長年の喫煙で息苦しさが…つらいCOPDの症状から解放されたい!

体験談

長年の喫煙習慣のせいか、次第に息苦しさや咳き込むような症状が増えた、若い頃はなんでもなかった坂道や階段で息苦しさや息切れを感じて呼吸困難になりそうになる…。
40〜60代の喫煙する女性のなかには、こうした「息苦しさ」の症状に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。

こんな自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「喫煙による息苦しさ」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

喫煙を後悔しても後の祭り…階段の昇降や緩やかな坂道でも息苦しい!

ウォーキング中に息切れをおこした女性

美智代さん(55歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

30代の頃、仕事のストレスからちょっとした弾みで喫煙し始めてしまい、もう25年もの間、煙草を止められずに過ごしてしまいました。
昨年仕事を早期退職してからは、ストレスを感じることも減りましたし、近年は喫茶店でも喫煙不可のところも多いため、何度も禁煙を試みてきましたが、意志が弱いのかなかなかやめることができません。
そうこうしているうちに、数ヶ月前から喫煙するたびに嫌な咳き込みの症状が出るようになってしまったんです。さらには、なんということもない緩やかな傾斜の坂道や自宅の2階への階段の昇降ですら息苦しさを感じるようになってしまって…。
先日ついに、もしやぜんそく?それとも悪い感染症に!?︎ などと不安に駆られて病院に行ったところ、「COPD」という聞きなれない病名の診断を下されてしまいました。お医者様の勧めもあって、これが最後のつもりで禁煙にも再挑戦し、処方された薬もきちんと飲んではいますが、1日も早くこのつらい息苦しさの症状から解放されたくて仕方がありません。
治療に加えて、治癒を早めるような自分でもできる良い方法はないでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
COPDは、慢性閉塞性肺疾患といい、長年喫煙していた方がかかりやすい肺の生活習慣病ともいうべき病気です。治療と並行してご自身でケアできる方法もご紹介しますので、ぜひ実践してみてくださいね。
今回はCOPDの原因や対処方法について詳しくお伝えしていきましょう。

息苦しさの原因、肺の生活習慣病「COPD」とは

COPDの解説

長年の喫煙習慣や受動喫煙によって咳やたん、息切れや息苦しさの症状が頻繁に起こる場合、肺の生活習慣病ともいわれるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)という病気によって肺の機能が低下している可能性があります。
初期症状としては、咳やたん、息切れ、息苦しさなどがありますが、「年齢のせい」「風邪の症状」と思い込むことで早期発見が遅れてしまいがちです。
悪化すると息苦しさがひどくなるだけでなく、体重減少や筋力低下、肺がんや心臓病、脳卒中など重篤な疾患につながることもあるため、早期の段階で呼吸器内科など専門医の診断を受け、治療をしながら禁煙を並行して行うようにしましょう。

また、東洋医学では「肺は気をつかさどる」ともいい、五臓のうちの「肺」の衰えや水分代謝の失調などからさまざまな気管支症状が生じると考えられています。

次の章では、こうした息苦しさを予防・対処するための具体的な方法をお伝えしていきます。

喫煙による息苦しさを改善する対処法3選

1.早期に専門医の診断を受けましょう

診察室で医師から説明を受ける女性

症状を改善するためにも、息苦しさや息切れ、肺の苦しさなどの違和感を感じたらまずは呼吸器科での診断を受け、病院で早期に治療することが大切です。
COPDは治療可能な疾患であるため、禁煙や気管支拡張薬を使用した薬物療法、呼吸リハビリテーションなどの方法によって進行を遅らせ、息切れや息苦しさなどの症状を改善することができます。
長期の喫煙習慣がある場合はもちろん、自身が喫煙しなくても家族や身近に喫煙者がいる場合は受動喫煙でも同様の症状が起こることもありますから、まずは医師に相談してみましょう。

2.規則正しい生活習慣で免疫力を高める

COPDと診断された場合のセルフケアとして、まずは禁煙をして喫煙習慣を断ち切ることが大切です。
身近に喫煙者がいる場合も、事情を話して一緒に禁煙をしてもらったり、無理なら見える場所での喫煙をやめてもらうなど、誘惑に負けないような対策を取りましょう。
また、こまめに換気して空気の入れ替えをすることや、湿度を適度に保つことも大切です。
加えて、COPDに罹患していると肺炎や風邪、新型コロナなどの症状が重篤化しやすいため、日頃から栄養バランスのとれた食事をして睡眠不足にならないように気をつけるなど、免疫力を高める努力を怠らないようにすると良いでしょう。

3.適度なエクササイズで身体の衰えを防ぎましょう

公園でヨガをする女性

COPDの人は、息切れのせいで身体を動かさないようになったり、息苦しさから食欲が低下したりしがちです。こうしたことから関節の動かしにくさや、体重や筋肉量の低下が起こることも多いため、なるべく高タンパクの食事をとってエネルギー補給をするように心がけましょう。
また、肺に負担をかける激しい運動は禁物ですが、ストレッチやヨガなど、深い呼吸を取り入れたエクササイズやウォーキングなどを取り入れて、無理のない範囲で身体を動かし、筋肉や関節をしなやかに保つことも大切です。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

漢方薬

喫煙による息苦しさを改善するためには、セルフケアや呼吸器内科での治療に加えて、体質の改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、清肺湯(セイハイトウ)です。喫煙による咳き込みやぜんそく、呼吸の苦しさなどのある方の気管支を拡げて粘り気の強い痰を出しやすくし、呼吸を楽にする効果があります。また、痰が絡んだ咳には、気管支を潤して席を抑える麦門冬湯(バクモンドウトウ)も用いられます。
一方、COPDの方が補中益気湯(ホチュウエッキトウ)を続けた結果、栄養状態の改善や風邪をひきにくくなったなどの報告も出ています。

適切な治療に加え、免疫力を高める生活を実践しましょう

食事で免疫力アップ

今回は、喫煙による息苦しさの改善方法や漢方薬をご紹介してきました。
症状の改善のためには、早期の段階で専門医の診断と治療をうけることが大切です。
そして、風邪や感染症の重篤化を防ぐためにも、日頃から適度な運動と睡眠、栄養バランスのとれた食事をとって免疫力を高めておくように心がけましょう。

また、こうした息苦しさの症状にまつわる悩みには、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。症状がなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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