「頭がぼーっとする」「やる気が出ない」原因と改善方法

お悩み

「頭がぼーっとしてなかなか集中できない」「やる気が起きなくて作業がはかどらない」といった経験はありませんか?

どうしてこんなことが起きるのか疑問に思っている方もいらっしゃるでしょう。ここではこうした症状の原因と改善方法について見ていきましょう。

「頭がぼーっとする」「やる気が出ない」原因は?

頭がぼーっとする、やる気が出ないといった症状は、集中力や判断力が鈍っている時に出現します。これは、脳の働きが低下していることを指します。

脳の働きが低下する原因としては、脳のエネルギーが不足している場合、血流が低下している場合、疲労が溜まっている場合の3つの原因があります。

栄養不足

脳の重要なエネルギー源はブドウ糖です。栄養不足でこのブドウ糖が不足していると頭がぼーっとします。他にも脳を働かせるために必要な栄養素として、タンパク質やビタミン、ミネラルも必要となります。

睡眠不足

昼間に仕事、勉強をしている際は、脳は活発に働いていますが、夜間帯に休息が必要になります。寝不足の状態が続くと、記憶の整理ができない、物忘れが多くなり、思考力が低下します。

自律神経失調症

自律神経とは、交感神経と副交感神経の2つの神経で構成されます。交感神経とは主に日中活発に働く神経です。それに対して、副交感神経は夜間やリラックス時に活発となる神経になります。この2つの神経のバランスが保たれている状態が正常となります。

しかし、ストレスが心身に影響を及ぼすと、この2つの神経のバランスが崩れ、不調となります。これが自律神経失調症となります。自律神経失調症の症状は、大きく分けて身体的症状と精神的症状の2つがあります。

身体的症状

自律神経失調症の主な身体的症状のひとつが手足のしびれとなります。ストレスの蓄積によって筋肉の硬直や血行不良を引き起こし、結果としてしびれ症状を出現させます。

しびれ以外にもめまい・耳鳴り、立ちくらみ、息切れ、慢性的なだるさ、便秘・下痢、手足の震え・しびれ、睡眠の質の低下、肩こり・頭痛などの症状が一時的ではなく、慢性的に発生します。

精神的症状

自律神経失調症の精神症状は、パニック障害・不安障害・不安神経症などと症状が似ています。イライラ、不安感、落ち着きがない、情緒不安定、やる気が起きない、緊張状態などの症状が出現します。また、精神的症状が悪化すると、うつ病の併発リスクが高まります。

慢性疲労症候群

慢性疲労症候群とは、身体を動かせないほどの疲労が6か月以上の長期間にわたって続き、日常生活に支障をきたすほどになる病気です。

健康な人が、かぜや気管支炎などを患ったことをきっかけに、風邪に似た症状がいつまでも長引くのと同じような状態で発症することが多い病気となっています。血液検査を含む全身検査(ホルモンの異常、内臓や脳、神経系の検査など)をいくら行なっても異常がみられず、休息をとっても改善しなかったり、摂食障害や不眠などを伴っている場合に、慢性疲労症候群が疑われます。

慢性疲労症候群の治療は、薬物療法が中心に行われます。その中でも、主になるのは補中益気湯(ホチュウエッキトウ)などの漢方薬です。そして、体内の活性酸素による細胞の障害を防ぐために、抗酸化作用をもつビタミンCを大量に服用します。

他にも抗ウイルス薬や免疫調整剤が使用される場合もあり、これらの投与によって免疫系の回復を目指します。また、うつ病の薬が効果を発揮することがあり、抗うつ薬、精神安定剤などが使われることがあります。

無気力症候群

無気力症候群とは、別名アパシーシンドロームとも言われ、その人の一番の本業に対してだけ無気力になっている状態のことを指します。

仕事をしている社会人であれば仕事が、学生であれば学業が、専業主婦であれば家事が、といった具合に、その人にとっての本業にやる気が出ないという状態を指します。

無気力症候群では、すべてのことに無気力になるわけではなく、本業意外の遊びや趣味などにはそれまで通りやる気があるため、本人が気が付きにくいという特徴があります。また、うつ病では、すべてのことに対して無気力となり、それまで好きだったことや楽しかったことにも興味がなくなってしまうのに対し、無気力症候群では本業のみにその無気力があらわれるため、病気というよりは症候群として扱われています。

無気力症候群は、10〜20代の若い女性に増えていますが、競争心の強い10〜20代の男性もかかりやすいと言われています。本業だけやる気が出ず、趣味や遊びへの態度は変わらないため、周りから見たらサボっている、楽しいことばかりして怠けていると誤解を受けやすい症状です。無気力症候群は努力家の人がなりやすい傾向にあるため、そこで叱責されてしまうと、なおさらやる気が出なくなり、症状が悪化することにつながりやすいです。

無気力になる原因はいくつかありますが、人生における大きな目標を失ったときなどになりやすいと言われています。

無気力状態を改善するには?

無気力状態が現れたときは、まずは食事や睡眠といった基本的な事柄を見直してみるとよいでしょう。

食事の見直し

頭がぼーっとする、やる気が出ない原因として栄養不足が指摘されています。それは、ビタミンB1、B2、B6、B12、葉酸、必須アミノ酸のトリプトファン、メチオニン、チロシンです。

また、魚油に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)、さらに鉄分、亜鉛などのミネラルです。EPAとDHAは魚を摂取することで補うことができます。

葉酸は緑黄色野菜に多いビタミンで、体内のいろいろなものの生合成に使われるため、必要量の多い栄養素です。そのため、葉酸が不足すると、タンパク質や血液が十分につくられなくなり、元気がなくなってしまいます。

トリプトファンは、セロトニンの材料となるアミノ酸です。このトリプトファンが足りないと、セロトニンもメラトニンも不足してしまい、うつや不眠の原因となってしまいます。

鉄分が不足すると、疲労、焦燥感、無関心、集中力低下などの症状が現れることが知られています。

栄養が足りていないと自覚がある人は、野菜や魚などを普段から積極的にとるように心がけましょう。栄養の偏りがなく、バランスよく、1日3食きちんと食べることで頭がぼーっとなる、やる気が起きないといった症状になるリスクを予防することができます。

睡眠の質を高める

脳内ホルモンは夜10時から2時頃までの間に脳内で作られるため、質の良い睡眠が大切になります。しかし、夜遅くまでパソコンやスマホ、テレビなどを見ていると、睡眠の質が悪くなり、脳内ホルモンの作成がうまくできなくなります。そのため、睡眠1~2時間前はパソコンのブルーライトを浴びない、スマホを操作しないなど自分なりのルールを決めて、質の良い睡眠をとるようにしましょう。

いかがでしたでしょうか。頭がぼーっとする、やる気が起きない場合には、ぜひ上記のような対処法を試してみましょう。それでも症状がよくならず、やる気が起きない、頭がぼーっとするといった症状が心配な方は、一度病院で相談してみるのもよいでしょう。

白水寛理

九州大学病院 脳神経外科 医師   九州大学大学院医学研究院脳神経外科にて脳神経学を研究、高血圧・頭痛・脳卒中など脳に関する疾患に精通。臨床の場でも高血圧、頭痛、脳卒中など脳に関する治療にあたる。 日本脳神経外科学会、日本脳卒中学会、日本小児神経学会、日本てんかん外科学会、日本脳神経血管内治療学会に所属。

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