描きかけの絵に縫いかけのポーチ…何ひとつ全うできずに呆れられています…
何かに取り掛かろう!と思っても、すぐにどうでもいいような気持ちになってしまう、なんだか気持ちが滅入って動くのも億劫な時がある…。
それは、もしかしたらプレ更年期(30〜40代)や更年期(40〜50代)に起こりがちな「意欲の低下」かも!?
そんな自分ではどうにもならない更年期の不調やつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとにお悩みに関する原因や対処法を漢方の専門家がお答えしていきます
今回は「更年期に起こる意欲の低下」をテーマに、薬剤師の中田早苗先生にお話を伺ってみました。
目次
だらしのない自分にがっかり…そんな自分が許せないんです。
美智代さん(54歳女性)、パートの方からご質問をいただきました。
私、どうしたことか、ここ数年すっかり人が変わってしまって、妙に無気力でだらしのない人間になってしまったんです……。もともと生真面目な性格で体力もあり、これまで何事もしっかり丁寧にこなしてきました。趣味も多く、精神的にも安定していたと思います。
でも、閉経してしばらくした頃でしょうか、趣味の油絵を描こうとデッサンし始めたものの、いざ絵の具を使って描き始めた途端、どうでもいいや…という気持ちになってしまったんです。
そのときは、たまたまその絵だけかなと思ったんですが、他の絵を描き始めても同じ。少し手の込んだ刺繍をしようとしても途中で放り出し、全てが中途半端な状態に……。
最近では家事も途中で億劫になり、家中に作りかけや描きかけのもの、畳み掛けの洗濯物や洗い物が散乱しています。
主人からは「心療内科に行ったほうがいいんじゃないか?」なんて言われる始末。
私、いったいどうしてしまったんでしょうか? この無気力で自堕落な自分を許せません。どうしたら活気あるもとの私に戻れるでしょうか?
ご質問ありがとうございます。
頑張ろうと思っても何事にも気力が出ず、中途半端になってしまう状態とのこと。ご自身を責めてしまうのもつらいですよね。
それでは、今回は更年期に起こる意欲の低下の原因や改善方法についてお伝えしていきましょう。
意欲の低下は、ホルモンと自律神経の乱れが原因
更年期に入り卵巣機能が衰えると、女性ホルモンであるエストロゲンが減少し、脳の視床下部・下垂体の機能に変調をきたします。
これによって自律神経症状や、抑うつなどのメンタルの不調が引き起こされます。
さらに女性の生涯の中で、心理的・社会的に最もストレスを受けやすいのが更年期と言われています。
この不安定な時期に、エイジングの恐怖・心身の疲れなどで自己評価が下がりやすくなることも、気分の落ち込みや不安の原因になります。
また、東洋医学では「気虚」や「気滞」など、「気」の不足や滞りにより気分が落ち込んだり意欲が低下したりすると考えられています。
次の章では、こうした更年期特有の悩ましい症状に対する具体的な解決方法をお伝えしていきましょう。
気持ちが上がる!お手軽おうちケア3選!
1.食べて元気になる食材を選ぼう
エストロゲンに似た作用が認められているイソフラボンは、更年期障害をはじめとした女性の健康づくりに有効な成分として知られています。
大豆や豆腐、納豆、豆乳など、イソフラボンが豊富な食材を取り入れてエストロゲン不足を補いましょう。
また、”幸せホルモン”セロトニンの原料となるトリプトファン(必須アミノ酸)、ビタミンB6を食事で補うこともオススメです。
トリプトファンは、バナナや納豆、アーモンド、そばなどに、ビタミンB6は、まぐろ、さんま、サケ、バナナなどに多く含まれています。
2.自分だけの”お楽しみ時間”を作る
好きなこと、楽しめることに没頭する時間を取ることで、意欲の低下や抑うつ状態が改善するケースは少なくありません。韓流ドラマにはまったことがきっかけでうつ状態から抜け出した方もいるほどです。
お菓子作りやメイクを楽しむなど、興味を持てることを少しずつ、生活の中に取り入れてみましょう。
そして、趣味にしても家事にしても、何事も「きちんとやろう」と思いすぎないことが大切。更年期の間は「いい加減主義」でいきましょう。
家族や周囲の人に「更年期で辛い」とカミングアウトして、上手に助けてもらってくださいね。
3.「百会」と「神門」のツボを押そう!
「ちょっと心が疲れているかも…」「なんだか前向きになれなくてつらい…」というときには、このふたつのツボを指の腹にグッと力を入れて押してみましょう。
気分の落ち込みやクヨクヨした気持ちを改善してくれる効果が期待できます。
「百会」(ひゃくえ)
頭頂にあるツボで、左右の耳を結ぶ線の真ん中にあり、押すとへこむ場所
「神門」(しんもん)
手首の横ジワの小指寄りのクボミ。ここを温めても効果があります。
根本的な体質改善には漢方薬が効果的!
意欲の低下、落ち込みなどの症状を軽減するために、即効性のあるホルモン補充療法を受けるという選択肢に加えて、根本的な改善を目的とした漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方にオススメしたい漢方薬は柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)です。
気を整え、鎮静してくれる漢方薬で、心身ともに疲れやすく気持ちが落ち着かない、不安感が強く眠れないなどのさまざまな神経症状を和らげてくれる効果があります。
また、胃腸が弱く、貧血気味で顔色が悪く、不眠などの症状がある場合には加味帰脾湯(カミキヒトウ)の服用で症状が改善した方もいます。
自分の症状や体質にぴったりマッチした漢方薬を選ぶのは難しいと感じがちですが、「オンラインAI漢方」では、お悩みの症状を元にAIがあなたにぴったりな漢方薬をご案内しています。
自宅にいながら気軽に始められますので、ぜひチェックしてみてください。
あんしん漢方のサービス紹介はこちらをご確認ください。
何事も思い詰めすぎず、毎日を楽しく過ごしましょう
今回は、更年期の意欲の低下に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
心とからだは密接に結びついているため、悩んだり思い詰めすぎると、さらにホルモンバランスや免疫の働きが崩れて体の不調につながってしまいます。
何事も頑張りすぎず、気軽にできる心地よいセルフケアを取り入れて、心身ともに健やかな毎日を過ごしましょう。
メンタルの不調にも漢方が大きな効果を発揮する場合が多くありますので、セルフケアで改善しない場合は、お気軽に漢方医や漢方薬局にご相談してみてくださいね。