いびきは大病のサインかも?女性特有のいびきの原因とは
「いびきがひどいとよく言われる」「夜中に何度も目を覚ます」。そんな睡眠時のお悩みをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
女性のいびきは骨格の小ささや更年期以降の女性ホルモンの減少が原因になっていることがあります。ここではいびきの原因について解説します。
一般的ないびきの原因
一般的ないびきの原因を確認しておきましょう。
肥満
肥満体型(または肥満ぎみ)の場合には、下顎部周囲の脂肪成分が気道を塞ぎ、気道が狭くなることでいびきにつながり、さらには睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因にもなり得ます。
睡眠時無呼吸症候群を発症させる主な原因は、肥満による喉周りの脂肪であることが多いと言われています。
睡眠中は誰でものどの緊張が緩むために健常者でも空気の通り道が細くなりますが、特に肥満の方ではのどへの脂肪沈着率が増加するためにさらに空気の通りが悪くなります。
また、体重が増えると、首の周辺にも脂肪が蓄積するため、脂肪により気道が圧迫され、空気がスムーズに通らなくなり、いびきにつながりますし、体重増加に伴い舌も大きくなるため、舌根が落ち込みやすく気道が狭くなり、いびきや無呼吸の原因となります。
鼻中隔湾曲症
鼻の穴を左右に隔てて軟骨と骨で構成されている壁構造を鼻中隔と呼んでおり、この鼻中隔が強く曲がって湾曲していることによって、鼻閉やいびきなどの症状が長期に渡って出現する病気が鼻中隔湾曲症です。
鼻中隔湾曲症は、基本的にはアレルギー反応や細菌感染などの内因性の病態ではなく、鼻中隔が物理的に湾曲しているためにいびきや鼻閉などの症状が引き起こされます。
扁桃腺の肥大
扁桃腺が肥大している場合も睡眠時無呼吸症候群に陥りやすいと指摘されています。
扁桃腺が肥大化すると、空気の通り道が自然と狭くなって、いびき症状が引き起こされて、睡眠の質が低下するために、日中に眠気が強く襲ってきて集中力が低下することに繋がります。
口呼吸
普段の生活で疲れが溜まると、身体は疲労回復するために酸素を必要とし、多く取り入れるように働くとともに、口呼吸をすることが増えて、軟口蓋が気道に落ちやすくなり、気道が狭めてしまうので、いびきにつながります。
飲酒
アルコールには筋肉を緩める作用があるので、摂取後気道周辺の筋肉が緩み、舌が落ちやすくなり、それに伴って気道が狭くなり、いびきをかくことがあります。
さらに、アルコールは血流を良くする作用があることから、鼻の血管も広がり粘膜が腫れ、鼻づまりを起こしやすくなり、鼻が詰まると自然と気道が狭まり、口呼吸にもなるため、いびきの原因となります。
アルコールが原因のいびきは一時的な症状であり、アルコールを控えればいびきもおさまります。
女性特有のいびきの原因
女性のいびきは、骨格の小ささや更年期以降の女性ホルモンの減少が原因になっていることがあります。
顎が小さい
元々扁桃が大きい、顎が小さい、舌が大きいといった要素を持つ女性などの場合には、気道が狭い場合が多く、生まれつきの骨格などによって気道が狭いことから、いびきを生じやすいという場合も少なくありません。
顎が小さい人は喉周辺のスペースが狭いため、気道が塞がりやすく睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まるといわれています。
特に、日本人を含むアジア人は、欧米人と比べると下顎が小さい方が多く、顎の大きさが原因で睡眠時無呼吸症候群を発症するリスクが高いと考えらています。
女性ホルモンの減少
女性の更年期以降の時期にいびきが出現しやすい原因として挙げられるのは、女性ホルモンの減少です。
女性ホルモンの一種であるプロゲステロンには、気道を広げる働きがあるため、女性は男性よりいびきが少ないのですが、更年期になるとプロゲステロンが減少するので気道が狭くなり、いびきが出やすくなってしまうのです。
また、加齢に伴い女性ホルモンが減少したり、筋肉量が減少すると、生命維持のために最低限必要なエネルギー量である基礎代謝量が減少して太りやすくなり、肥満体型になることでいびきが発生しやすくなります。
いびきは大病のサインのことも
大きないびきは睡眠時無呼吸症候群が疑われ、高血圧や心疾患といったリスクを伴うことが知られています。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群は、眠り出すといびきをかいて知らぬ間に呼吸が止まってしまい、日中の眠気を含めた過眠症状や高血圧などを引き起こすとされている病気です。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に何度も呼吸が止まり、周囲の方からいびきをよく指摘される、夜間の睡眠中に頻繁に目が覚める、起床時に頭痛や倦怠感を自覚しやすい、日中の眠気などを経験するなどの特徴を有します。
睡眠時無呼吸症候群は睡眠時に呼吸が止まってしまっている状態であるため、一時的に低酸素状態となり、体がその低酸素状態から脱するために心臓や血管に負荷がかかる結果、狭心症や動脈硬化、脳梗塞などの原因となります。
さらに、日中の集中力の低下や気分の落ち込みがみられ、中には性格が変わってしまう方もいるほどであり、睡眠時無呼吸症候群の症状は放っておくととても恐ろしい病気であることが分かります。
また、合併症を起こさなくとも日中のひどい眠気によって交通事故などを起こす危険もあるため、合併症がないからといって油断は出来ません。
心疾患
気道が狭まったり塞がったりすることにより、空気の通りが悪化していびきや無呼吸状態となり、無呼吸状態から呼吸が回復する際は、身体は眠っていても脳は覚醒した状態になります。
脳が覚醒すると副交感神経に代わり交感神経が優位となり、起きている状態と同じく血圧が上昇し、この状態が繰り返されると、慢性的な高血圧となります。
また、無呼吸状態は呼吸で酸素を取り込めないため、血液中の酸素濃度が低下することで心臓が血液を普段よりも活発に送り出し、全身に酸素を供給しようとする結果、心臓や血管への負担が大きくなり、動脈硬化や心筋梗塞など心疾患に繋がるおそれがあります。
まとめ
さて、これまで、いびきは大病のサインであることや女性特有のいびきの原因などを中心に解説してきました。
特に、肥満は脂肪によって気道を狭め、過度なアルコールや喫煙、睡眠薬などは上気道に悪影響を及ぼすため、適度な運動や生活習慣の改善などが睡眠時無呼吸症候群やいびき症状の予防に効果的です。
大きないびきは気道が詰まっている証拠であり、同居している家族や配偶者などから指摘された際には睡眠時無呼吸症候群を疑いましょう。
睡眠時無呼吸症候群は顎の小ささ以外にも、肥満や扁桃肥大なども原因となることがあり、それらが複合的に重なり合って発症するケースもあるため、自分で判断しないで病院で検査を受けることが大切です。
今回の情報が参考になれば幸いです。