なんで私だけ!?ベタベタして臭う汗が気になってヨガに集中できない!

体験談

久しぶりに屋外で長時間過ごしたら汗がベタベタとしていて何だか気持ちが悪い、脇の下にべっとりと溜まった汗がどうも臭うような気がして不安になる…。
30〜40代のプレ更年期世代の女性のなかには、こうした「ベタベタする汗」に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。

そんな自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師がお答えしていきます。

今回は「ベタベタする汗」をテーマに、医師の木村先生にお話を伺ってみました。

ベタベタした汗で不快指数が急上昇! 体質改善で汗の質も変わるの?

優希さん(47歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

長年の運動不足がたたり、代謝も落ちてきたせいか、すっかりいろいろなところにお肉がついてしまった専業主婦の私。
最近ヨガにはまっている同年代の友人がすっきりと綺麗に痩せたのを見るにつけ、羨ましくて仕方がありません。自分でも挑戦してみたいとは思うものの、ヨガってなんとなくダラダラとすごい汗をかくイメージがあってどうも前向きになれないでいたんです。昔から汗をかくのが大嫌いで、運動するのも嫌、暑い夏に外にいるのも嫌、というわがままを押し通してきたもので…。
でも、それでもやっぱり綺麗になりたいという欲求には勝てず、先日ようやく友人の通うヨガ教室の体験講座を受けてみたんです。そうしたら案の定、大粒の汗が顔から脇の下からじっとりと湧き出てきて、気持ち悪いのなんのって!
しかも、べっとりと粘つく汗の嫌な臭いが迷惑になっていないか気になり呼吸が乱れ、全然ヨガにも集中できませんでした。
一緒に参加してくれた友人を見ると、同じように汗はかいているものの、サラサラと流れるような汗で、タオルで拭いただけでもうスッキリ爽やかな表情をしているんです。もちろん、近くですれ違っても嫌な臭いもありません。
私の滲みでるようなじっとりベタベタの汗、これって体質なんでしょうか? ヨガを続けるためにも、改善できるならぜひ体質改善したいです。

ご質問ありがとうございます。
普段から運動不足などで汗をかかない生活を続けていると、汗を出す汗腺の機能が衰え、汗の質が変わってしまうことがあります。ベタベタとした臭うような汗が出ると、周囲の目も気になってしまいますよね。
今回は、こうしたベタつく汗の原因や改善方法について詳しくお伝えしていきましょう。

ベタベタする汗は汗腺の老化と雑菌の繁殖が原因

ベタベタ汗になる最大の原因は、老化や運動不足、冷房のつけ過ぎなどにより汗を出す汗腺の働きが衰えてしまうことに原因があると考えられています。
汗はもともと血液からできており、体に必要なミネラル分をろ過して血液に戻した残りの水分が汗になって体外に排出されます。
ところが、汗腺の働きが衰えると塩分の再吸収が進まず、塩分濃度が高く粘度の高い大粒の汗が排出されることになり、こうした汗には雑菌が繁殖しやすいことから悪臭を放つベタベタとした汗になりやすいのです。

東洋医学では、体の内側に余分な熱が溜まり、水分の代謝がうまくいかなくなることでベタベタとした臭いのある汗が出ると考えられています。
次の章ではこのような「ベタベタする汗」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

ベタベタする汗を改善するセルフケア3選

1.日常に運動を取り入れて積極的に汗をかきましょう

衰えてしまった汗腺の機能を回復するためには、運動習慣を身につけて日頃から汗を積極的にかくようにすることが大切です。
特にオススメなのは、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動です。仕事や育児が忙しく運動する時間がないという方も、通勤時にエレベーターやエスカレーターを使わずに早足で歩くことや、いつもより少しだけ遠いスーパーに食事の買い出しにいくなどして、生活の中に運動を取り入れてみましょう。
筋肉の働きによって代謝がアップし、汗をかきやすくなるほどに汗腺の機能が回復し、ベタベタした汗がサラサラとしてくるのを実感できるでしょう。

2.水分と塩分をとってしっかりデトックスを

ベタついて臭い汗を不快に感じるあまり、発汗を防ぐためにできるだけ余計な水分摂取をしない方がいいのでは、と考える方もいると思います。
けれども、これは汗腺の機能回復に逆効果なうえ、夏場は特に熱中症を招く可能性もあります。特に運動時はのどの渇きを感じる前に、ミネラルを含むスポーツ飲料などでしっかりと塩分と水分の補給を心がけることが大切です。
ベタつく汗に加えて臭いが気になる方は、デトックス効果のある小豆などの豆類や雑穀類を積極的に摂り、体内の余分な熱や水分を排出しやすい食生活を心がけると良いでしょう。

3.体や手足を温め、じんわり汗をかきましょう

汗腺の衰えや老化は、加齢や運動不足だけではありません。冷房の効いた部屋で体を冷やし、汗をかかずに長く過ごすことは汗腺の衰えを招き、ベタベタ汗が出る体質になりやすい可能性があります。
汗腺の働きを高めてベタベタ汗を改善するには、毎日の入浴タイムを活用し、ぬるめの湯船に浸かって体を芯まで温め、毎晩じんわりと汗をかく習慣をつけると良いでしょう。
また、42〜43℃の熱めのお湯に汗腺の多く分布する手足を浸す「手足浴」を取り入れることも汗腺の活性化につながります。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

ベタベタする汗を改善するためには、セルフケアに加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、五苓散(ゴレイサン)です。ベタつく汗や臭いのある汗が出る方の体内の水分代謝の働きを高め、症状を改善する効果があります。
また、暑がりで冷房の効いた場所で過ごすことが多く、汗をかくにくくなっている方には、体内の余分な水分を排出する効果のある防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)も良いでしょう。

積極的に汗をかいて汗腺の機能を回復させましょう

今回は、ベタベタする汗に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状を改善するためには、汗ばむ程度の有酸素運動を日常的に取り入れ、毎晩の入浴で手足や体をじんわり温めてしっかり良い汗をかき、汗腺の機能を高めることが大切です。汗をかいたら、しっかり水分と塩分の補給をすることも忘れないようにしましょう。

また、こうした汗の症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

木村眞樹子

東京女子医科大学医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事している。 妊娠、出産を経て、また産業医としても働くなかで予防医学への関心が高まった。医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる様々な人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行っている。

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