唇の白いぶつぶつの原因は?症状の特徴と対処法

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唇に白いぶつぶつができて困っている人はいないでしょうか。どのような原因でそのようなブツブツができるのか、改善するにはどうすればよいのかを詳しく見ていきましょう。

唇の白いぶつぶつの原因と症状の特徴

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唇に白いぶつぶつができている場合、どのような病気が考えられるのかいくつか挙げていきましょう。

口唇炎・口角炎

まず考えられるのは口唇炎や口角炎です。唇が腫れてきたり唇に亀裂ができたりといった症状が口の端の部分にできる場合は口角炎と言われます。口の端だけではなく様々な部分にできる場合には口唇炎と言われます。

小さいブツブツ状の湿疹、赤い湿疹が見られ、時々水泡ができることもあります。このようなものは唇を作る機能が低下することによって起こってきます。

唇は他の肌の部分と同じように、細胞分裂をすることによって新しい細胞を作ることで構造を保っています。しかし、何らかの原因で細胞分裂が低下してしまうと亀裂ができたり腫れてきたりしてしまうのです。

例えば体調不良や、食生活の乱れ、化粧品などによって肌が荒れてくるのも原因となってきます。また日焼けや乾燥によるものによっても症状が出てくることがあります。

炎症が軽度であればガサガサしたり違和感がある程度で済みますが、炎症が悪化してしまうと痛みや傷ができてしまう場合があります。またカビや細菌が傷口に感染することによって炎症が長期化する可能性もあります。

基本的にはあまり触らないようにして経過を見ているとだんだんと治ってきます。しかし頻繁に患部を触ると長期化したり悪化する可能性があるのであまり触らないようにしましょう。

口唇ヘルペス

口唇ヘルペスというのは単純ヘルペスウイルスⅠ型(以下、ヘルペスウイルス)の感染によって唇に水ぶくれやただれができてくる状態を言います。初期症状としては唇の周りがピリピリするだけで見た目に異常は出てこないのですが、半日ぐらいすると唇が赤くなって水泡ができ始めてきます。

ウイルスの感染症ということで誰かからもらうことを想像するかもしれませんが、ほとんどの場合ヘルペスウイルスは子供の頃に感染していて、体の中に潜んでいます。そのウイルスが免疫状態が悪くなる時に増殖を始めて、症状が出始めてくるのです。

ほとんどの場合には唇や口の周りに発生して腫れた後に1日2日してから水泡が一気に増えるという経過をたどることになります。できやすいのは唇の周りですが、鼻の周りやほっぺた、目の周りにもできることがあります

放置していても1週間ほどで乾燥してかさぶたになって自然に治ることも多いです。しかし、ストレスや体調不良が継続するなど、ヘルペスになりやすい状態が継続している場合には自然には軽快しないこともよくあります。また一度なった人は同じように発症を繰り返すのも特徴です。

フォアダイス

唇や頬の内側に1mm程度の白いブツブツができたという場合は、フォアダイスである可能性を考えることがあります。黄色の小さなブツブツができた場合もフォアダイスかもしれません。

フォアダイスというのは血流が悪化したりビタミンが不足したりすることによって起こってきます。それによって皮脂を分泌する皮脂腺が増えて白くぶつぶつとした白い斑点が見えてきます。

これは特に病気であるわけではなくて、生理的に口の中の粘膜を作る能力が下がってしまうことで起こってくるものです。痒みや痛みなどの症状もないことがほとんどですので、できていることに気づかないこともあります。

唇の白いぶつぶつの対処法

ナチュラルなリップクリーム

唇に白いぶつぶつができたらどのように対処すればいいのでしょうか。

口唇炎・口角炎に有効な薬

まず口唇炎や口角炎である場合には様子を見るというのもひとつの手です。刺激がなければだんだんと症状は軽快していきます。市販の薬を使うだけでも改善しやすくなりますので検討するといいでしょう。

薬には塗り薬と飲み薬の2種類があります。塗り薬はいわゆるリップクリームです。特に乾燥が原因となっている場合には効果的と言えるでしょう。

飲み薬の方は唇の細胞を作るための成分を補助的に摂取するためのものだと考えてください。唇の細胞が作られにくい場合には、原因としてビタミン不足があげられます。飲み薬にはビタミン剤が多く用いられます。

ただし、気をつけなければならないのは乾燥やストレス、疲労以外の原因によって起こっている場合です。化粧品などの物理的刺激によって起こっている場合には、薬によって治療をしてもすぐに同じような症状が起こってくる可能性があります。このような場合には化粧品を変えたり、使用しないといった対策が必要です。

口唇ヘルペスに有効な薬

口唇ヘルペスの場合には市販の薬でもよく効く薬が市販されています。ウイルスに対抗してウイルスの活動を抑え、状態を改善させるような抗ヘルペスウイルス薬が市販されています。処方薬としては飲み薬もありますが、基本的には塗り薬を使用するといいでしょう。

多くの場合、使用すると1日以内に症状が改善してくることが多いです。副作用もあまりありませんのでヘルペスかもと思ったら早いうちに使用するのがいいでしょう。

時間が経ってから使用するとすでに増殖してしまったヘルペスウイルスを減らすのがなかなか難しく、治るのに時間がかかってしまいます。増殖を始めてまもない時期に使用するのが効果的と言えます。

フォアダイスの治療は不要?

フォアダイスは口の内側の粘膜が十分に作られず変性したものですから、症状もありませんし特に治療を急いでしなければならないというものではありません。しかし、そのままずっと放置していると口の中が荒れてきて傷がついたりする原因になりますので対策をした方がよいでしょう。

こちらも栄養の不良や体調不良などによって起こってきますので、しっかりと栄養をとるようにしましょう。ビタミン不足が原因になることが多いので、口唇炎や口角炎に使用されるようなビタミン剤を内服することで改善を期待できます。

また、フォアダイスに関して注意しなくてはならないのが尖圭コンジローマとの鑑別です。フォアダイスと同じようなものですが、こちらはヒトパピローマウイルスの感染によって起こってくるもので、多くの場合には性感染症として広がります。がんの原因となってくることもありますので、フォアダイスかもと思ってもずっと状態が変わらないようであれば病院を受診するといいでしょう。

郷正憲

徳島赤十字病院 麻酔科 郷正憲 医師 麻酔の中でも特に術後鎮痛を専門とし臨床研究を行う。医学教育に取り組み、一環として心肺蘇生の講習会のインストラクターからディレクターまで経験を積む。 麻酔科標榜医、日本麻酔科学会麻酔科専門医、日本周術期経食道心エコー認定委員会認定試験合格、日本救急医学会ICLSコースディレクター。 本名および「あねふろ」の名前でAmazon Kindleにて電子書籍を出版。COVID-19感染症に関する情報発信などを行う。 「医療に関する情報を多くの方に知っていただきたいと思い、執筆活動を始めました」

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