汗による皮膚に対するダメージを最小限にすることにつきます。

そのため、第一歩は汗をそのまま放置しないことが重要です。

小まめに汗を拭き取る

汗をかくような仕事をする場合や、外出して汗をかく場合など、とにかく汗をかくと予想される場合には必ずタオルを持参し、汗をかいたらその都度しっかりと汗を拭き取ることが必要となります。

通気性の良い服装を選ぶ

汗による肌への刺激を防ぐために、通気性の良い服装を選ぶようにしましょう。綿100%の生地を使ったものは吸湿性に優れ、肌触りも良いため肌に負担をかけにくく、おすすめです。

シャワーで汗を洗い流す

また、外出から帰ってきた後には全身をしっかりと拭き取ること、可能であればシャワーを浴びて汗を流すことが重要です。

シャワーは汗を流すだけではなく、体の表面についたほこりなど、肌に悪影響のあるものを洗い流し清潔に保つことができるため、可能なら頻回にシャワーを浴びるのが良いです。

シャワーの後はしっかり拭き取る

シャワーで汗を流した後も、きちんと拭き取らずにそのまま乾くのを待っていると皮膚の水分も失われてしまいますから、皮膚がダメージを受けやすい環境となってしまいます。シャワーを浴びてしっかりと汗を流し、さらにしっかりと拭き取ることが重要なのです。

また、肌を守るためのさまざまな肌ケアも汗かぶれを予防し、汗かぶれを悪化させないために必要となってきます。

特に赤ちゃんの場合は、前述の通り汗をかきやすい環境にありますから、しっかり拭き取っていてもすぐに汗が出てきて皮膚のダメージを起こしてしまう場合があります。ですから、肌のケアはしっかりとする必要があります。

肌を保湿する

具体的には、まず保湿剤の使用が推奨されます。特にベタつかず汗腺を塞ぐことがあまりないローションタイプがオススメです。保湿剤を使用することで肌の乾燥を避け、ダメージを受けにくい肌を維持します。

紫外線対策をする

また、紫外線は肌に炎症を起こしますから、汗かぶれが起こってダメージを受けている皮膚にさらにダメージを与えます。

汗をかかないために半袖にしたいところですが、かぶれやすい場所をカバーするような衣類を着用したり、日傘を使用したりするなどして、汗かぶれの部分に紫外線が当たらないようにしましょう。

また、服装自体も紫外線を防ぐだけではなく、汗を吸いやすく肌に優しいものを選ぶと良いでしょう。

かゆくてもかかない

汗かぶれがあるとかゆみがあるのが常です。かゆみがあるとつい掻きたくなりますが、掻かないようにすることが大事です。特に爪で掻くのは避けた方が良いです。

なぜ掻いてはいけないのでしょうか。かゆいからと言って爪でかきむしると、肌表面に傷をつけ、皮膚のバリア機能が低下してしまいます。皮膚のバリア機能が低下してしまうと、さらに外的刺激の影響を受けやすくなります。このような外的刺激を受けやすい状態は放置すると症状の悪化や長期化の原因になります。また、せっかく限局していたかゆみの部分が広がってしまいます。

かゆみがあるときには、患部を冷やすのが有効です。例えばぬれタオルで触れるとか、冷たいシャワーをかけるとか、保冷剤を入れたタオルを当てるなどの方法があります。皮膚を冷やすとかゆみの知覚神経の興奮が抑えられ、かゆみが緩和されます。

辛い食べ物・アルコールを避ける

肌トラブルがあるときには、かゆみを抑えるために体温を上げないようにすることがポイントとなります。体温を上昇させる行為はかゆみが増す原因となるため避けた方が良いでしょう。

食事の面では、辛い食べ物を食べたり、アルコールを飲んだりすると体温が上がります。特に辛い食べ物を食べると汗もよく出ますから、余計に肌トラブルの原因となってしまいます。

熱い湯で入浴しない

熱い風呂に入ることは、体温の上昇を来してかゆみを増す原因になります。ぬるめの湯にさっと入ることをおすすめします。シャワーを使用するのも良いでしょう。

入浴時に注意が必要なこととしてもう一つ挙げられるのが、体を洗うときにゴシゴシと強く洗わないことです。ゴシゴシ洗うことで肌が傷つき、かゆみの原因となります。皮膚を傷つけないようにすることが大切です。

郷正憲

徳島赤十字病院 麻酔科 郷正憲 医師 麻酔の中でも特に術後鎮痛を専門とし臨床研究を行う。医学教育に取り組み、一環として心肺蘇生の講習会のインストラクターからディレクターまで経験を積む。 麻酔科標榜医、日本麻酔科学会麻酔科専門医、日本周術期経食道心エコー認定委員会認定試験合格、日本救急医学会ICLSコースディレクター。 本名および「あねふろ」の名前でAmazon Kindleにて電子書籍を出版。COVID-19感染症に関する情報発信などを行う。 「医療に関する情報を多くの方に知っていただきたいと思い、執筆活動を始めました」

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