食事をする気が起きず、恐怖の鶏ガラボディに…。食欲不振を改善したい!

体験談

夕食の時間になってもお腹が空かない、無理をして食べると後で気分が悪くなる、食べられないことが続き、痩せてしまった……。
それは、もしかしたらプレ更年期(30〜40代)や更年期(40〜50代)に起こりがちな「食欲不振」の症状かも!?

そんな自分ではどうにもならない更年期症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「更年期の食欲不振」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生へお話を伺ってみました。 

食べなきゃという焦りで食事が憂うつに…。人生損している気分です!

優希さん(50歳女性)、保育士の方からご質問をいただきました。

子供たち相手に体力勝負の仕事を長年続けてきたせいか、ここ数ヶ月、胃腸の調子の悪さに加え、肩こりや体の冷え、のぼせや疲労感などに悩まされています。
何より、食欲がまったくわきません。以前は食べることが趣味だった私なのですが、今は常に胃もたれしているような、ガスが溜まっているような感じで……。最近は何かを食べたいとか、おいしそう、という気持ちもなくなってきてしまっています。
それでも最初のうちは、食べなくてもダイエットになるし、まあいいか、なんて思っていたんですが、夜お風呂上がりに鏡に映る自分の姿を見てびっくり! 鶏ガラみたいにあばらの浮き出たみすぼらしいオバサンがいたんですから……。
それからは、何か食べなくてはと焦ったり、無理に食べてから気分が悪くなったりの繰り返しで、食事の時間が憂うつで仕方ありません。
どうしたら以前のように食事を楽しめるようになるでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
美味しいものを目の前にしても箸が進まない、無理をして食べると気分が悪くなる、といった食欲不振の症状は、家族や友人との食事時間を楽しむこともできなくなってしまうため、とてもつらいですよね。
今回は、更年期の食欲不振の原因や改善方法についてお伝えしていきましょう。

自律神経の乱れと「気・血・水」の不足や滞りが原因

更年期の食欲不振は、女性ホルモン(エストロゲン)の減少が原因と考えられています。
胃腸の働きには自律神経が深く関わっているため、ホルモンバランスが乱れて自律神経が不安定になると、胃腸機能が低下し、消化不良や胃もたれ、吐き気などが起きやすくなるのです。
また、便秘も食欲不振の原因となることがあります。

東洋医学では、更年期になると血(血液)・気(生命エネルギー)が不足し、気血の巡りが悪くなって水(体内の水分)の流れも滞ると考えられています。そのために胃腸の働きが弱くなって、食欲不振になります。
さらに、ストレスを感じると気の巡りが悪くなるので、食欲がもっとなくなってしまいます。

次の章では、こうした更年期特有の食欲不振に対する具体的な解決方法をお伝えしていきましょう。

食欲不振を改善するお手軽ケア4選!

1.便秘を改善しよう

便秘を解消すると、食べ物が胃腸をスムーズに通過できるので、食欲不振の改善につながります。
加齢によって腹筋が衰えてくると、腸の筋肉も弱くなり動きが鈍くなるので、ウォーキングやジョギング、ラジオ体操など無理のない全身運動で体を動かして、腸を刺激しましょう。
また、腸の動きをアップしてくれる食物繊維が多い食材や水分を意識的に摂りましょう。
食欲不振が続く場合は消化機能が低下していることがありますので、食材をやわらかく煮る、よく噛んで食べるなど工夫してみてくださいね。

食物繊維を多く含む食品:玄米などの穀物・さつまいもなどのいも類・果物など

2.栄養を意識した食事を

食欲不振になると、食事量が減り、体のはたらきをサポートする必要な三大栄養素(脂質・糖質・たんぱく質)が不足しがち。ミネラルやビタミンB群の多い食材を、意識して普段の食事に取り入れるようにしましょう。

ミネラル豊富な食材:緑黄色野菜・きのこ類・海藻類など
ビタミンBが豊富な食材:大豆・納豆・牛乳など

3.良質な睡眠をとることが大事

胃腸の働きをつかさどる自律神経を整えるためには、何より十分な睡眠をとることが大切です。

・就寝の3時間前には食事を済ませる。
・寝る直前ではなく、寝る2時間前までに40度くらいのぬるめのお湯に入浴する。
・寝る前は携帯やパソコンを触らない。

心身共にリラックスしてから寝ると、良質な睡眠をとることができます。

4.暮らしにアロマを取り入れよう

アロマセラピーで使われる精油の香りは脳の視床下部に働き、ホルモンバランスや自律神経系の乱れを整えます。
またストレスが原因の食欲不振には、精油のリフレッシュ効果も期待できます。
特に、消化を促し食欲を刺激する成分であるリモネンを多く含むオレンジスイートやグレープフルーツなどの柑橘系の精油がオススメです。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

食欲不振の症状を改善するために、市販薬や消化運動促進剤の服用をするという選択肢に加えて、根本的な改善を目的とした漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方にオススメしたい漢方薬は、六君子湯(リックンシトウ)です。渭腸の水代謝を整え、胃腸の働きを高めるので、吐き気・食後の膨満感・下痢などの症状を改善してくれます。
また、疲労感や冷えによる腹痛・下痢が気になる方には、人参湯(ニンジントウ)も良いでしょう。胃腸が温まるので消化機能がアップし、食欲不振を改善してくれます。

食欲不振は不調のサイン! 自分に合う方法で早めの改善を

今回は、食欲不振に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
食欲不振の原因には、他の病気が背景になっていることも。
今回ご紹介したセルフケアを試しても症状が改善しないときには、早めに医療機関を受診しましょう。
体質によっては漢方薬がとても効果がある場合がありますので、お気軽に漢方薬局や漢方医に相談してみてくださいね。


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