汗っかき部長との温度設定バトルに完敗! 自律神経がズタズタに…
夜中に暑くて何度も目が覚めてしまい、翌朝疲れ切ってフラフラしてしまう、昼間から頭がぼーっとして仕事が手につかず、何もしていないのに疲労感が強い……。
30〜60代の幅広い世代の女性のなかには、このようなつらい「自律神経の乱れによる夏バテ」に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。
こうした自分ではどうにもならない症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。
今回は「自律神経の乱れによる夏バテ」をテーマに、薬剤師の中田早苗先生にお話を伺ってみました。
目次
夏バテでめまいが…暑すぎる外&寒すぎるオフィスの温度差がつらい
菜津美さん(35歳女性)、会社員の方からご質問をいただきました。
住宅販売会社の外回りの営業をしているのですが、男性社員が多いせいか、オフィスの空調が寒過ぎて夏場の冷えがつらくて! 外気温との寒暖差が激しすぎるせいか、オフィスでランチを食べていても胃のあたりの不快感やだるさで半分も食べられません。
なんせ、汗だくで外回りから帰社すると、最初はサーっと汗が引くほどの涼しさに快感を覚えるのですが、数分でガタガタ震えるほどの寒さを感じるように……。ふと冷房の温度をチェックするとまさかの18℃の設定に!
慌てて26℃に設定し直すのですが、1時間ほどして「また寒くなってきた!」と思って再び温度をチェックすると、また18℃に戻されているんです。
こんなことをするのは部署で一番暑がりで汗っかきの部長に仕業に違いない、と睨んでいるものの、上司に「冷房の温度下げ過ぎです!」と注意するのも気が引けて、結局我慢の日々……。
このエアコン温度設定のいたちごっこのせいですっかり神経も弱ってしまっているのか、外に出るとクラクラとめまいに襲われるほどです。
どうしたらこのつらい症状を解消することができるでしょうか。何か良い改善方法があれば教えてください。
ご質問ありがとうございます。
最近は30℃を超える日も珍しくないですから、猛暑の外気温と冷房の効き過ぎたオフィスとの温度差で、すっかり自律神経が参ってしまっているのかもしれませんね。
今回は、夏に自律神経が乱れる原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。
自律神経の乱れは、屋内外の温度差による神経疲労が原因
爽やかで過ごしやすい春から一転、高温多湿になる夏は、暑さと湿度で体力が奪われ、さまざまな体調不調が起こりがちです。
特に、猛暑で湿度の高い屋外と冷房で冷えた屋内を行き来することで自律神経の交感神経と副交感神経の切り替えが上手くいかなくなることは、自律神経失調の大きな原因になります。この切り替えが上手くいかなくなると、体温調節機能が低下するだけではなく、胃腸の働きの低下や不眠を招くために下痢や吐き気、微熱や眠気などのさまざまな不調が起こると考えられています。
こうした体を外界に適応させて体内の環境を一定に保つ自律神経が失調することで生じるさまざまな症状を総称して夏バテといいます。
また東洋医学では、室内外の気温や湿度の差による疲労から「気(生命エネルギー)」が滞り、胃腸をつかさどる「脾(ひ)」の働きの低下から「夏バテ」が起こると考えます。
次の章ではこのような「自律神経の乱れによる夏バテ」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。
夏の自律神経の乱れを改善するセルフケア3選
1.紫外線対策をして自律神経の疲労を防ぐ
夏は暑さに加えて紫外線量も多くなる時期です。炎天下で強い紫外線を浴びることで日焼けしたり、目の中で炎症反応が起きたりすると交感神経が刺激され、自律神経の疲労につながってしまいます。
屋外で過ごす場合は、帽子や日傘、UVカット仕様のサングラスなどを活用したり、日焼け止めを塗ったりして紫外線対策をしっかりすることが大切です。
2.冷えを防いで体を芯から温めましょう
暑い日はシャワーで入浴を済ませてしまいがちですが、冷房で体が冷えきってしまう夏こそしっかり湯船に浸かり、体を芯まで温めることが大切です。お湯の温度は38℃程度のぬるめの設定にし、ゆったり15分程度ほど浸かると良いでしょう。
副交感神経を優位にし、リラックスして眠るためには、落ち着けると感じる香りのアロマエッセンスを数滴垂らしてアロマバスにするのもオススメです。
3.睡眠環境を整えて快眠を目指しましょう
熱帯夜で寝苦しい夜は、快適な状態で入眠できる温度や湿度に空調を設定し、心地よく眠れる環境を作るようにしましょう。
一晩中冷房を付けっ放しにすることによる寝冷えが気になる場合は、タイマー機能をうまく利用し、入眠〜3時間程度は快適な温度や湿度を保つのがオススメです。
また、スマホやパソコンのモニターから発せられるブルーライトは、自然な状態で眠りに誘うメラトニンの作用を抑制し、自律神経のバランスを崩す大きな要因になります。就寝の1時間前には部屋の明かりを暗くし、布団の中でスマホの画面を見続けることは避けるようにしましょう。
根本的な体質改善には漢方薬が効果的!
自律神経の乱れによる夏バテを改善するために、セルフケアに加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、人参養栄湯(ニンジンヨウエイトウ)です。手足の冷えが強く、食欲が落ちて疲労感のある方の体を温め、栄養を補って夏バテによるだるさを和らげる効果があります。
また、不眠により体力や気力が低下し、日中の眠気や疲労感の強い方には「気」を補い、消化をサポートして症状を改善する補中益気湯(ホチュウエッキトウ)も良いでしょう。
自分の症状や体質にぴったりマッチした漢方薬を選ぶのは難しいと感じがちですが、「オンラインAI漢方」では、お悩みの症状を元にAIがあなたにぴったりな漢方薬をご案内しています。自宅にいながら気軽に始められますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
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冷え対策&快眠で自律神経の失調を防ぎましょう
今回は、自律神経の乱れによる夏バテに悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
自律神経の失調を防ぐためには、屋内での冷房による冷えを最小限に抑えてしっかりと体を温めること、睡眠環境を整えて快眠を目指すことが大切です。
また、こうした気になる夏バテ症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。