夜は眠りが浅くて悪夢にうなされ、日中は眠くて仕方ありません!

更年期の眠気 アイキャッチ
体験談

たっぷり寝たはずなのに、朝起きると疲れてスッキリしない、眠りが浅いような気がして熟睡した感じが得られない…。
それは、もしかしたらプレ更年期(30〜40代)や更年期(40〜50代)に起こりがちな「熟眠障害」の症状かも!?

そんな自分ではどうにもならない更年期の不調やつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は、「更年期の熟眠障害による眠気」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

助けて! うまく眠れず、眠気と疲労感で職場でも使い物にならない私…

スタイリッシュな寝室

初美さん(58歳女性)、の事務職の方からご質問をいただきました。

もう、日中どうにも、眠くて眠くて仕方がないんです!定年目前ではありますが、ずっと仕事をしてきたこともあり、ちゃんと早寝早起きはしているつもりです。
でも、このところ毎晩のように悪夢にうなされて寝覚めも悪く、疲労感も取れていない気がして…。そのせいか、デスクで作業していてもなんだかのぼせたようにボーッとして「今私なにしてるんだっけ?」と思いながら眠気と戦っているうちにあっという間に終業時間になってしまう有り様。
たいして働いてもいないのに肩は凝るしすぐ疲れるしで、毎日出社するだけでもつらくて仕方ありません。若い後輩たちだって「もうこんな役に立たないオバサンなんて早く定年になればいいのに」って陰で思っているに違いありません。
せめて夜しっかり眠れれば、こんなに働くのがつらいなんて思わずに済むと思うのですが…。この疲労感と眠気を解消する良い方法はないでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
睡眠にかかわる症状は自分でコントロールすることも難しいため、大きな悩みになりがちですよね。
今回は、更年期の熟眠障害による眠気の原因や改善方法についてお伝えしていきましょう。

ホルモンの乱れと「胆」の衰えが眠気の原因!

自律神経のバランス

朝起きてもすっきりした感じがしない、昼間にも眠気を感じるのは、睡眠の質が低下しているサイン。
更年期には、女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)の減少によって脳の視床下部・下垂体から出るホルモンの分泌に影響を与え、自律神経が乱れやすくなります。
そのため、イライラ、抑うつ、疲れやすい、などといった不眠を併発しやすい症状が引き起こされることがあります。

東洋医学では、決断力を意味する「胆」が冷え、弱ることによって精神不安の状況に陥り、眠りが浅く熟睡できないといった症状が起こると考えます。

次の章では、こうした更年期特有の悩ましい症状に対する具体的な解決方法をお伝えしていきましょう。

睡眠の質を上げる!お手軽快眠ケア3選

1.夕方以降のカフェイン&喫煙を避ける

青空に浮かんだ禁煙マーク

日中の眠気を抑えるために、コーヒーを飲んだりタバコを吸ったりする方も多いかと思います。
しかし、夜にぐっすり眠るためには実はそれが逆効果に。
カフェインやタバコに入っているニコチンには覚醒作用があり、過剰に摂取することで寝つきが悪くなるだけでなく、睡眠の質の低下にもつながってしまいます。
コーヒーや紅茶、緑茶などカフェインの入っている飲み物は1日1〜2杯以内にして、飲みずぎないようにしましょう。
また、喫煙習慣がある人は、これを機に健康のためにも禁煙にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

2.入浴後の体温の上昇〜下降を利用しよう

睡眠の長さを気にするよりも、眠りの質に着目しましょう。
眠りが一番深いのは、寝付いた後の最初の90分。この時間帯には、脳と身体の疲労を回復させて、新陳代謝を促進させてくれる成長ホルモンの分泌が活発になります。
このノンレム睡眠の間にぐっすり眠れると、朝はすっきり目覚められ、日中に眠気に悩まされることもなくなるでしょう。

寝る前に深部体温が十分に下がると寝つきがよくなります。
寝る前に入浴していったん体温を上昇させ、冷めてきたところで床につくとスムーズに入眠することができます。

3.寝床でスマホを触るのをやめましょう

寝室に置かれたスマホ

寝る前にスマホをいじっているうちに寝ている、なんて言う人も多いのではないでしょうか?
睡眠の質を高めるためには、ぜひやめていただきたい習慣です。
スマホやPC、TVなどの画面から出るブルーライトを網膜が感知すると、覚醒度が上がることがわかっています。
また、スマホを操作すること自体で脳が覚醒し、興奮する作用もあるため、スマホはできるだけ寝床に持ち込まないようにしてくださいね。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

漢方薬

熟眠障害の症状を改善するために、薬物療法やホルモン補充療法を受けるという選択肢に加えて、根本的な改善を目的とした漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方にオススメしたい漢方薬は、加味逍遙散(カミショウヨウサン)です。のぼせや肩こり、ストレスによる不安や不眠などの心身症、神経の高ぶりや抑うつなどの症状にも効果的でホルモンバランスを整える働きも期待できます。
また、貧血気味で体力がなく、疲れすぎてよく眠れない、不安感が強い方には、胃腸の働きをよくして貧血の改善をし、不眠などの症状を改善する加味帰脾湯(カミキヒトウ)もよいでしょう。

生活を改善して、質の良い眠りを手に入れましょう

寝室で笑顔でストレッチをする女性

今回は、熟眠障害による眠気に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
毎日を生き生きと過ごすためには、質の良い睡眠をとることが大切。周りの環境と生活習慣を見直して、心身を整えていきましょう。
睡眠障害には様々なタイプがありますが、それぞれの症状にぴったりな漢方薬によって症状が改善する例も多くあります。
セルフケアを頑張っても改善しない場合は、漢方医や漢方薬局に相談してみてもよいでしょう。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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