不整脈との関係も?カリウム不足が引き起こす症状とは

カリウム不足の症状 アイキャッチ
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みなさんは血液検査でカリウム値の異常と言われたことはありませんか? 血液検査を行うとき、必ずカリウム、ナトリウムを測定します。カリウムは体内のほとんどの細胞の中に存在し、細胞外のナトリウムとバランスを保つことで、細胞を正しい状態に保つ働きをしています。ここではカリウム不足が引き起こす症状について詳しく見ていきましょう。

カリウム不足で現れる症状

体調不調の女性

カリウムは成人の体内に約200g含まれています。大部分は細胞内に存在し、細胞外液に多いナトリウムと相互に作用しながら、細胞の浸透圧を維持したり、水分を保持したりするのに重要な役割を果たしています。

摂取されたカリウムは、小腸で吸収された後全身の組織に運ばれ、大部分が腎臓によって排泄されます。カリウム量は、腎臓での再吸収の調節によって維持されており、血中のカリウム濃度は3.6〜5.0mEq/Lに保たれています。

カリウムはナトリウムとともに、細胞の浸透圧を維持しているほか、酸・塩基平衡の維持、神経刺激の伝達、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節などの働きをしています。また、カリウムは腎臓でのナトリウムの再吸収を抑制して、尿中への排泄を促進するため、血圧を下げる効果があります。

カリウムは動物性食品や植物性食品に豊富に含まれているため、通常の食事をしている場合はほとんど不足しません。しかし、激しい嘔吐や下痢がみられたり、利尿剤を長期に使用しているとカリウムが欠乏します。

カリウムの低下が筋肉と神経に影響を与えるため、初期の自覚症状は手足の脱力感、筋肉痛、動悸などがみられます。進行すると、足の麻痺から歩行困難、起立困難となり、入院が必要となる場合もあります。意識消失発作、多尿や排尿困難、便秘、イレウスなどを引き起こすこともあります。また、不整脈が出ることがあるため、心臓の病気を持っている人は注意が必要となります。

低カリウム血症の原因

傾けた計量カップから流れ落ちる水

低カリウム血症を引き起こす原因は3通りあります。

カリウムの摂取不足

カリウムは動物性食品や植物性食品に豊富に含まれているため、通常の食事をしている限り不足はしません。しかし、食欲不振や偏食によってカリウムの摂取が不足してしまいます。

体外へのカリウムの排出

体外へカリウムが排出されるルートとしては消化管と腎臓からの2つがあります。消化管からの排出が亢進するのは嘔吐や下痢の場合で、緩下剤の濫用も原因となることがあります。

腎臓から尿中への排泄において重要なのは、カリウム排泄を促進するアルドステロンと呼ばれるホルモンの異常です。アルドステロンが異常に増加する、原発性アルドステロン症や、腎血管性高血圧症ではしばしば低カリウム血症をきたします。また、利尿剤の使用も尿中への排泄亢進によって低カリウム血症の原因になることがあります。

インスリン注射の影響

血液から細胞内にカリウム移動を起こす誘因として最も一般的なものとしてインスリンが挙げられます。糖尿病の治療でインスリン注射を行うと低カリウム血症が見られることがあります。また、甲状腺機能亢進症でも細胞内へのカリウム移動が生じることがあり、低カリウム血症をきたします。

上記のような原因が考えられるため、低カリウム血症を引き起こしている原因を調べ、その原因に応じた治療を行います。原因が他の疾患に基づくものである場合は、その原因疾患を治療し、特定の薬によるものと判明した場合には、その薬の服用を中止とします。

それだけで改善することもありますが、改善しない場合は、カリウムを含む内服薬を使用したり、塩化カリウムを含んだ輸液を点滴する場合もあります。原因疾患によって対症療法も変わり、治療後にカリウムが高くなりすぎないように注意しながらの補正が必要となります。また、原発性アルドステロン症が低カリウム血症の原因となっている場合は、副腎摘出術で完治する可能性があります。

低カリウム血症と不整脈の関係

ハートと聴診器、心電図

細胞内のカリウムは高濃度になっています。反対に細胞外液濃度は低くなっています。低カリウム血症であると、この細胞内と細胞外の濃度差が小さくなります。濃度差が小さいと心臓の興奮伝導が遅れます。そのため、低カリウム血症の重症度が増すにつれて不整脈が重症化し、やがて心室細動が起こることとなります。重大な心疾患がすでに存在する方およびジゴキシンを投与されている方では、軽度の低カリウム血症でさえ心伝導異常をもたらすリスクがあります。

いかがでしたでしょうか。細胞内と細胞外で常にナトリウム、カリウムが行き来してバランスを保っています。しかし、このバランスが崩れてしまった場合、不整脈など命の危険性をきたすことがあります。食生活などに気をつけて、偏食とならないようにしましょう。また、心疾患がある方は、動悸などみられた際は、医療機関をすぐに受診しましょう。

白水寛理

九州大学病院 脳神経外科 医師   九州大学大学院医学研究院脳神経外科にて脳神経学を研究、高血圧・頭痛・脳卒中など脳に関する疾患に精通。臨床の場でも高血圧、頭痛、脳卒中など脳に関する治療にあたる。 日本脳神経外科学会、日本脳卒中学会、日本小児神経学会、日本てんかん外科学会、日本脳神経血管内治療学会に所属。

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