静電気体質ってどんな人?健康に影響はある?

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冬場になると静電気が怖くてドアノブや手すりなどに触れられないってことはありませんか?

「自分は静電気が起こりやすい体質だから」と思っている人も多いはずです。頻繁に静電気に見舞われるのは、体の変化の現れかもしれません。ここでは静電気の原因や対策について詳しく見ていきましょう。

静電気が起きるメカニズム

静電気とは、物質内にたまった電気のことです。人間の体も含めて、どんな物質にもすべてプラスとマイナスの電気を持っていて、通常はプラスとマイナスの電気量が釣り合った状態になっています。

しかし、着ている服が擦れたりなどの摩擦によって、プラスとマイナスのバランスが崩れてしまいます。この状態でたまった電気が静電気です。

体にたまった静電気は、通常日常生活の中で知らないうちに少しずつ放電されています。水は電気を通しやすいため、空気中の水分が多ければ多いほど放電が進みます。

そのため湿度の高い夏には、空気中の水分を通して静電気は自然と放電されます。しかし、冬は乾燥して空気中の水分が少ないため、静電気が放電されにくくなり、どんどん体にたまっていきます。

体に静電気がたまった状態で、金属製のドアノブなど電気が流れやすいものを触ると、体にたまっていた静電気がドアノブに向かって一気に流れます。この急激な放電よってバチッという痛みが生じるのです。

静電気は湿度20%以下、気温20℃以下になると発生しやすく、晩秋から春先にかけて特に注意が必要になってきます。

静電気体質の人とは?

静電気が生じやすい体質のことを帯電体質と呼びます。帯電とは電気を帯びている状態のことです。いくつかの原因によって自然放電がしにくい状態となり帯電体質となります。

生活習慣の影響

その原因は食生活や睡眠などの生活習慣によるものがほとんどです。糖質や脂質の過剰摂取、ジャンクフードに偏った食事などの食生活の乱れは、体の酸化を進行させてしまいます。また、寝不足などで体に負担がかかると、マイナスの電気が減り、プラスに傾いてバランスを崩してしまいます。

乾燥肌の影響

肌の水分量が少ない乾燥肌の人も帯電体質となります。皮膚の最も外側には、汗と皮脂が混ざり合ってできた皮脂膜という薄い膜があり、皮膚から水分が失われないように全身を覆っています。

細胞の間を埋めるセラミドという脂肪と皮脂膜によって、肌の水分量は保たれています。しかし、加齢などさまざまな理由で皮脂膜が少なくなると、肌の水分が蒸発しやすくなり、セラミドに蓄えられた水分も失われてしまいます。この状態が乾燥肌です。乾燥肌に静電気が起きると、かゆみが増す原因になります。

静電気体質だと健康に影響はある?

静電気は生活のあらゆる場面で発生しています。自然に発生する程度なら問題ありません。しかし、日常生活であまりにも静電気を感じる場合は注意が必要です。

静電気によって体内のバランスが崩れると、マイナス電気が減り、プラス電気が増えてしまいます。体が酸性化している状態であり、赤血球にプラス電気が増えて血液が滞るドロドロとした血液になってしまいます。

それにより免疫力低下や自律神経の乱れといった悪影響を及ぼします。また、体内の酸化状態を放っておくと成人疾患などの大病につながる恐れもあります。

また、帯電体質の人は空気中の埃を吸着する性質があり、飛び交う花粉や埃といったアレルギーの要因を引きつけやすくなるため、花粉症、アトピー性皮膚炎やハウスダストアレルギーの人はより注意が必要となります。

静電気で「バチッ」とならないための対策

静電気でバチッとならないためには、静電気を溜めにくい体質を目指すことが重要です。

静電気を溜めにくい体質にするためには、以下のような対策が有効となります。

部屋の加湿をする

空気中の水分が増えれば、静電気が生じても自然に放電しやすくなります。加湿器を使用したり、洗濯物を室内に干したり、部屋に水の入ったコップを置いたりして、部屋の加湿を心がけましょう。

肌の保湿をする

乾燥肌は静電気を溜めやすくなります。そのため、肌や髪の保湿をすれば、自然放電を促すことができます。ハンドクリームや保湿クリームを塗って、手や体の乾燥を防ぎましょう。特に、手足や首まわりなどの外気に触れやすい部分は念入りな保湿が必要となります。

洗いすぎない

清潔にしようとして毎日ごしごし体を洗ってしまうと、皮脂膜まで落としてしまうことになり、かえって肌の乾燥を招いてしまいます。汗をかきやすい部分や汚れやすい部分以外は、毎日石けんをつけて洗わなくても問題ありません。

シャワーで洗い流すだけでも汚れをじゅうぶん落とすことができます。また、石けんで洗う場合には、ナイロン製のタオルで擦るのではなく、手のひらを使って泡でやさしくなでるようにしましょう。

湯船の温度は40℃以下にする

熱いお湯につかると、皮膚を守っている皮脂膜やセラミドを溶かしてしまい、乾燥肌の原因になります。湯船の温度は40℃くらいまでを目安にしましょう。また、長時間お湯につかるのもやめましょう。

天然繊維の衣服を身につける

静電気には衣服の素材も大きく関係しています。綿やシルクなど、天然素材の組み合わせは静電気が発生しにくいのでおすすめです。洗濯の際に柔軟剤を用いると、繊維の摩擦が少なくなり静電気の発生を抑えられます。

水分を摂取する

水分不足も静電気をためる原因となります。水分補給をたっぷりと行うことも必要です。弱アルカリ性体質に欠かせない4大ミネラル(カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム)が含まれたミネラルウォーターを、1日に1.5〜2リットルを目安に、こまめに少しずつ飲むことで効率よく水分とミネラルを補給でき、電気がたまりにくい体にすることが期待できます。

いかがでしたでしょうか。静電気のバチッとした放電を感じたことがある人がほとんどだと思います。たまにバチッとなるくらいであれば問題ありませんが、頻度が多い人はここで紹介した方法を参考に、自身を帯電しにくい体質にして静電気対策を行いましょう。


<執筆・監修>

九州大学病院
脳神経外科 白水寛理 医師

九州大学大学院医学研究院脳神経外科にて脳神経学を研究、高血圧・頭痛・脳卒中など脳に関する疾患に精通。臨床の場でも高血圧、頭痛、脳卒中など脳に関する治療にあたる。
日本脳神経外科学会、日本脳卒中学会、日本小児神経学会、日本てんかん外科学会、日本脳神経血管内治療学会に所属。

白水寛理

九州大学病院 脳神経外科 医師   九州大学大学院医学研究院脳神経外科にて脳神経学を研究、高血圧・頭痛・脳卒中など脳に関する疾患に精通。臨床の場でも高血圧、頭痛、脳卒中など脳に関する治療にあたる。 日本脳神経外科学会、日本脳卒中学会、日本小児神経学会、日本てんかん外科学会、日本脳神経血管内治療学会に所属。

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