上も下も大惨事で助けて!急性胃腸炎で嘔吐&下痢の最悪のコラボに
お腹を壊すと嘔吐してしまうことがある。暴飲暴食をした翌日に嘔吐と下痢でひどい状態になった…。
こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。
今回は「嘔吐と下痢」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。
目次
息子から感染した胃腸炎でグッタリ…嘔吐と下痢が止まらない!
千晶さん(35歳女性)、会社員の方からご質問をいただきました。
保育園に行き始めたばかりの次男は体が弱いのか、しょっちゅう保育園で風邪をうつされて帰ってくるのですが、今回ばかりは本当にひどい目にあいました。
先日の朝、例のごとく出社時間に間に合うギリギリの時間にバタバタと保育園に息子を送り届けたのですが、そのときふと、クラスの人数が少ないなとは思っていたんです。
そうしたら、息子と同じ組のママ友が「なんか、年長さんのクラスから広がっちゃったみたいなんだけど、“ノロ”流行ってるっぽいんだよねえ…」なんて教えてくれたんです。
“ノロ”とはもちろん、保育園ママにはお馴染みのノロウイルス、感染性の胃腸炎のことです。
内心、「え〜っ!」とは思いましたが、だからといって会社を休んで息子を連れて家に引き返すわけにもいかず、まあ、大丈夫だよねと預けてしまったんです。
そうしたら案の定…。しっかりウイルスをもらってきた息子は休園することになり、私も数日会社を休むことになってしまいました。
幸い息子は大して悪化もせず、翌日の夜には楽しそうに過ごしていたのですが、なんと、気をつけてはいたはずなの私が感染してしまったんです!
一晩中ものすごい吐き気と悪寒を感じてガタガタ震えて寝ていると、今度は猛烈な便意を催してトイレに駆け込む事態に。水溶性の下痢が止まらないわ嘔吐はするわで、ものすごい排泄のコラボを体験することになってしまいました。今はだいぶ状態も落ち着きましたが、また罹らないとも限りません。
この胃腸炎のつらい症状を早く治すにはどうしたら良いのでしょうか?
ご質問ありがとうございます。
胃腸炎による嘔吐や下痢の症状はつらいですが、悪いものを出し切ってしまうことが大切です。適切に水分を補給しながら安静にして収まるのを待ちましょう。
それでは今回は、嘔吐をともなう下痢の原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。
嘔吐をともなう下痢は、感染性の腸炎などが原因
嘔吐をともなう下痢症状は、ロタウイルスやノロウイルス、アデノウイルスなどの病原体に感染することによる胃腸炎や腸炎に最も多く見られます。病原体により多少異なりますが、下痢や嘔吐の他に発熱が見られることもあります。
他にも暴飲暴食、ストレスから来る過敏性腸症候群によるもの、胃腸への刺激の強い食べ物の摂取により嘔吐と下痢が生じることもあります。どんな原因にせよ、症状が強い場合には医師の診察を受けて詳しい原因や対処法を知ることが大切です。
また、東洋医学では嘔吐をともなう下痢は、「水(水分)」が過剰に体内に溜まった「水毒(すいどく)」の状態であると考えます。
次の章では、このような「嘔吐をともなう胃痛」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。
嘔吐をともなう下痢を改善するためのセルフケア3選
1.我慢せず排泄して水分補給をする
胃腸炎などの細菌感染による急な下痢症状と嘔吐があり、激しい下痢症状を起こしている場合は、大量の水分を奪われることにより脱水症状を引き起こすことがあります。
常温のスポーツドリンクなどで水分補給をしながら、我慢せずに吐いたり便を出したりして悪いものを出し切りましょう。
症状が治まるまでは食事は無理して摂らず、胃腸を休ませることが大事です。体調が落ち着くのを待って、胃に優しく消化に良いものを少しずつ口にするようにしましょう。
2.アルコールや刺激物を控えること
高脂質なものや辛すぎる物、アルコールやカフェインなどの胃を刺激するものを大量に摂取すると、胃酸が多く分泌されすぎてしまうことがあります。
それにより胃壁の粘膜を傷つけて吐き気を催したり、腸のぜん動運動が高まりすぎて下痢の症状を悪化させたりすることがあるため、症状改善後もしばらくは食生活の改善をし、腹八分目を心がけましょう。
3.吐き気を抑えるハーブティでリラックスを!
吐き気や嘔吐をともなう下痢などの不快な胃腸症状が軽くなってきたら、ハーブティでスッキリさせるのがオススメです。
胃腸の調子を整え、気持ちをリラックスさせてくれる効果のあるカモミールティーはもちろん、ペパーミント、ローズマリー、バジル、レモングラス、ティーツリーなどのハーブティーには、殺菌作用もあります。
胃腸炎の原因となる細菌感染をしにくくするためにも、日頃からティータイムに取り入れてみると良いでしょう。
根本的な体質改善には漢方薬が効果的!
嘔吐をともなう下痢を改善するために、市販薬や処方薬の服用などの選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、五苓散(ゴレイサン)です。下痢でも便秘でも用いることができる漢方薬で、ウイルスや細菌の感染により生じた胃腸炎症状のある方の体に溜まった余分な水分を排出し、水分代謝を整えることで「水毒」の状態を改善して下痢や嘔吐の症状を和らげる効果があります。
また、ストレスや緊張、二日酔いによる嘔吐や下痢症状のある方には、みぞおちのつかえた感じを取って下痢や軟便の症状を和らげる効果のある半夏瀉心湯(ハンゲシャシントウ)も良いでしょう。
症状が落ち着くまで胃腸を休ませましょう
今回は、嘔吐をともなう下痢の症状に対処するセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状の強いときは、まずは安静にして水分をしっかり摂り、胃腸を休ませて症状を落ち着かせることが大切です。
また、こうした気になる下痢の症状の予防・改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。