お腹が冷えてチャポチャポ!本当は怖い夏の冷え性対策は?

体験談

夏になるとお腹が冷えて胃腸の調子が悪くなりがち、気温は高いのにお腹も体も冷たくて冷えを感じる…。
そんな「お腹の冷え」は、30代〜50代のミドルエイジ世代の女性が悩まされがちな”夏の冷え性”かもしれません。

こうした自分ではどうにもならない症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「お腹の冷え」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

お腹をさわるとひんやり…冷えからくる腹痛や下痢に苦しむ日々です

綾子さん(36歳女性)、会社員の方からご質問をいただきました。

ここ数年、冬ではない時期にひどい冷えに悩まされていて、どうしていいかわかりません。
だいたい、冷え性といえば冬の寒い時期というイメージがあったのですが、私の場合はお腹の冷えの症状が強くて、冬より夏の暑い時期の方がつらくて…。
会社ではストールをお腹に巻き付けたりエアコンの設定温度をこっそり高めに設定したりして、冷え対策を頑張っているものの、営業で外回りをするともうダメ! 
猛暑厳しい屋外から冷房の聞いた取引先に駆け込むと、出されたアイスコーヒーやお茶を一気に飲み干し、おかわりまでありがたく頂戴してしまうせいか、失礼する頃にはお腹からチャポチャポと音が鳴る始末。
先日などはそれでも足りず、帰社する途中で大好きなアイスをペロリと平らげ、帰社後にお腹を下してトイレで悶絶する羽目になりました。
最近は汗をかくほど暑い日でも、お腹を触るとひんやりと冷たく、体もだるくて仕方がありません。どうしたらこのつらいお腹の冷えを解消することができるでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
夏の冷えは胃腸症状をともなうことが多く、だるさや夏バテにも繋がりますので、早めに対処して改善することが大切です。
今回は、お腹が冷える原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

お腹が冷えるのは胃腸の血流悪化と「水毒」が原因

冷えとは、自律神経の乱れによって血液の流れが悪くなったり、血管が収縮することによって体が冷えてしまう状態をいいます。
特に腹部の冷えは、強いストレスにさらされ、緊張状態が続くことによって自律神経が乱れることや、冷たい飲み物や食べ物を多く摂りすぎることにより胃腸の血流が悪化することで起こると考えられます。

東洋医学では、お腹が冷えて痛みを感じる現象を「寒疝(かんせん)」といい、寒冷による筋肉の緊張や血管収縮によって起こると考えます。
また、夏でもお腹が冷えるのは、体の中の「水(水分)」のバランスが乱れて「水毒(すいどく)」の状態になることによって起こるとされています。

次の章ではこうしたお腹の冷えの改善に対する具体的な方法をお伝えしていきましょう。

お腹を温めるための3つの簡単セルフケア

1.「陽性食品」で体を温めましょう

東洋医学では、体を冷やす食べ物を「陰性食品」、体を温める食べ物を「陽性食品」と考えています。
冷えたお腹を温め、体内の余分な水分を排出するためには、体を温める効果の高い「陽性食品」を積極的に取ることが大事です。
代表的な「陽性食品」は、ゴボウや人参、ショウガなどの根菜類や、赤身肉や魚などのタンパク質、玄米やそばなどの穀類、味噌や醤油などの大豆製品で、主に寒冷地原産の食物が多いです。
対して「陰性食品」は、バナナ、スイカ、キュウリ、トマトなどの果物や野菜、白砂糖や白米、うどんなど、温かい土地原産ものや、色の薄い食べ物が多く挙げられます。
食事のメニューを考えるときは「陽性食品」を積極的に取り入れるように心がけると良いでしょう。

2.温めてお腹の冷えと痛みを和らげましょう

お腹がひんやりと冷たく、痛みを感じるときには、お腹や腰を温め、症状を和らげましょう。
温めることで、血管を拡張して血の巡りを良くし、うっ血を改善して冷えや痛みの緩和や改善が期待できます。
温める際には、湯たんぽやカイロ、電気毛布などを活用してもよいですが、低温やけどを防ぐためにも長時間の使用は避けるようにしましょう。
温かいお湯で絞ったタオルなどでお腹を温めるのも有効ですので、ぜひ試してみてください。

3.体を温めるホットドリンクを飲みましょう

お腹の冷えによって腹痛や下痢などの胃腸症状があるときにオススメなのが、スパイス入りのホットチャイティーや、ショウガ入りの温かい紅茶です。
チャイには、体を温める効果の高い「シナモン」「クローブ」「ジンジャー」などがたっぷりと配合され、血行改善や消化促進、胃腸を整える効果もあるため、お腹の冷えが強い方にはぴったり。
夏の暑い時期の水分補給は必須ですが、冷たいものを大量に飲んだり一気に飲んだりすることは、冷えを悪化させるもとになります。
チャイやジンジャー紅茶など、体を温める効果の高い飲み物をゆっくり飲むことで、冷えを内側から改善していきましょう。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

お腹の冷えを改善するためには根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、大建中湯(ダイケンチュウトウ)です。
季節を問わず冷えの症状が強く、胃腸・消化機能の衰えによって腹痛を起こしたり、ガスが溜まりやすくなったりする方の腹部を温め、冷えを改善してくれる効果があります。
また、桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ)は体を温め弱った胃腸の働きを整え、下痢や便秘を改善します。
一方、体力がなく、体内で熱を生み出すエネルギーの少ない方には、胃腸の機能を高め、体を温めることで腹痛や下痢などの症状を改善する人参湯(ニンジントウ)も良いでしょう。

内から外からお腹を温めて、冷えとり対策をしましょう

今回は、お腹の冷えに悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
冷えたお腹を温めるのはもちろん、体を温める食べ物や飲み物を積極的に摂ることで、体の内からも外からも冷えを改善していくことが大事です。
また、こうした症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。
セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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