かいてもかゆみが治らない!外回り中のうっかり日焼けにご用心!
ちょっと日焼けしたかな、と思ってそのままにしていたら夜眠れないほどかゆくなってしまった、日焼け後に皮むけし始めた部分がかゆくて仕方がない…。
30〜60代の幅広い世代の女性のなかには、このような「日焼けによるかゆみ」に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。
こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。
今回は「日焼けによるかゆみ」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。
目次
日焼けした後のかゆみがとまらない…長引く症状への対処法を教えて
玲子さん(41歳女性)、会社員の方からご質問をいただきました。
梅雨の合間の晴れ模様で、すっかり夏気分を味わいながら外回りをしていた日のことです。営業先にお邪魔するのに一応薄手のジャケットを羽織っていたものの、移動中は暑くてたまらないので、ノースリーブのインナートップス1枚で歩き回っていたんです。
そのときはなんともなかったのですが、帰宅した頃になって、どうにも腕がかゆくてかゆくて仕方がない状態に。肌に妙な熱感もあったので、おそらく日中歩き回っていたときにすっかり日焼けしてしまったのでしょう。我慢できずにかいているうちにますます皮膚は熱を帯び、ボリボリとかきむしらずにはいられない状態に! あわてて冷やしたものの、なかなかかゆみが治まらず、大変な思いをしました。
数日すると熱感はすっかりおさまってきましたが、皮がカサカサとむけてきて、ムズがゆさで相変わらず腕をかきむしってしまう日々。
なんの紫外線対策もせず腕を丸出しにして歩き回ったのがいけないのですが、こんなに長いことかゆみと戦う羽目になろうとは思ってもみませんでした。もしまたうっかり日焼けして肌がかゆくなってしまったら、いったいどうすれば早く治るのでしょうか?
ご質問ありがとうございます。
初夏〜夏にかけての紫外線の強い時期には、炎天下でなくとも、屋外で少し直射日光を浴びただけで日焼けによる炎症やかゆみが起こってしまうことがあります。
今回は、こうしたかゆみの原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。
紫外線による乾燥とバリア機能の低下がかゆみの原因
日焼けによってかゆみが生じるのは、紫外線のなかでも波長が短く、肌に炎症を与えやすい紫外線B波(UVB)を浴びることで皮膚に炎症反応が起こり、皮膚表面の水分や油分が奪われて乾燥することが原因と考えられています。
こうした乾燥から肌に水分をキープできなくなり肌のバリア機能が低下すると、少しの刺激でも脳がかゆみを感じる指令を出します。かゆいからといってかきむしると、皮膚が更にダメージを受け、かゆみの連鎖が起こってしまうので注意が必要です。
また東洋医学では、日焼けによりジュクジュクとした「湿熱(しつねつ)」、カサカサとした「血熱(けつねつ)」などの余分な熱がこもることによりかゆみが起こると考えます。
次の章ではこのような「日焼けによるかゆみ」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。
日焼けによるかゆみを改善するセルフケア3選
1.すぐに冷やしてかゆみと炎症を抑える
日焼けをして、皮膚にムズムズするようなかゆみを感じたら、まずはよく冷やして炎症を落ち着かせることが大切です。
やけどしたときと同様に流水をしばらく当て、凍らせた保冷剤や氷などをタオルやガーゼで包んだもので冷やすようにします。屋外にいて保冷剤がない場合でも、冷たい水で絞ったタオルやハンカチをあてて応急処置をしておくことが、かゆみの悪化を防ぎ、回復を早める秘訣です。
また時間が経ち、日焼け部分がかゆくてかきむしってしまいそうなときにも、爪でかきむしらず、患部を冷やすことでかゆみを落ち着かせるようにすると良いでしょう。
2.たっぷり保湿して肌のバリア機能の回復を
日焼け後の肌のバリア機能の低下を放置すると、時間が経つほどにかゆみが増してしまうことがあります。
冷やすことである程度炎症がおさまったら、刺激の少ない化粧水をたっぷり使って保湿をし、肌のバリア機能を回復させましょう。肌に刺激を与えないように、手のひらで優しく塗ってなじませて浸透させるようにしてください。
日焼けにより顔にかゆみがある場合は、保湿力の高いフェイスパックもオススメです。しばらくして皮がむけてきた場合も無理に剥がそうとせず、保湿ケアを続けるようにしましょう。
3.睡眠と栄養摂取で体の内側からのケアも忘れずに
日焼けによる紫外線の影響は、皮膚へのダメージだけでなく、体力も消耗して一時的に疲労感や倦怠感が起こる場合があります。たっぷりと休養や睡眠をとり、栄養バランスのとれた食事を摂り、内側からのダメージ回復を心がけましょう。
特に、かゆみをともなう炎症を回復させるには、肌の新陳代謝を促してターンオーバーを早めることが大切です。メラニンの生成を抑制するビタミンCに加え、アボカドやアーモンドなどに含まれるビタミンEには、抗酸化作用や血流をよくする効果があるため、積極的に摂取すると良いでしょう。
根本的な体質改善には漢方薬が効果的!
日焼けによるかゆみを改善するために、セルフケアに加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。
日焼けによるかゆみを改善するために、セルフケアに加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、消風散(ショウフウサン)です。ジュクジュクしてつよいかゆみがある場合に適していて、日焼けによる赤みを帯びて患部が湿ってかゆみがある場合に有効です。
また、炎症で赤みやほてりがあるかゆみや湿疹がある方には、熱を冷まし、炎症やかゆみを和らげる効果のある黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)も良いでしょう。
一方、患部がカサカサしてかゆい場合は、血流を促し、皮膚に栄養と潤いを与える当帰飲子(トウキインシ)がおすすめです。
たっぷり保湿ケアをしてバリア機能を回復しましょう
今回は、日焼けによるかゆみに悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
日焼けして皮膚にかゆみが生じた場合は、すぐに患部を冷やして炎症とかゆみを軽減すること、そしてたっぷりと保湿ケアをして肌のバリア機能を回復させることが大切です。
また、こうした日焼けにともなう症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。