ピアスのトラブル?押すと痛い耳たぶのしこりの原因

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ピアスの穴をあける方は多いと思います。ピアスホールにしこりができていませんか?

押すと痛いしこりの中には治療が必要になるものがあります。ここでは耳たぶのしこりについて詳しくみていきましょう。

<h2>押すと痛い耳たぶのしこりの原因

押すと痛いしこりが耳にできる原因としては下記の4つが考えられます。

粉瘤(アテローム)

粉瘤は、垢成分や皮膚の皮脂成分などをはじめとする老廃物が皮膚に溜まって形成される良性腫瘍であり、皮膚に認められる腫瘍性病変のなかでも発生頻度がもっとも高い所見と言われています。

ピアスを装着するときにピアスホールに傷をつけると、傷を修復しようと皮膚ができてきます。そのとき、耳たぶの皮膚の中にさらに皮膚がまくれ込んだ状態ができ、老廃物が溜まっていきます。

疲労、ストレス、睡眠不足、偏った食生活など生活習慣の乱れが原因となります。基本的には有意な痛み症状が乏しいことから放置する場合も多いですが、自然に治癒することはほとんどありません。

粉瘤をそのままにしておくと、さらに大きくなることがあり、また、しこりの中央の開口部から細菌が入ると化膿し、赤く腫れて痛みを生じます。さらに悪化すると、しこりの内容物が破壊されて、膿がたまり膿瘍を形成します。

リンパ節炎

押すと痛い腫瘍はリンパ節炎の場合が多いとされています。耳たぶの下や付け根に位置する耳下腺領域のリンパ節が腫脹する原因としては、ウイルスや細菌の感染による急性リンパ節炎などの炎症性病変や腫瘍に伴う変化が挙げられます。

不規則な生活やバランスの偏った食事、睡眠不足、疲労やストレスなど、免疫力の低下を招くような生活習慣をしていると、リンパ節炎を引き起こしやすくなります。

通常は抗菌薬や消炎鎮痛薬を投与することによって数週間単位で改善されますが、まれに抗生物質が効かず化膿性リンパ腫に発展してしまうこともあるため、なるべく早めに受診するのがオススメです。腫れている部分に関しては、冷却シートやアイスパックなどで冷やすとよいでしょう。

乳様突起炎

耳の後ろにある乳様突起という円錐状の骨に細菌が侵入することが原因で、骨の中に膿が溜まり、耳の後ろに痛みを伴うしこりのようなものができるケースを乳様突起炎と言います。

主に急性中耳炎を治療せず放置した場合や治療が不十分だった場合に起こりやすくなります。乳様突起炎が悪化すると顔面神経麻痺や難聴、敗血症、髄膜炎、脳膿瘍などが生じ、命にかかわるケースもあるため、しっかりと治療を受けることが重要です。

脂肪腫

脂肪腫は良性の腫瘍の一種で、脂肪組織からなるいわゆる脂肪のかたまりのようなものです。しこりの大きさは数mmから10cm以上とさまざまで、脂肪組織でできているので柔らかく、通常痛みなどはありません。

脂肪腫自体は良性であり特に摘出の必要はありませんが、なかには悪性の場合があったり、放置することで大きくなってくることがあります。場所によっては圧迫されて痛みを感じるケースもあり、サイズが大きくなってから手術をすると傷跡が目立ってしまうというデメリットもあるため、できれば早めに治療をするのがオススメです。

ケロイド

粉瘤よりもやっかいなのがケロイドです。ピアスの孔をあけた後、傷が治らなかったり、感染症を起こしたりするとケロイドになることがあります。なんらかの外傷や炎症などがきっかけになって耳たぶの皮膚組織が傷ついたのち、組織を修復しようとする過程でできるものが肉芽です。

また、肉芽の傷跡が受傷後数か月して盛り上がってケロイドという病変に変化することがあり、ケロイドは傷の治癒する過程が過剰に引き起こされている状態です。

ピアスのトラブルは治療が必要?

ピアスの穴をあけたことで起こるトラブルのなかで、粉瘤とケロイドは治療の対象となります。

粉瘤(アテローム)の場合

粉瘤は痛みや赤みなどの症状が出ていない場合は、特に治療を行わない方針にすることが多いです。しかし、目立つところにできることがあるので、見た目上の問題で治療が行われるケースがあります。

残念ながら自分でできる対処法はなく、市販薬を塗っても粉瘤は消えることはありません。特に痛みなどがなく、感染などの可能性が低い場合には、手術で取り除くことが一般的です。

一方、感染や炎症を起こしている場合は、すぐに手術で切除できない可能性があります。その場合は、まずは抗生物質を内服して、しこりが小さくなるのを待ったり、炎症が強い場合には患部を切開して中にたまった膿を出したりすることもあります。

その後、膿がきれいに取り除かれてしこりが小さくなった際に、再発を防ぐ目的で手術を行うことがあります。

ケロイドの場合

ケロイドの場合はそのままにしておくと、どんどんと大きくなってしまい、強い痛みをともなって、硬くなり真っ赤に膨れ上がることがあります。

ケロイドの治療は小さいうちはステロイドの局所注射をしたり、ステロイド薬のテープを貼って治療しますが、耳は目立つ場所でもあり、大きくなって美容的にも気になるときは手術で切除します。

ケロイドは、安易に切除するとかえって大きくなってしまうので、通常は手術で切除しませんが、ピアスホールにできたケロイドは、患部の大きさ、数、部位などを考慮して完全に切除して丁寧に縫合したり、皮弁形成術などの高度な手術処置を必要とする可能性があります。

ピアスホールのトラブルについて耳にする機会は多いと思います。ご自身の耳たぶにしこりができた場合、友人や知人の対処の仕方が自分にも合うとは限りません。耳たぶは人目につくところであり、応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけいない症状がいくつかあります。患部の腫れや痛みが激しい場合などは、一度医療機関を受診して相談してみましょう。

白水寛理

九州大学病院 脳神経外科 医師   九州大学大学院医学研究院脳神経外科にて脳神経学を研究、高血圧・頭痛・脳卒中など脳に関する疾患に精通。臨床の場でも高血圧、頭痛、脳卒中など脳に関する治療にあたる。 日本脳神経外科学会、日本脳卒中学会、日本小児神経学会、日本てんかん外科学会、日本脳神経血管内治療学会に所属。

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