会社まで数分の距離で汗だくに…背中にへばりついたシャツが不快過ぎる!
蒸し暑さで体じゅうからダラダラと流れる汗が止まらない、酷暑続きの日が続いているせいか多量の汗をかいてしまい、連日ぐったりと疲れきってしまう……。
30〜40代のプレ更年期世代の女性のなかには、こんな「暑さによる多汗」に悩んでいる方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。
今回は「暑さによる多汗」をテーマに、薬剤師の中田早苗先生にお話を伺ってみました。
目次
ちょっとの暑さで大量の汗…涼しい顔で颯爽と歩けるようになるには?
綾子さん(41歳女性)、会社員の方からご質問をいただきました。
ぽっちゃり体型の私は、ちょっとでも暑さを感じると身体中から汗が噴き出し、ダラダラと流れて止まらなくなってしまうタイプ。
そんなわけで、汗をかく季節はいつも以上に喉が渇き、どうしても冷たい清涼飲料水や炭酸ジュースに手が伸びてしまい、ぽっちゃり具合が加速している気がします。とはいえ、こんなに汗をかくのは夏の暑い時期に限ったことなので、“デブの汗っかき”というほどではないとは思うのですが……。
とはいえ、冷房の効いた会社内でいつも寒がっている線の細い同僚は、夏だというのに汗ひとつかかず、冷え性がつらいと言っているほど。私の場合は、汗が出るだけまだ健康的なのでしょうが、汗が出過ぎるというのも、それはそれで困りものです。
駅から3分ほどの場所にある会社に歩いてくるだけで薄手のシャツも汗で背中にペットリと張り付いてしまうのも不快ですし、汗を拭き拭き出社するたびに「デブは汗かいちゃって大変ね……。」という目で見られているような気がするのもなんだか癪に障ります。
私も、ちょっとした暑さには負けず、涼しい顔をして颯爽と歩けるようになりたいものですが、いったいどうしたらこのダラダラ汗を改善することができるのでしょうか? 何か良い方法があれば教えてください。
ご質問ありがとうございます。
暑さを感じると全身から汗が出るのは、上がりすぎた体温を適切な温度に下げるための体温調節機能によるものなのであまり心配はいりませんが、ただでさえ暑いのに大量の汗が出ると不快指数が増してつらいですよね。
今回は、暑さによる多汗の原因や対処方法について詳しくお伝えしていきましょう。
体温の急上昇を抑制することが暑さによる発汗の原因
汗をかくメカニズムにはいくつか種類がありますが、なかでも暑さを感じたときに出る汗は「温熱性発汗」のうちのひとつです。
これは、体温や皮膚温度の情報と運動している筋肉からの情報を脳がとらえ、体温調節中枢が発汗を促すことによる発汗で、上昇した体温を適切な温度に下げる働きがあります。こうした体温調節のための発汗は、全身に分布するエクリン腺から分泌され、手のひらや足のうらを除くほぼ全身から発汗がみられます。
また東洋医学では、汗は「血(血液)」から作られるとされ、体温調整のために大量の発汗が起きると体内の「血」が不足してさまざまな不調が起こると考えられています。
次の章ではこのような「暑さによる汗」への具体的な対処方法をお伝えしていきましょう。
暑さにより過剰に汗が出るときの3つの対処法
1.太い血管を冷やして体温上昇を抑える
暑さによる発汗は、体温の上昇を抑えるために起こります。大量の発汗を抑えるためには、体内を循環する血液を冷やし、体温の急激な上昇をできるだけ防ぐことがポイントになります。
特に効果的なのは、「首」「脇の下」「太ももの付け根」の太い血管を冷やすこと。冷やしたペットボトルやガーゼでくるんだ保冷剤で冷やすのはもちろん、屋外への外出時にはあらかじめ発熱用の冷却シートを貼っておくのもオススメです。
2.足を冷水に浸して涼をとる
ダラダラと垂れる汗をさっと引かせるためには、足湯ならぬ足冷水で体温上昇を防ぐのも効果的です。
まずは足の入る洗面器にたっぷり水を張り、氷をいくつか入れて15℃〜18℃程度の水温にします。ハッカ油があれば2滴ほど水に垂らし、水に足を入れて2分間ほど浸して、足の指を曲げ伸ばしするようにしてみましょう。
冷房が苦手な方にもオススメの方法ですが、あまり長く浸しておくと冷えにつながりますので、汗が引く程度にとどめるのがポイントです。
3.汗をかいたら水分補給をすることを忘れずに
大量に汗をかいてしまったときに、絶対に忘れてはいけないのが水分補給です。
特に夏の酷暑で体力を消耗しているときに脱水を起こすと夏バテや熱中症の原因にもなるため、ペットボトルや水筒を持ち歩き、外出時でも常に水分補給できる状態にしておくように心がけると良いでしょう。
大量に発汗することで、水分だけでなく塩分やミネラルも一気に失われてしまうため、スポーツドリンクや経口補水液など、発汗により失われがちなミネラルや塩分の含まれたものを摂取するとより効果的です。
根本的な体質改善には漢方薬が効果的!
暑さにより過剰に汗が出る場合は、セルフケアに加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)です。ちょっとした暑さでも大量に汗が出てしまう方の体内の水分バランスを整え、過剰な汗を抑制する効果があります。
また、大量の発汗によって体内の水分が失われ、暑気あたりのような症状のある方には、体内の水分代謝の働きを高めて症状を改善する五苓散(ゴレイサン)も良いでしょう。
自分の症状や体質にぴったりマッチした漢方薬を選ぶのは難しいと感じがちですが、「オンラインAI漢方」では、お悩みの症状を元にAIがあなたにぴったりな漢方薬をご案内しています。自宅にいながら気軽に始められますので、ぜひチェックしてみてください。
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体温の急上昇を抑え、適切に水分補給をしましょう
今回は、暑さによる多汗に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状を改善するためには、体内を循環する血液を冷やしたり、うまく涼をとって体温の急激な上昇を防ぐことが大切です。
また、発汗による脱水を避けるためにも、失われた水分やミネラルを補給することも忘れないようにしてくださいね。
また、こうした汗の症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。