成長痛とは違う?オスグッド・シュラッター病の予防方法
スポーツをしている子供に見られる障害として有名なのが、オスグッド・シュラッター病です。成長期の子供に多いので成長痛と誤解されることもありますが、オスグッド・シュラッター病と成長痛は別の病気です。オスグッド・シュラッター病の特徴や予防方法について解説します。
目次
オスグッド・シュラッター病とは
オスグッドシュラッター病というのは、端的に言うと脛骨粗面の障害です。略してオスグッド病と呼ばれることもあります。どのようなものなのかを、ひざ関節周囲の解剖と合わせて解説します。
大腿四頭筋と脛骨粗面
ひざ関節というのは、骨や軟骨、関節包の他に、筋肉や靭帯などが付着しています。この中で、オスグッド病に関係するのが大腿四頭筋の構造です。大腿四頭筋というのは、太ももの前側にある筋肉のことで、骨盤と頭蓋骨、そして脛骨をつないでいます。太ももを持ち上げる動きの他、膝を伸ばす動きに関わっています。
この大腿四頭筋は、太もものところで筋肉が存在しますが、その先端は膝蓋腱となっています。この腱は、膝蓋骨の前には付着することなく通過し、それより先、脛骨に付着します。脛骨に大腿四頭筋の腱が付着している場所を、脛骨粗面と言います。
10歳から15歳の男子に多い
オスグッド病は、この付着している脛骨粗面の部分が剥離してしまうことが原因となります。概ね10歳から15歳の男子に起こってくることが多いと言われています。これは、骨の成長にその周囲の筋肉の成長が追いつかず、バランスがうまく取れていないために起こってくるのではないかと言われています。この状態だと、筋肉に強度と柔軟性がないために、脛骨粗面への負荷がよりかかりやすいと考えられています。
脛骨粗面は骨の端っこの骨端線の部分に位置しています。骨端線というのは骨が成長するまさにその場所です。ですので弱い場所とも言えます。だいたい18歳ぐらいになると、骨端線という部分が閉鎖し、骨の成長は収まります。そうなると、脛骨粗面の部分の強度も増しますから、オスグッド病の症状も収まってきます。
オスグッド病の症状
症状としては、脛骨粗面の部分に痛みや腫脹、圧痛を認め、場合によってはその部分の隆起を認めることがあります。動かしたり抑えたりすると痛みが強くなるのが特徴です。痛みは剥がれたことそれだけではなく、剥がれた部分に炎症が起こったり、修復が行われたりすることによって起こってくると言われています。
レントゲンで骨を見ると、脛骨粗面が突出したり、不整になったりする様子が見られるほか、骨端核と言って、骨の端っこの部分の色が濃くなっている部分が離れたりする様子が認められます。
オスグッド病は成長痛とは違う?
オスグッド病は、成長期に起こってくる痛みですから成長痛のように捉えられることがあります。しかし、これら2つは全く異なるものです。
成長痛とは
成長痛というのは、端的に言うと骨が成長することに伴って起こってくる痛みのことです。ですので、大きく成長する幼児から小学校低学年ぐらいまでによく起こってきます。
特にスポーツなどによって起こってくるわけではなく、普通にスポーツをしないで生活している子にも起こってきます。運動している時に限らず、安静にしている時にも痛みが出ます。むしろ、安静にしていて痛みに集中してしまうような時の方が、痛みの訴えが強くなります。そのため夕方から夜に痛むことが多いのですが、1日を通して痛み続けるということはまずありません。
場所については、足に起こってくることが多いですが、脊椎や肋骨、腕などにも起こることがあります。特に骨に異常があるわけではありませんから、レントゲンで異常が見られることもありません。
オスグッド病と成長痛の違い
オスグッド病は骨が傷つくことによって起こってくる病気で、成長痛は骨が成長することによって起こってくる病気です。
いずれも成長期に起こってくるため、オスグッド病を成長痛と勘違いしてしまうこともあります。しかし、成長痛だと思い込んで特に対処もせずにそのままスポーツをしてしまうと、どんどん重症化してしまうことがあります。
スポーツを熱心に行っていて、小学校高学年以上の場合には、成長痛と思っても一旦は整形外科を受診するのがいいでしょう。
オスグッド病の予防方法
スポーツをする場合に、どのような対処をすればオスグッド病を予防することができるのでしょうか。
患部を休める
膝に痛みがあり、オスグッド病ではないかと疑った場合には、まずは安静にすることが大事です。スポーツを繰り返すことによって、脛骨粗面の剥離がひどくなり、症状がますます悪化することが予想されます。少なくとも過度なスポーツは避けて、もしトレーニングをするのであれば膝以外の部分のトレーニングを行うのがいいでしょう。
この時冷やすことも効果的です。患部にダメージがかかると、炎症が起こって痛みを生じます。炎症を抑えてあげることによって、過度な血管造成を防ぎ、病気が進行するのを予防することができます。また炎症を抑えることは、痛みの予防という面でもいいでしょう。
適度なストレッチ
筋肉の緊張が、脛骨を引っ張ることによって剥離が起こり、症状が起こってくるのでした。ですので、適度にストレッチをして筋肉を伸ばすことによって、筋肉が少しでも伸びるようにすることで、症状が悪化することを防ぎます。
ストレッチの方法としては、大腿四頭筋が縮んでいるのが問題ですから、太ももの前側を伸ばすようなストレッチが有効です。膝を曲げて後ろにゆっくりと足を曲げて行うのが効果的です。勢いよくやってしまったり、痛いのに何回も繰り返してしまうと、患部に力がかかりすぎてしまい、余計に症状がひどくなってしまいます。ゆっくりと気持ちいい程度に動かすのがいいでしょう。
テーピングやサポーターを活用する
膝蓋腱の付着部を抑えてあげることによって、剥がれにくくして症状を抑えることができます。これはテーピングでも可能ですし、サポーターでも可能です。
テーピングは非常にシンプルです。膝のお皿の下、ちょうど傷んでいる部分を通るように、すねに一周テープを巻きます。これだけで、脛骨粗面を抑えることができ、症状を緩和することができます。
オスグッドバンドという名前で発売されているサポーターも基本的には同じようなものです。膝の上を斜めに走るサポーターがついている製品もありますが、これはオスグッド病だけではなく、ひざ関節全般の不安定性を改善するための製品になります。