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極寒の冷房部屋から避難したものの…熱帯夜にあわや熱中症の危機!

体験談

日中ちょっと買い物に出ただけなのに大量の汗とめまいでフラフラする、寝冷えが気になり熱帯夜にも関わらず我慢して一夜を過ごしたら体調が悪くなってしまった…。
30〜60代の幅広い世代の女性のなかには、こうした「熱中症」に悩んでいる方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

このような自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「熱中症」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

窓からはそよ風どころか熱風が!?︎ 寝苦しい夜に熱中症を避ける方法は?

美智代さん(54歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

このところ、梅雨明け間もない時期から毎晩熱帯夜続きで、本当に嫌になってしまいます。若い頃は夏の暑さが体にこたえるということもなかったのですが、最近は歳のせいか、朝起きてもぐったりしてしまうことが多くて…。
寝室は夫が冷房を20℃に設定し、朝起きたら凍っているんじゃないかと思うような寒さの中で寝ているため、私はリビングに避難して布団を敷いて寝るようにしています。でも冷房をつけないで寝るのも、それはそれで暑いんですよね。
節電も兼ねて、網戸にして窓を少し開けて寝ていますが、入ってくるのはそよ風どころかべっとりと蒸し暑い熱風ばかり。
先日も、暑いのを我慢して汗だくで寝ていたら、夜中に何度も目が醒めるわ、起きた瞬間めまいがしてフラつくわで散々な目に会いました。慌てて冷房をつけ、スポーツドリンクを飲み、冷たいシャワーを浴びてことなきを得ましたが、あれはまさしく熱中症の症状に違いありません。
まだまだ熱帯夜はしばらく続きそうですし、いったい私はどうしたら良いのでしょうか? 何か良い熱中症の予防策やセルフケアがあれば教えてください。

ご質問ありがとうございます。
近年の30℃越えも少なくない熱帯夜に冷房なしで寝るのは、熱中症の危険と隣り合わせです。節電も大事ですが、適度な室温・湿度に冷房を設定して眠るようにしてみてはいかがでしょうか。
今回は、熱中症の原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

体温調節機能の低下により体内に熱がこもることが原因に

熱中症とは、気温や湿度の高さや日差しの強さなどから体温が上昇し、体内の水分バランスが崩れて体温調節機能が低下し、体に熱が溜まることで起こる症状のことをいいます。
炎天下での運動中に発症しやすいのはもちろん、熱帯夜に冷房をつけずに過ごす、水分の摂取をし忘れる、などでも発症することがあるため、注意が必要です。
めまいやたちくらみなど初期の症状ではセルフケアも可能ですが、嘔吐や体に力が入らない、意識が朦朧とするなど症状がある場合は早急に医療機関で治療を受ける必要があります。

また東洋医学では、熱中症を「中暑(ちゅうしょ)」といい、暑さと湿気により熱感やほてり、口渇が生じて体に大きなダメージを与えると考えられています。

次の章ではこのような「熱中症」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

熱中症に対処&予防する3つのセルフケア

1.体を冷やし、水分補給をして安静にする

多量の発汗をともない、めまいやたちくらみ、筋肉のこわばりを感じるといった熱中症の初期の症状であれば、風通しのよい日陰や冷房の効いた室内など涼しい場所で体を冷やし、水分補給を行いながら様子を見ても良いでしょう。
冷たい濡れタオルで体を拭くなど、直接体を冷やすのも有効です。また、発汗によって失われたナトリウムやカリウムを補給するためにも、適度に塩分を含むスポーツドリンクや経口補水液などを摂りましょう。
体を早く冷やすためにも、摂取する水分は冷たいものを選ぶのがオススメです。

2.汗をかく前の対策と栄養補給で熱中症予防を

熱中症のならないための予防策としては、こまめに水分補給をすることが大切です。
高温多湿の環境では、喉の渇きを感じてからの水分補給では間にあわない場合があるため、運動の前後はもちろん、炎天下の屋外へ出かける前や帰宅後、入浴前や睡眠前など、汗をかくことが予想されるタイミングでこまめに水分補給をするようにしましょう。
また、日頃から栄養バランスのとれた食事で栄養を摂り、たっぷりと睡眠をとって基礎的な体力を蓄えておくことも熱中症予防には有効です。

3.室内の温度や湿度を「見える化」する

近年、熱帯夜に冷房をつけずに長時間過ごしたために室内にいても熱中症になる症例が増えています。
こうした状況を防ぐためには、エアコンの自動調節や除湿機の就寝タイマーなどの機能をうまく使い、適切に利用することも大切です。
一般的に、室温は28℃以下、湿度は70%以下の状態を保つことで熱中症になりにくいと考えられています。体感温度に頼りすぎず、温度計や湿度計を部屋に置き、こうした基準値を超えないように温度や湿度を調節するようにすると良いでしょう。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

熱中症を改善するために、セルフケアに加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、清暑益気湯(セイショエッキトウ)です。暑さによる全身の倦怠感や疲労感が強い方の体の熱を冷まし、体内の水分バランスを整えて症状を改善する効果があります。
また、めまいや吐き気をともなう熱中症症状のある方には、体内に溜まった「水(水分)」の巡りを良くして症状を和らげる効果のある五苓散(ゴレイサン)も良いでしょう。清暑益気湯と五苓散は、脱水を防ぐ作用も期待できます。

こまめな水分補給で熱中症予防を心がけましょう

今回は、熱中症に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
熱中症かな、と思う症状がある場合はすぐに体を冷やして水分を摂り安静にすることです。
また、日頃から熱中症にならないようにこまめな水分補給をし、室内の温度・湿度を快適に保つように心がけましょう。
もし、嘔吐や激しい頭痛、けいれんなどの症状が出たなら、意識障害を起こし重篤な状態になる可能性もあるため、すぐに病院を受診するようにしましょう。
こうした熱中症の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアに加えて取り入れるのもオススメですので、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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